有機EL搭載&真のプロ仕様になったiPad Proに、Apple PencilもProに進化! 春のiPad祭り特集 第10回
【現地レポ】iPad新製品が「久々」であり「大型アップデート」になった理由を探る(西田宗千佳)
2024年05月09日 07時00分更新
iPad Proは「タンデムOLED」と「M4」ありき
タンデムOLEDには課題もある。2枚のOLEDの組み合わせで映像を作るため、発色や輝度のコントロールが複雑化するのだ。
複雑化の副作用がないかどうかは、もっとじっくり製品を試さないとわからない。しかしどちらにしろ、従来以上に複雑なディスプレイコントローラーが必須になる。
今回の場合、それは新プロセッサーである「M4」の中に搭載されている。
同じ「M2」「M3」「M4」といったブランドネームのプロセッサーであっても、実際の製品で使われる場合には「製品ごと」に中身の構成が違う。今回のM4は「iPad Proのために用意されたM4」であり、新しいディスプレイコントローラーの内蔵なしにはOLED採用のiPadは産まれえなかった……ということになる。
なぜ昨年iPad Proがリニューアルされなかったのかアップルはコメントしておらず、あくまで予想することしかできない。
だが、「タンデムOLEDの準備」「M4の準備」の両方が揃わないと、iPad Proの刷新が難しかったのであろう、という予測は成り立つ。
M3搭載版を作ること自体はできたのだろうが、アップルが目指していた「次の刷新」が今回のOLED搭載iPad Proだったのだとしたら、すべてが揃うタイミングが今年になってしまうということだったのだろう。それは、「iPad Proの技術を受け継ぐiPad Air」という製品ヒエラルキーを維持する上でも必須のことだったろう。
クリエイター向けツールとして差別化するには、AI処理を含めた複雑な処理の負荷を減らす必要がある。M4はM2と同じ処理を半分の消費電力で実行し、AI処理の速度も上がっている。今回、「Final Cut Pro」や「Logic Pro」もアップデートした。機能自体は「Mシリーズ搭載であれば使える」というものが多いわけだが、M2搭載機(すなわち、現行バージョンのiPad Proや新型のiPad Air)と差別化するためにも、M4を先駆けて導入する必然性があった……と推察できる。
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