CDataを使えば、さまざまなクラウドデータをAWSに集約できる

脱CSV・Excel! CData+AWSが実現するデータ分析基盤の価値

大谷イビサ 編集●ASCII 写真●曽根田元

提供: CData Software Japan

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 アマゾン ウェブ サービス(AWS)をベースにしたデータ分析基盤に必須となるデータアクセスを提供するのがCDataのコネクターだ。今回は「API中毒」を謳うCData Software Japan リードエンジニアである杉本和也氏と、AWSのソリューションアーキテクトでデータ分析を専門とする大薗純平氏がCDataとAWSが目指すデータ分析基盤について語る。(以下、敬称略 インタビュアー ASCII編集部 大谷イビサ)

CDataのリードエンジニアが語るAPIとデータの面白さ

大谷:まずは杉本さん、自己紹介をお願いします。

杉本:CData Software Japanのリードエンジニアとして、今はパートナーとの協業やビジネスグロースを担当しています。いろいろなサービスと連携できるのがCDataの強みなので、パートナーシップを強化して、プロダクトやマーケティングでの連携を行なっています。

CData Software Japan リードエンジニア 杉本和也氏

担当している「CData Sync」はノーコードですぐにスタートできるETL / ELT ツールで、Salesforce、kintone、SQL Server、MySQL を含む400以上のSaaS/DB に対応します。オンプレミスやクラウド環境のデータベースやデータウェアハウス(DWH)に対して、3ステップで簡単にデータを統合して、全社的なデータ活用に進めます。

大谷:エンジニアでありながら、マーケティングもやっているんですね。

杉本:もともとテクニカルサポートや製品開発も担当しており、「日本で一番クラウドのAPIを触っている人」を自負しています(笑)。バーティカル・ホリゾンタルのSaaS業界カオスマップをチェックし、各社でAPIが公開されているか、コネクターとして利用できるのか、APIとして使いやすいのか、丹念に調べています(笑)。そんなAPI中毒な人です。

大谷:API中毒とは、けっこうなパワーワードですね。

杉本:APIだけではなく、日本の企業がどこに、どんなデータを溜めて、どのように活用したいのかも興味あります。

こうしてAPIやデータについて調べているのは、CDataが国産クラウドとの連携も自前で開発しているからです。CDataが提供しているデータパイプラインツールのCData Syncは現在400社くらいのサービスと連携しており 、このうち80種類くらいは国産クラウドとの連携です。そのうち60~70くらいは私が開発したものです。自らつなぎたいというのもありますし、お客さまからのリクエストもあります。

大谷:自動車のAPIからデータ収集しているとか。

杉本:実は電気自動車のTeslaのAPIが昨年、正式に公開されたのですが、こちらのCDataコネクターも作ってしまいました(笑)。時速どれくらいで来たのか、車内の温度はどれくらいなのか、電力はどれくらい残っているのか、オートパイロット(自動運転)をどれくらい使っているか、などをすべてDWHに格納し、「冬場は電気自動車は走れないと言われているが本当か?」という仮説検証をして、コミュニティで発表したりしています。

大谷:趣味と実益を兼ねているんですね。

杉本:これはほぼ趣味ですが、「APIとデータがあれば、こんな面白いことができる」ということを理解してもらうにはいい例だと思っています。

CDataコネクターでAWSにデータを集約できる

大谷:続いてAWSの大薗さんお願いします。

大薗:AWSのソリューションアーキテクトです。お客さまの課題に対して技術支援をしながら、ビジネス開発も行なうというロールです。技術領域でいうと、データ分析の領域に特化しています。AWSが提供するサービスとしては、たとえば今回メインでお話しする「Amazon DataZone」や、ETLを提供する「AWS Glue」、DWHの「Amazon Redshift」、BIツールの「Amazon QuickSight」などを担当しています。

アマゾン ウェブ サービス ジャパン アナリティクス ソリューションアーキテクト 大薗純平氏

大谷:AWSもデータ分析に向けたサービスは、生成AIも含めて充実してきていますよね。

大薗:はい。AWSとしても事例がどんどん増えてきていますが、これからさらにさまざまな領域・ユースケースで使われることになってくると考えています。この領域を開拓したり、お客さまに近いところから世に出てないサービスのニーズをつかむのが私の役割です。コロナ禍が明けてからは、海外に行って、ユースケースや技術的な知見を収集するのも大事な仕事だと思っています。

大谷:CDataとの関係についても教えてください。

大薗:AWSにとって大切なパートナーです。お客さまからは、データ分析のシステムを構築するにあたって、CDataさまをご指名でAWSと組み合わせて利用するには、どのようにすればよいかと質問をいただくこともあります。

お客さまの多様なデータ分析のニーズにお応えするため、AWSでは幅広いサービスや機能をご用意しておりますが、時には特定の要件を満たすことが難しい場合もあります。そのようなケースにおいて、400を超えるデータソースに対応したコネクターを持つプロダクトを提供されているCDataさまのようなパートナー企業の存在は大きいと考えています。

