2ウェイドライバーによって高音質化
nwm ONEの大きな特徴は、完全にハウジングが開放されていることだ。そのため周囲の音や話し声を容易に聞くことができるが、同社ではそれを"Unmute the world(世界に音を解き放とう)"や“没入から共存”という言葉で表している。生活環境に溶け込ませるためにデザインもミニマルデザインが徹底されていてロゴもない。また、185gという軽量さにより快適性を実現している。
また、高音質化にも取り組んでいる。ここは開発者のプロダクトグループマネージャー滝澤拓斗氏に詳しくお聞きした。
nwm ONEは2ウェイのドライバー構成で、2つのドライバーをデジタルアンプを用いてバイアンプ駆動するヘッドホンである。12mmの中高音域ドライバーと35mmの低域ドライバーを搭載。パッシブのクロスオーバー回路は使用せず、DSPを使ったデジタルチャンネルデバイダー(高域/低域信号の分割)を持つ、アクティブクロスオーバーを用いている。クロスオーバーポイント(高域/低域を切り分ける周波数)は1kHz付近にあるそうだ。12mmの中高音域ドライバーは、従来のnwmのイヤフォンと同じ口径だが、パワーアップして新規開発されたものである。
デモ用に製作された透明外装の開発用デモ機を見せてもらうと、PSZ技術の秘密がわかる。
「逆相で音モレを防ぐ」というと、DSPで逆位相の音を発生させているように思うが、PSZ技術のポイントは「逆位相の音をデジタルではなくあくまでアコースティック(つまり音響的に)出している」ということだ。
このことは開発用デモ機のドライバーを見ると分かるが、中高音域ドライバーと低域ドライバーのそれぞれに弓形の逆位相ポートが設けられている。ここから振動板の背圧を取り出して逆位相出力としているわけだ。
これは音楽として聴く正相音と同じ音圧が出ているそうだ。仕組みを書くと簡単のように思えるが、多大なノウハウの蓄積によるものだという。
またSoCにも様々なカスタマイズがなされている。主に信号処理はSoC内のプログラム機能を用いているようだ。nwm ONEではLE AudioやAuracastなど最新の通信標準にも対応している。
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