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月探査機SLIM復活せず。必要なデータは取得済みで今後の方針は未定

2024年07月05日 16時00分更新

文● @sumire_kon

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 宇宙航空研究開発機構(JAXA)の月面探査機「SLIM」公式Xアカウントは6月27日、SLIMに対して越夜後の再通信を試みたが、同機からの返信を得られなかったことを明らかにした。

想定外の月面越夜に3回成功

 SLIMは、月面への高精度着陸や探査機の軽量化技術を実証するために開発された日本の無人探査機。2023年9月にH-IIAロケットで打ち上げ、約4ヵ月後の2024年1月20日に月面着陸に成功している。

 着陸の際、機体が予定とは異なる方向を向いてしまったため、太陽光発電パネルから十分な出力が得られないと判断して一時電源をカット。太陽の向きが変わり、十分な電力を得られるようになった1月28日より観測を再開し、1月31日まで観測を継続した後に最初の夜を迎えた。

 同機は昼夜の寒暖差200度以上かつ長期間続く月の夜を越えるような設計ではなかったが、着陸地点が昼を迎えた2月25日に復旧して通信と観測を再開。その後も二度の越夜に成功し、4回目の夜を迎える4月29日まで貴重な観測データと運用データをもたらした。

 だが、着陸地点が再び昼となった5月24日以降は通信が回復しないまま再び夜に突入。再度昼を迎えた6月21日より、太陽フレアでSLIMのプログラムが部分的に書き換わってしまった可能性も考慮して通信を試みたが、SLIMからの応答はなかったという。

 JAXAは今後の運用については未定とする一方、予定していた観測データはすべて取得済みであることから、通信不能状態がSLIMの成果に影響することはないとしている。

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