OpenAIは7月16日、YouTubeにおいて同社の動画生成AI「Sora」で作成した2人のアーティストによる動画作品を公開した。
Tammy Lovin氏による作品
Tammy StudioのクリエイティブディレクターTammy Lovin氏による作品は、ネオンが輝く深夜のコイン洗車場からスタートし、雲の上を歩く人物や、海に漂うクラゲが次々に描写される幻想的な作品。特に波、泡、水といった自然現象がいきいきと表現されている。
同氏はSoraについて「共同創作しているような感覚がある」「チームワークのようで、最も理想的な形だ」と評価し「子供の頃から想像していたモンタージュやシュールなビジュアルを、実際に動画として表現できるようになった」としている。
Benjamin Desai氏による作品
一方、イマーシブスタジオ「Radical Realities」の共同創設者Benjamin Desai氏による作品は、20世紀初頭の映画のようなモノクロフィルム調で描写される「自転車に乗る熊」「スケボーをするゴリラ」といった奇想天外なもの。
同氏は「Soraでの創作はまだ実験的なプロセスであり、多くの反復と微調整が必要だ」とし、「魔法のボタン」のような簡単なソリューションではなく人間とAIのコラボレーションであることを強調している。
映画祭出典や広告作成も
Soraは、OpenAIが2024年2月に発表した動画生成AIモデル。最大1分間の高品質動画を生成できる。現在は限定的な利用にとどまっているが、その可能性を探るため様々な取り組みをしている。
6月にはトライベッカ映画祭と提携し「Sora Shorts」プログラムを実施。5人の映画製作者がSoraを使用した短編映画を制作し上映された。
また、6月末にはトイザらスがSoraを使用した広告を制作。ブランドの創設者Charles Lazarusの物語を描いた66秒の動画が、カンヌライオンズで初公開された。
一方で、動画生成AIの分野は競争が激化している。Runway AIの「Gen-3 Alpha」は、高品質で制御可能な動画生成を特徴とし、Soraに匹敵する性能を持つとされる。また、Luma AIの「Dream Machine」は、5秒間の高品質な動画を素早く生成する能力を持ち、無料ということもあり話題を集めている。
発表時には注目を集めた「Sora」だが、そろそろ部分的にでも利用可能な状況を作れないとライバルにプレゼンスを奪われかねない。また我々を驚かせてくれるような続報が待たれる。