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画像生成AI「Stable Diffusion 3 Medium」批判を受けライセンス条項を緩和

2024年07月08日 11時35分更新

文● 田口和裕

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 Stability.AIは7月6日、同社の画像生成AI「Stable Diffusion 3 Medium(SD3M)」に関する新しいコミュニティライセンスを発表した。この新ライセンスは、ユーザーからの批判や混乱に対応する形で導入された。

新ライセンスの主な特徴

 新しく導入される「Stability AI Community License」の主な特徴は以下。

  1. 非商用利用は引き続き無料:研究者、オープンソース開発者、学生、教師、趣味のユーザーなどが対象。
  2. 小規模商用利用も無料:年間収益100万ドル未満の個人・小規模ビジネスは商用利用も無料。
  3. 生成制限の撤廃:生成されるメディアファイル数の制限なし。
  4. 商用利用者の自己報告:商用利用者のみ簡単なフォームの記入が必要。収益100万ドル超でエンタープライズライセンスが必要。

新ライセンス導入の背景

SD3Mで人体が的確に作れないことを指摘するRedditのスレッドより

 この新ライセンスの背景にはSD3Mのリリース後に浮上した問題がある。

 当初SDXLよりも優れているとされていたSD3Mだが、ユーザーから体のポーズや稀少な単語に関する重大な問題が指摘された。また、当初のライセンス条項も混乱を招いたとされる。

 同社はSD3Mが「まだ進行中の作業」であると認め、数週間以内に大幅に改善されたバージョンをリリースする予定だと発表。新しいアーキテクチャとモデルの最適な使用方法や微調整について研究中であり、その成果をコミュニティと共有する意向を示すとともに、「高品質な生成AIモデルを開発しコミュニティと共有する」というコミットメントを再確認した。

 同社は、金融や医療などの規制産業やスマホなどのエッジコンピューティング分野で、引き続きオープンモデルが必要とされると見込んでいる。

 これらの分野ではAIの仕組みを手元で確認し調整できることが重要であり、Stability.AIはデータ、コード、トレーニング実行の詳細などを公開している数少ない企業の一つであると強調している。

 さらに、新しいコミュニティライセンスでは、生成されるメディアファイル数の制限を撤廃。ユーザーがモデルをファインチューニングして作成した派生モデルや、それらを使って生成した画像などの成果物についても、違法行為や明らかなライセンス違反がない限り削除を要求しないという方針を明確にした。

経営陣の交代と財政難

 この新ライセンスの発表は、Stability.AIが直面する様々な課題の中で行われた。

 今年3月には創業者兼CEOのEmad Mostaque氏が辞任し、6月にはPrem Akkaraju氏が新CEOに就任した。また、同社は財政的にも厳しい状況に直面しており、新たな投資家グループによる資金注入が行われる見込みだ。

 新しいコミュニティライセンスは、ユーザーの懸念に対応し、より柔軟で明確な利用条件を提供することを目指している。

 しかし、業界全体が激しい変化の時期にある中、同社が今後どのように競争力を維持し、財務状況を改善していくかは、引き続き注目される点となるだろう。

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