そのほかのWindowsを再起動を求める理由
ただ“用心のため”に再起動を促すアプリも多い
Windowsの機能の中には、起動時にデータを読み込んだら、データの更新に対応しないものがある。たとえば、ユーザーの所属グループは、ログオン時に読み込まれて、その後、所属グループが更新されても、ログオンしているユーザーの状態は元のままになる。このため、ユーザーをグループに追加した場合には、その設定を有効にするには再ログオンが必要になる。
このほかにも、こうした構造のプログラムが存在する可能性がある。ただし、必ずしも情報がすべての公開されてはいないので、システム状態を最新にしておくためには、再起動あるいは再ログインをするくらいしかユーザーの対策はない。こうした理由から、インストール時に、“安全”のために再起動を促すアプリケーションもあるのだろう。
昔は、Windowsでは「何かあったら再起動」と言われていた。Windowsが一番調子がいいのは、再起動直後であり、長時間使い続けると発見されていないバグのために、実行中のWindowsがおかしな状態になっている可能性があった。少なくとも再起動すれば、キレイな状態に戻せるというわけだ。
アプリケーションのアップデートは、旧版のアンインストール、新版のインストールという手順でされるものがある。この場合、テンポラリファイルなどが残って、悪影響などを及ぼす可能性がある。このときに確実なのは、アンインストール後にWindowsを再起動することだ。再起動することで、次のインストールは比較的「クリーン」な状態で作業できる。
長い間バージョンアップが続けられてきたアプリケーションほど、インストールやアップデートでのエラーを経験しており、そのための知見も少なくない。そう考えると、“用心のため”に再起動する気持ちも理解できなくもない。
Linuxでも、個人用のマシンなら、再起動すべきプロセスがわかっていてもいちいち手動で作業するのが面倒なので、設定やシステムの更新のあと、再起動させてしまうことはままある。
何かの設定作業などを説明する文書を作成するとき、「自分で必要なプロセス判断して停止して起動しろ」と書いてしまうのは無責任だ。しかし、コマンドを使って再起動が必要なプロセスを調べ、適切な方法でそれらを再起動させる手順を書き始めると、ページがいくらあっても足りなくなってしまい、逆に文書自体が読まれなくなる可能性も高まる。となると、そもそも説明すべきことではないというのが結論だ。このときの最善の記述は「システムを再起動しろ」である。
アプリケーションのインストールや更新で再起動を要求されるものがまだある。単に開発時期が古く、以前から更新されていないケースもあるが、最近のプログラムでもインストール後に再起動を要求するものがある。しかし、本当に再起動が必要なのかは不明だ。再起動しなくてもアップデートしたバージョンを起動できることもある。そろそろ“用心のため”の再起動はやめ、再起動が必要ならば、明確に理由を示してほしいものだ。
この連載の記事
-
第459回
PC
WSL 2.4.4ではtar形式でのディストリビューションが配布でき、企業での利用が容易になってきた -
第458回
PC
Windows上でhostsファイルを活用する -
第457回
PC
IPv6アドレスは先頭を見ればどんな種類かわかる -
第456回
PC
あらためてIPv6基本のキ -
第455回
PC
Windowsで現在どのネットワークアダプタがインターネット接続に使われているかを調べる方法 -
第454回
PC
Windows 11 24H2では「デバイスの暗号化」の条件が変わり、より多くのPCでドライブが暗号化される -
第453回
PC
Windows 11 24H2の配布開始後もすぐにはやってこない Windows UpdateとSafeguard Holds -
第452回
PC
Windows 11 Ver.24H2が登場 Copilot+ PCとそうでないPCで実質Windowsが2つに分かれる -
第451回
PC
新しいWindowsサンドボックスではコマンドラインからの制御が可能に -
第450回
PC
ユニコードで文字数を数える方法 -
第449回
PC
WSLはプレビュー版でGUIでの設定が加わった! リリース2.3.xの新機能を見る - この連載の一覧へ