親なら知っておきたい人気スマホアプリの裏側と安全設定 第317回
子どもだけで決済できてしまう状態が危ない
ライブ配信で未成年の高額投げ銭トラブルを防ぐには「支払い方法」を押さえましょう
2025年04月08日 09時30分更新
投げ銭ありの顔出しライブ配信で殺人事件も
ライブ配信では、配信者に対して視聴者から換金できる仮想アイテム「投げ銭」を送ることができる。ライブ配信で生活している配信者もいる状態だ。
先日、街中でライブ配信中の女性が視聴者に殺害される事件が起きたが、ライブ配信では未成年の投げ銭トラブルも増えている。注意点についてご紹介したい。
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一般人配信者に投げ銭をしたくなる訳
ライブ配信での人気ジャンルはトーク、雑談、音楽系、ゲーム実況系など多岐にわたり、YouTubeライブ、17LIVE(イチナナ)、SHOWROOM(ショールーム)、Pococha(ポコチャ)、ふわっちなどのほか、InstagramやTikTokなどでも実施されている。
一般人でも人気になる理由は、ホスピタリティーだ。配信を見に行くと「○○さん」と名前を呼んでもらえる。繰り返し見に行くと、「○○さん、また来てくれたんだ。うれしい」と喜んでもらえる。やり取りで人間関係ができることで大切な居場所となり、相手を応援したい気持ちになるのだ。
投げ銭によるランキングイベントなどもあり、上位者は報奨金やCM出演権などのメリットがある仕組み。配信者にとっては収益になるだけでなくさまざまなメリットがあるため、お願いを繰り返す。
視聴者は、配信者を応援したい、配信者に認められたい、一番の支援者になりたいと思い、投げ銭を繰り返すようになる。投げ銭は、金額が高額になればなるほどメッセージが長く表示されたり、派手な演出がある仕組みとなっている。ついつい投げ銭をしたい仕組みが整っており、気付いたら投げ銭をし過ぎてしまう未成年が増えているというわけだ。
投げ銭に関するルールの徹底を
ライブ配信の投げ銭の支払いには、さまざまな方法が用意されている。クレジットカードのほか、デビットカード、プリペイドカード、キャリア決済、アプリストアのギフトカード、PayPayなど多様な選択肢があるため、クレジットカードなどを持たない子どもでも課金ができてしまうのだ。
子どもがパスワードを知っていたり、パスワードの入力が必要ない状態で利用させていた場合、子どもだけで決済できてしまうこともある。その結果、子どもの無断での高額投げ銭課金トラブルにつながってしまうというわけだ。
国民生活センターには、小学生が保護者に無断で30万円以上投げ銭をしてしまった例や、中学生が音楽ダウンロードや投げ銭などで数ヵ月の間に100万円以上使い込んでいた例などの相談が寄せられている。
ライブ配信を見ると投げ銭が多く飛び交っており、「投げ銭をするのが当たり前」という気持ちにさせられてしまい、配信者が喜ぶからとつい投げ銭したくなる子どもは多い。子どもに利用させる場合は、そもそも投げ銭はありかなしか、ありの場合でもお小遣いの範囲で止めるよう、約束をさせておこう。同時に、利用アプリの投げ銭の課金の方法についても知っておきたい。
パスワードは子どもが推測できないものに設定したうえでログアウトし、その都度パスワード入力が必要な設定にしておこう。クレジットカードはしっかり管理し、利用明細書は毎月確認し、アプリストアの領収メールも確認して、無断課金にはすぐに気づけるようにしておこう。ペアレンタルコントロール機能で課金を制限した端末を利用させてもいいだろう。
子どもが無断で投げ銭をしていた場合、未成年の保護者の同意を得ない課金は「契約取消権」によって取り消せる可能性があるので、消費者ホットライン(188)に相談してほしい。ただし、クレジットカードを使っていたり、保護者の同意を得ているとウソをついていた場合などは返金されない可能性もある。無断で投げ銭課金させない対策が大切だ。
著者紹介:高橋暁子
ITジャーナリスト、成蹊大学客員教授。書籍、雑誌、Webメディアなどの記事の執筆、監修、講演などを 手がける。SNSや情報リテラシー教育に詳しい。『ソーシャルメディア中毒』(幻冬舎)、『Twitter広告運用ガイド』(翔泳社)、『できるゼロからはじめるLINE超入門』(インプレス)など著作多数。テレビ、ラジオ、新聞、雑誌などメディア出演も多い。公式サイトはhttp://akiakatsuki.com/、Twitterアカウントは@akiakatsuki

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