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岡山大など、銅酸化物での高温超伝導の仕組み解明に近づく発見

2024年06月26日 06時22分更新

文● MIT Technology Review Japan

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岡山大学とドイツ・マックスプランク研究所の国際共同研究チームは、ビスマス系銅酸化物高温超伝導体の結晶(銅と酸素が結合した正方形)をひずませると、超伝導に代わって電荷秩序(電荷の並びに規則性がある状態)が現れることを発見した。今後研究が進むことで、銅酸化物での高温超伝導発現の仕組み解明につながると期待される。

岡山大学とドイツ・マックスプランク研究所の国際共同研究チームは、ビスマス系銅酸化物高温超伝導体の結晶(銅と酸素が結合した正方形)をひずませると、超伝導に代わって電荷秩序(電荷の並びに規則性がある状態)が現れることを発見した。今後研究が進むことで、銅酸化物での高温超伝導発現の仕組み解明につながると期待される。 1986年に発見された銅酸化物高温超伝導体は、結晶内で銅と酸素が結合してつくられる正方形の「CuO2面」で超伝導が起こることが知られている。室温超伝導に最も近い物質として研究が進められているが、超伝導が起こる仕組みはまだ分かっていない。 研究チームは今回、正方形の構造そのものと超伝導の関係に着目。ピエゾ素子駆動の一軸性圧力発生装置を独自に製作し、超伝導とCuO2面の関係を核磁気共鳴法により調べた。すると、CuO2面が正方形からひずむと超伝導が抑制され、わずか0.15%のひずみで超伝導に代わって電荷秩序が現れることが分かった。 この結果は、銅酸化物においては正方形のCuO2面の中で高温超伝導と電荷秩序がコインの裏表のように密接な関係にあることを示すものであり、超伝導発現の仕組みを考えるうえで新たな鍵となると考えられるという。 研究論文は、英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)に2024年6月14日付けで掲載された

(中條)

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