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BMI×ゲノムで2型糖尿病の遺伝的リスク予測精度を向上

2024年06月13日 06時32分更新

文● MIT Technology Review Japan

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大阪大学、東京大学、東北大学などの共同研究チームは、体格指数(BMI)を使用することで、ポリジェニック・リスク・スコア(PRS)による2型糖尿病の遺伝的リスク予測精度が向上することを発見した。PRSは、ヒトゲノム配列上に存在する数百万カ所の遺伝子変異のうち、疾患との関連が示唆された数十~数十万の遺伝子変異について、個人ごとに計算したスコアで、疾患発症リスクと相関することが示されている。

大阪大学、東京大学、東北大学などの共同研究チームは、体格指数(BMI)を使用することで、ポリジェニック・リスク・スコア(PRS)による2型糖尿病の遺伝的リスク予測精度が向上することを発見した。PRSは、ヒトゲノム配列上に存在する数百万カ所の遺伝子変異のうち、疾患との関連が示唆された数十~数十万の遺伝子変異について、個人ごとに計算したスコアで、疾患発症リスクと相関することが示されている。 研究チームは今回、遺伝的に予測したい対象集団をBMIが高い群/低い群といったように層別化することで、PRSによる予測精度がどのように変化するのか調査。さらに、このBMI層別化に加えて、集団間の遺伝的な違いを調整する機械学習手法を組み合わせることで、日本人集団における予測の向上を目指した。 その結果、肥満ではない集団において、2型糖尿病の遺伝的なリスク予測がしやすいことを発見。日本人集団と欧米人集団の遺伝的な違いを補正する機械学習手法と組み合わせることで予測精度をさらに向上できることを見出した。加えて、日本人集団に多い非肥満2型糖尿病は、これまでゲノム情報があまり詳しく調べられていなかったが、大規模ゲノム解析によって、インスリン分泌に影響する遺伝因子が背景にあることを実証した。 失明・神経障害・腎不全・脳卒中・心筋梗塞など、多くの合併症を起こす重大な病気である2型糖尿病は、日本国内で1000万人以上の患者がいると言われている。今回の成果は、2型糖尿病の遺伝的リスク予測制度を向上するとともに、将来的に、糖尿病予防や合併症予防といった個別化医療へ貢献することが期待される。 研究論文は、米国科学誌ネイチャー・ジェネティクス(Nature Genetics)のオンライン版に2024年6月11日付けで掲載された

(中條)

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