杉本:たとえば、移動販売で利用しているクラウド型のPOSレジの「スマレジ」のデータをCData経由でAmazon RDSに持ち込んで、QuickSightで分析するという事例があります。

大谷:CDataを経由して、さまざまなクラウドデータがAWSに溜まればいいということですね。

杉本:もちろんAWSだけで完結している場合もありますが、今はいろいろなSaaSにデータが分散しているので、これらをCDataでAWSの基盤に持ってきて、うまく分析しましょうという提案です。

CDataでAWSの基盤にデータを持ち込む

大薗:確かにAmazon S3やAmazon Redshiftをご活用いただければ、生成AI機能も含め、さまざまなツールと連携しやすくなります。

ただ、データを持ってくるという点においては、AWSのサービスや機能だけでシンプルに実現することが難しいケースもあります。われわれにとっては、数百に渡るサービスのAPI仕様を理解し、コネクター開発に投資するのも大変だし、国産SaaSへの対応も難しいからです。その点、APIプロフェッショナルであり、広範なサービスにつなげるCDataは大変ありがたい存在です。

グロービス経営大学院の事例で見るAPIとデータ分析の価値

大谷:まずはAWSのデータ分析基盤とCDataの事例を教えてもらえますか?

杉本:基幹システム、SFA、CRM、MAのデータを集め、CDataを使ってAWSにデータを流し込み、BIツールでダッシュボードを作ろうというパターンはけっこうあります。

公開されている事例としては、グロービス経営大学院さまが上げられます。MAやCRMを使っている部門で、データ活用チームが立ち上げ、全社的な経営レポートを作っていこうという事例です。使われていたSalesforce、Marketoなどのサービスで、デジタルデータは基幹システムやSQL Serverに溜まっていました。

グロービス経営大学院の課題

今までは、各地域のキャンパスごとに担当者がデータを集めて、Excelで分析やダッシュボード、レポートを作成していたのですが、データ分析に時間がかかりすぎ、学生とのコミュニケーション時間も確保できなくなりました。また、データのゆらぎや定義の不一致により、適切なデータ分析の妨げにもなっていました。

大谷:データ自体に問題があったんですね。

杉本:たとえば体験クラスや説明会の出席率と契約数を分析し、経営に活かそうとしたのですが、指標の出し方がキャンパスごとに違っていたんです。だから、仙台校は見学の出席率はいいのに、契約率が悪い、東京校はその逆みたいな結果が実態に合わなくなっていました。 集計の仕方、数字の捉え方、データカタログの見方の違いが、それぞれのキャンパスで違っていたんです。

そこでグロービス経営大学院さまは、全データをCData Syncを介して、Amazon Redshiftに一元化することにしました。CData Syncを使えば、他のデータソースのデータ構造を保ったままRedshiftにレプリケーションできます。これにより、異なるキャンパスでも同じデータ、同じ分析指標が使えるプラットフォームをAWSで作り上げました。

ERPのデータだけ分析する時代は終わった

大谷:CData Syncで評価されたのはどのあたりなんですか?

杉本:この案件はMAツールのMarketoのデータが要でした。というのもMarketoのデータって、API仕様としてアクセスしづらかったんです。

Marketoはキャンペーンで得たリードに対してアクティビティのデータがひも付きます。「Webにアクセスしてくれた」「Eメールを開いてくれた」「Eメールのリンクをクリックしてくれた」などのデータです。これはキャンペーンにもひも付きますが、リードにもひも付くので、横断的なデータ収集が大変です。

Marketoのコネクターは他社も出していますが、「ここまでデータを収集できるのはCDataしかない」とグロービスさんには評価をしていただきました。弊社がAPIのプロフェッショナルなので、コネクターをどのように設計すればデータを取得しやすいのかを理解しています。こうしたノウハウと実績が活きた事例だと思います。

大谷:品質のよいデータをリアルタイムに収集できるわけですね。

杉本:アクティビティまで含めて分析しないと、オープンキャンパスへの流入を増やせばいいのか、来た人たちの好感度を上げればいいかの判断ができないんです。特にグロービス経営大学院さまは、Webマーケティングに力を入れているので、Webから得られたリードそれぞれの行動を分析し、仮説を立て、プランニングするフェーズを回しています。

現在は、もはやERPのデータだけを分析すればいいという時代ではなくなりました。せっかくいろいろなツールのデータが見られるようになったので、ERPの売上データをドリルダウンして、CRMやSFAでどのような製品から発生しているのかを見て、MAでどのような経緯で製品に行きついたのかを見て、アナリティクスツールのキャンペーンやWebサイトのデータを見て、初めてどの施策が一番ふさわしいのかを経営判断としてジャッジすることが可能になるんです。

(つづく)

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