シャープは5月14日、2023年度の決算および中期経営計画について発表。そのなかで、テレビなどに使用する大型ディスプレーの生産を2024年度中に停止すると発表した。
同社の事業は大きく分けて、スマートオフィスなどの「ブランド事業」とディスプレイ生産などの「デバイス事業」の2つに分かれるが、2023年度はブランド事業の営業利益が前年度と比べ伸びた一方、デバイス事業は大型ディスプレーの苦戦と中小型ディスプレーの急激な需要悪化が重なり業績が低迷。全体としては2期連続の赤字となっている。
これを受けて同社は、デバイス事業に対して長期間、技術や工場投資が十分できない状態が続き、競争力が低下しつつあると判断。2024年度中に生産停止や減産、人員の適正化を進め、赤字幅の縮小に取り組むことを決めた。
大型ディスプレーについては、グループ企業「SDP」堺工場に設置されたOLED生産ラインを閉鎖。同社は今後、インド有力企業への技術支援や、AIデータセンター関連ビジネスを担当する企業として事業転換する。
中小型ディスプレーを製造する亀山第二工場と三重第三工場については、生産能力を縮小した上で、他社との協業や工場の最適化を進め、収益改善を図る方針だ。
かつてシャープの花形だったディスプレー事業は、大きな転換点を迎えている。