サイボウズは、2024年11月1日より、kintone、クラウドサービス版のサイボウズ Office、Garoon、メールワイズなどの各サービスの価格体系を変更する。全サービスが値上げとなったが、影響としては最小契約数の変更も大きい。また、エンタープライズ向けにアプリ数、スペース数、APIの上限が引き上げられた「ワイドコース」が新たに新設された。
価格に加え、最小利用人数も改定 kintoneは月額1万円からスタート
業務改善プラットフォームであるkintoneは、ライトコースが1ユーザーあたり月額780円から1000円へ、スタンダードコースが月額1500円から1800円に値上げされる。
kintoneと同じく、クラウド版のサイボウズ Officeもスタンダードコースが月額500円から600円へ、プレミアムコースが月額800円から1000円へと値上げ。 Garoon(~300ユーザー)は月額845円から900円へ、Garoon(301~1000ユーザー)は月額800円から900円へ。メールワイズはスタンダードコースが月額500円から600円へ、プレミアムコースが月額1500円から1800円となり、全製品が値上げとなった。
価格改定は2024年11月1日(10月1日以降手続き分)から。サイボウズは価格改定の理由として、「運用や開発をはじめとした運営全体への投資を拡大し、より良いサービスを提供していくため」を挙げている。なお、チーム応援ライセンス、スクール&ペアレンツライセンス、Garoon for LGWAN、自治体向け全職員導入キャンペーンなどのライセンスに関しては変更はない。
価格改定ともに影響が大きいのは、最小契約ユーザー数が5ユーザーから10ユーザーに引き上げられたことだ。2021年の中小企業庁の調査では、国内企業の99.7%が従業員数300名以下の中小企業だが、このうち84.5%が20名以下の小規模事業者となる。今回の最小契約ユーザーの引き上げにより、10名以上の企業でも月額1万円からのスタートとなり、5名以下のいわゆる零細事業者はkintoneの対象ユーザーから外されることになる。なお、kintoneに加え、メールワイズの最小契約ユーザーも2ユーザーから5ユーザーに引き上げられている。
3000円のワイドコースではアプリ数とスペース上限を引き上げ
また、価格改定に先立つ2024年7月8日より、契約数1000ユーザー以上の全社・大規模導入のユーザーを対象に、kintoneの新規コース「ワイドコース」が開始される。
料金改定で月額1800円となったスタンダードコースは、アプリ数の上限が1000個、スペース数の上限は500個で、APIアクセス数も1万/1日だった。これに対して新設された1ユーザー月額3000円のワイドコースでは、アプリ数の上限を3000個、スペース数の上限を1000個まで引き上げた。また、1日あたりのAPIリクエスト数の上限も、スタンダードコースの10倍となる10万に引き上げた。これらの設定値については、ユーザー数や活用方法に応じて、個別相談で増加することも可能だという。
また、ワイドコースではスタンダードコースで対応している外部サービスとの連携、プラグイン、拡張機能に加え、 「ポータル機能強化」「承認履歴機能」「プロセス管理強化」「アプリ分析機能」など、専用の拡張機能も提供される。
2011年11月に開始されたkintoneは、長らく中小企業向けの業務改善プラットフォームとしてノーコードのアプリ開発環境を提供してきた。2024年6月現在、ユーザー企業は3万3000社を超え、毎月650社が新規に契約するまでの成長となっている。一方、大規模(エンタープライズ)企業や全社展開においては、アプリやスペース数のほか、特にAPIの利用制限が課題となっており、サービス基盤自体の底上げが求められていた。