NVIDIAは6月2日、台湾で開催されたCOMPUTEXにおいて新しい「GeForce RTX AI」搭載パソコン向けに、AIに特化したツール・SDK群「NVIDIA RTX AI Toolkit」など多数の新技術を発表した。
ASUSとMSIから新AIラップトップを発売
ASUSとMSIから発売される新しい「GeForce RTX AI PC」ラップトップは、最大で「GeForce RTX 4070」ビデオカードを搭載し、Windows 11のAI機能に対応した電力効率の高いシステムオンチップを特徴としており、ゲーミングやクリエイティブワークをはじめとする様々な分野で、AIの力を最大限に引き出すことができるという。
ツールSDK群「NVIDIA RTX AI Toolkit」
今月下旬から幅広い開発者に提供される予定の「NVIDIA RTX AI Toolkit」は、開発者がPC上でAIモデルのカスタマイズ、最適化、デプロイを効率化するツール・SDK群だ。
同キットに含まれる「NVIDIA TensorRT」でモデルを最適化することで使用メモリーを3分の1に減らすことによって、事前学習済みモデルと比較して最大4倍の高速パフォーマンスを実現するという。
NVIDIA RTXによるアクセラレーションによって、生成AIモデル「Stable Diffusion」を使った画像生成アプリ「ComfyUI」も高速化し、現在出荷されているバージョンと比較して最大60%の性能向上、「MacBook Pro M3 Max」と比較して7倍の性能向上を実現したという。
さらに、マイクロソフトの協力により本年度後半、「Windows Copilot Runtime」にRTXアクセラレーションを備えた小規模言語モデル(SLM)用のAPIが追加される予定だ。
これにより、開発者はWindows用アプリケーションに、高速で効率的なAI機能を簡単に組み込めるようになると期待されている。
AIアシスタント「Project G-Assist」
同日発表された「Project G-Assist」は、PCゲームやアプリケーションにコンテキストを認識したヘルプを提供するAIアシスタント。ユーザーの入力と画面の文脈情報を処理し、知識データベースを用いてユーザーに合わせた回答を生成する。
NVIDIAは、「ARK: Survival Ascended」を開発するStudio Wildcardと提携、同ゲーム内で「Project G-Assist」の技術デモを披露。
このデモでは、ゲーム内の生物、アイテム、目的、ボスなどに関するプレイヤーの質問に回答したり、システムを最適なパフォーマンスと効率で設定することが可能になっている。
デジタルヒューマンプラットフォーム「NVIDIA ACE」
また、会話型AIキャラクターを作成できるデジタルヒューマンプラットフォーム「NVIDIA ACE」に、PCデバイス上でリアルタイムにインファレンス処理をするマイクロサービス「NVIDIA NIM」が追加された。
音声認識、言語理解、音声合成、表情のアニメーションといった機能を、クラウドではなくローカルPC上で実行できるようになるため、プライバシーとレスポンス性に優れた、インタラクティブ性の高いアプリケーションを構築できるようになったという。