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ヒトiPS細胞から胆汁排泄能を備えた肝組織、東大などが作製

2024年06月06日 06時09分更新

文● MIT Technology Review Japan

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国立国際医療研究センター(NCGM)と東京大学などの共同研究チームは、胆汁排泄を再現することが可能なヒト肝組織平面培養系を作製することに成功した。今後、創薬のための薬物動態試験や肝疾患研究に応用されることが期待される。

国立国際医療研究センター(NCGM)と東京大学などの共同研究チームは、胆汁排泄を再現することが可能なヒト肝組織平面培養系を作製することに成功した。今後、創薬のための薬物動態試験や肝疾患研究に応用されることが期待される。 研究チームは以前、肝臓の元となる「肝芽細胞」(胎児で肝臓が発生する過程で出現する前駆細胞)をiPS細胞から誘導しており、この肝芽細胞が肝細胞と胆管にそれぞれ分化できることは分かっていた。今回、この細胞から肝細胞と胆管を「半3次元(Semi-3D)」培養で同時に分化・融合させることにより、肝細胞層の上部に胆管構造が配置された「ヒト肝胆オルガノイド(hHBO)」を作製。さらに、既存薬を用いた解析から、胆汁排泄や肝毒性を予測できる可能性を示した。 肝臓は薬物代謝の中枢を担う臓器であり、ADMET(薬物が体内に取り込まれてから排出されるまでの過程や肝毒性)に関する情報は製薬企業が新薬を開発する上で必要不可欠な情報となる。しかし、動物試験では、ヒトのADMETを完全に予測できないこと、ヒト肝細胞培養系では、胆管が備わっていないことから胆汁排泄の流れを再現できないなどの問題があった。 研究論文は、バイオマテリアルズ(Biomaterials)オンライン版に、2024年5月29日に掲載された

(中條)

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