このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

業務を変えるkintoneユーザー事例 第233回

紙&Excelを一掃、応募者対応業務を75%削減したエフコープ

通常業務を抱えての変革の秘訣は“心理的安全性”、福岡の生協がアナログな採用業務をkintone化

2024年07月23日 07時00分更新

文● 福澤陽介/TECH.ASCII.jp  写真●サイボウズ

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

応募者対応業務を75%削減、成果を得られた秘訣は「心理的安全性」

 3つのkintoneアプリおよび人事労務システムとの連携で、採用業務の工数は大幅削減。

 定性的な効果として、kintoneによりデータを一元管理することで、個人情報の紛失リスクが減るなどデータの機密性が向上。業務フローも明確化され、誰が“バトン”を持っているかも一目で分かるようになった。もちろん承認スタンプラリーもなくなり、採用に要する時間を短縮できた。

 定量的な効果としては、応募者対応にかかる作業時間が75%削減。12種類あった採用関連の書類は、10種類まで電子化できた。さらに郵送費がゼロになり、紙の書類でのフォローがなくなったため面談時間も削減できている。

kintone導入による採用業務での定量的な効果

 このようにさまざまな成果をもたらした採用業務のkintone化。順調に進んだ要因がいくつか挙げられた。

 ひとつは「明確な期限」があったこと。「2024年4月の新規採用者から移行するという計画を立てて、そこから逆算して少しずつ実行していきました」と吉村氏。

エフコープ 吉村純子氏

 2つ目の要因は、「チームで取り組めたこと」。当時の畑中氏は、あくまで人事部。通常業務と平行してkintone化に取り組んでいた。「所属していた部署に関わるため、自分がやらなきゃと抱え気味でした。チームでシェアして、フォローしあえたことが、潰れずにすんだ理由だと思っています」と畑中氏。

 3つ目の要因は、「心理的安全性」だ。チャレンジしての失敗は受け入れてくれる職場環境や上司の理解が大きかったと畑中氏。例えば、新しい承認プロセスを試していて、まだ何も話していない専務にテストを送ってしまった時にも、どう変えたいかを説明するとその場で「それなら大丈夫」と理解を得られたという。

 最後に畑中氏は、「業務改善に終わりはないです。まずはやってみよう、みんなでブラッシュアップしよう、そして、『失敗しても大丈夫』という環境が、通常業務と平行して改善を進めてきた中で大事だと感じました」とプレゼンを締めくくった。

エフコープ 畑中宏斗氏

働くスタッフのため、その先の組合員のために、これからも業務改善を

 プレゼン後にはサイボウズ 九州営業グループ福岡オフィスの大南友誉氏から質問が飛んだ。

大南氏:定性的・定量的な効果が得られたということですが、実際の現場はどのような反応だったのでしょうか。

畑中氏:採用面談は、一人の時もあれば三人同時に対応することもあり、かなりの時間を要してました。紙の記入フォローから、kintoneで事前入力された内容をチェックする形に変わって、負担が減ったという声をもらえました。

プレゼン後のアフタートークの様子

大南氏:エフコープの協会員に向けて、kintoneでどう変わっていきたいかアピールをお願いできますでしょうか。

吉村氏:配達や店舗、福祉など幅広い業種のスタッフがいる中で、その中の誰かが「良くなったね」と言われるように、アプリ作成や業務改善のサポートをしていきたいです。

畑中氏:私たちはバックオフィスにいますが、エフコープの一員。スタッフが働きやすい状態になれば、自然と、接する組合員さんに良い対応ができるようになると思います。

前へ 1 2 次へ

カテゴリートップへ

この連載の記事