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親なら知っておきたい人気スマホアプリの裏側と安全設定 第271回

保護者の3割はSNSの年齢制限を知らずに使わせている

子どもの2割は知らない人とSNSやゲームでやり取りしている

2024年05月21日 09時30分更新

文● 高橋暁子 編集●ASCII

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一部のSNSに、利用規約上、年齢制限があることを知っていますか

子どもが所有する機器最多は「スマホ」

 子どもがスマートフォンを使うのは一般的となってきたが、最新の実態はどうなっているのか。小中高校生を対象とした、東京都生活文化スポーツ局の「家庭における青少年のスマートフォン等の利用等に関する調査報告書」(令和6年2月)を見てみよう。

 まず、機器所有者における所有機器は「スマートフォン」が80.4%で最多に。次いで「携帯ゲーム機」(27.1%)、「キッズ携帯」(23.6%)などとなっている。

 「スマートフォン」の所有割合は、中学生以上では95%以上。さらに、小学校1~3年生、小学校4~6年生でも「スマートフォン」の所有割合は60%以上となり、「キッズ携帯」を上回った。

 もはや、子どもがスマートフォンを所有することは珍しくない。それは数字からも裏付けられているのだ。

対象年齢外の小学生も1割前後がSNSを利用

 子どもがスマートフォンでしていることについて聞いたところ、「SNS(LINE、X(旧Twitter)、Facebook、Instagram、TikTokなど)」が66.3%で最多。次いで「動画視聴」が53.5%、「ゲーム」が43.0%となっている。中学生、高校生は「SNS」の割合が70%超と特に高い。

お子さんが利用しているSNSは次のうちどれですか(いくつでも)

 使用しているSNSは、「LINE」が66.6%で最多であり、「YouTube」(47.8%)、「Instagram」(26.6%)と続く。「利用していない・わからない」は18.9%、「知っていた」が67.7%、「知らなかった」が32.4%となっている。

 小学校1~3年生、小学校4~6年生では「利用していない・わからない」がほぼ30%である一方、どのSNSも1割前後の小学生が利用している。しかし、選択肢に挙がっているSNSは基本的に13歳以上対象であり、LINEでも12歳以上推奨だ。

 さらに、保護者にSNSに利用規約で年齢制限があることを知っていたか聞いたところ、「知っていた」は67.7%、「知らなかった」が32.4%となっている。なんと3割の保護者が年齢制限を知らず、その結果、対象年齢外の子どもたちがSNSを利用してしまっているというわけだ。

子どもの2割は「知らない人とやり取り」あり

 さらに、子どもがインターネットやSNSを通じて知らない人とやり取りしたことがあるかについて、保護者に聞いたところ、「ある」は19.0%、「ない」は57.0%、「わからない」は24.1%とだった。子どものおよそ2割は知らない人とやり取りしており、保護者が把握できていない割合も全体の4分の1に至っている。

お子さんが、SNSやインターネットを通じて知らない人とやり取りをしたことがありますか

 知らない人とのやり取りの内容についても聞いたところ、「SNSのダイレクトメッセージやメール、LINE等でメッセージの送受信をした」が61.7%で最多。次いで「ゲームで対戦したり、チャットをした」が37.5%、「音声通話、ビデオ通話をした」が27.7%などとなった。

 中学生、高校生では「SNSのダイレクトメッセージやメール、LINE等でメッセージの送受信をした」が70%前後と特に多い。また、小学校1~3年生では「顔や身体の写真・動画の送受信をした」が33.6%で2番目に多かった。

知らない人とどのようなやり取りをしていましたか(いくつでも)

 令和4年度と比較すると、「SNSのダイレクトメッセージやメール、LINE等でメッセージの送受信をした」は15.4ポイント、「音声通話、ビデオ通話をした」は9.8ポイント減少した一方、「顔や身体の写真・動画の送受信をした」が11.0ポイント増加している。自撮りや配信などが一般的になってきたことで、子どもたちの抵抗感が薄れているのかもしれない。

 顔や身体の写真・動画を送信すると、相手によっては悪用されてデジタルタトゥーになる恐れがある。騙されて裸の写真を送らされてしまった場合、児童ポルノサイトに掲載されたり、ネット上にばらまかれたり、脅迫されて性被害に遭う例まであるのだ。

 そもそも、年齢対象外の小学生はSNSを利用するべきではない。また、保護者が危険性を理解せずに自由に利用させることで、子どもがこのようなリスクにさらされていることは間違いない。

 保護者がSNSのリスクを理解し、子どもと話し合ってルールを決めて、安全に利用するための設定や見守りをすることで、はじめて子どもの安全は守ることができる。ぜひ参考にしていただければ幸いだ。

著者紹介:高橋暁子
 ITジャーナリスト、成蹊大学客員教授。書籍、雑誌、Webメディアなどの記事の執筆、監修、講演などを 手がける。SNSや情報リテラシー教育に詳しい。『ソーシャルメディア中毒』(幻冬舎)、『Twitter広告運用ガイド』(翔泳社)、『できるゼロからはじめるLINE超入門』(インプレス)など著作多数。テレビ、ラジオ、新聞、雑誌などメディア出演も多い。公式サイトはhttp://akiakatsuki.com/、Twitterアカウントは@akiakatsuki

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