ライブストリーミングプラットフォームTwitchは6月6日、大手メジャーレーベルなどと提携し、DJによるライブストリームで使用した楽曲の使用料をアーティストに還元できる新プログラム「Twitch DJプログラム」を発表した。本プログラムは2024年7月以降に開始する。
著作権で保護された音楽でDJ配信を
Twitchはオンラインストリーミングの先駆けであり、ゲームやエンターテインメントの実況で人気だが、音楽配信に関しては著作権処理が長年問題となっていた。
特に複数の曲を使う必要があるDJのパフォーマンスは、著作権処理の問題で曲や動画がミュートされる問題が頻発していた。
このプログラムは、Twitchに「DJ」カテゴリーを新設し、DJが著作権で保護された音楽を使用してライブストリーミングを行うことを可能にする仕組みだ。
参加したDJが配信でほかのミュージシャンの音楽を使用する際、DJチャンネルで発生した収益の一部をTwitchが預かり、ミュージシャンの代理人である音楽会社を通じてミュージシャンに支払われる。
このコストはTwitchとDJが50/50で負担するが、DJの収益減を緩和するため1年間は補助金が提供され、DJのプロモーションや露出の機会も増加するとしている。
Twitchによると、2020年初頭からDJの配信数は4倍以上に増加しており、これまでDJは自力で著作権問題に対処し、削除通知や著作権侵害警告のリスクを負ってきた。Twitchは「DJコミュニティが直面する問題を解決するため」数年間レーベルと交渉してきたという。
新プログラムは今夏後半に開始。オプトインしたDJは「DJ」カテゴリーで、契約で許諾された「数百万のトラック」を使用可能になる。ただし、VOD、クリップ、ハイライトは対象外だ。
プログラム参加は任意だが、不参加のDJは著作権侵害のリスクがあることを留意する必要がある。
業界初! 3大メジャーレーベルを含む数百の企業と提携
肝心の利用できる楽曲だが、「Universal Music Group」「Warner Music Group」「Sony Music」のいわゆる3大メジャーレーベルおよび、「Atlantic Records」「Def Jam Recordings」といった傘下レーベルの楽曲やそのほかの権利保有者、加えて数百を越える独立系レーベルの権利を代行する「MERLIN」とも契約しているため、「Epitaph」「Ninja Tune」「Sub Pop」といった独立系レーベルの楽曲も含まれている。
とは言え、プレイする音楽ジャンルによってはこれ以外の楽曲を利用したくなる場合もあるだろう。その場合は権利を持つレーベルやアーティストと直接ライセンス契約を結ぶ、もしくは「MixCloud」「SoundCloud」「Beatport」といったDJミックスを合法的に配信できるプラットフォームを検討する必要がある。
いずれにせよ、DJミックスを配信する場合は、その配信プラットフォームにおいて全ての楽曲の権利がクリアされていることを確認することが重要である。