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「Broadcomのビジネスモデルに顧客企業は懸念、Nutanixに長期的なビジネス機会が生まれた」

Nutanix CEOが語る「VMware買収の影響」、この先の「ITモダナイズ」

2024年05月07日 12時30分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp 写真● 曽根田元

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 米BroadcomがVMwareを買収し、製品ライセンスの大幅な変更(永久ライセンスの廃止とサブスクリプションモデルへの移行)、製品パッケージの変更、チャネルパートナープログラムの変更などを相次いで行ったことで、市場には大きな動揺が広がっている。場合によってはライセンスコストの大幅増になることから、VMwareの顧客企業やSIerでは、VMware環境からの“脱却”方法や移行先を模索する動きが出ている。

 これを好機ととらえるのが、他の仮想化ハイパーバイザやHCI(ハイパーコンバージドインフラ)を提供するベンダーだ。今回はNutanix CEOのラジブ・ラマスワミ氏、ニュータニックス・ジャパン社長の金古毅氏に、VMware買収による影響と今後の戦略、そしてその先に求められるITインフラのモダナイゼーションの動向を聞いた。

Nutanix プレジデント兼CEOのラジブ・ラマスワミ(Rajiv Ramaswami)氏(右)、ニュータニックス・ジャパン コーポレートVP 兼 代表執行役員社長の金古毅氏(左)

最新四半期は前年比23%の伸び、高い成長を促す“4つの要因”

――まずはNutanixのビジネス概況について教えてください。

ラマスワミ氏:最新四半期(FY24 Q2、2023年11月~2024年1月期)の業績は非常に好調で、すべて目標指標を上回る結果だった。目標を上回るのは7四半期連続のことであり、フォーキャストの上方修正も行った。

 Q2の収益は過去最高の5億6500万ドル(前年同期比23%増)を記録し、ARR(年間経常収益)も前年比26%の伸びとなる17億4000万ドルだった。これは、Nutanixが“サブスクリプション型のソフトウェアカンパニー”への変革を完了したことの証だと言えるだろう。

Nutanixの最新業績のインフォグラフィック(FY24 Q2)

――力強いビジネス成長の背景にはどんな要因があるのでしょうか。

ラマスワミ氏:4つの要因があると考えている。1つずつ説明しよう。

 まずは、あらゆる企業がハイブリッド・マルチクラウド環境を運用するようになったという要因がある。

 とくにデジタルトランスフォーメーション(DX)が進む中では、アプリケーションやデータをあらゆる場所で自由に実行できる「ITインフラのモダナイズ」が必要となる。データセンター、パブリッククラウド、エッジのいずれでも実行できるIT環境が必要だ。Nutanixは、そうした(分散/多様化した)IT環境をシンプルに一元管理できるソリューションを提供している。これが1つめだ。

ラマスワミ氏

 2つめの要因が、IT業界全体で進む統合の動きの中で発表された、BroadcomによるVMwareの買収だ。

 わたし自身、VMwareには長年在籍した経験を持つが、VMwareという企業は非常にイノベーティブなテクノロジーカンパニーとして顧客に好まれていた。しかし、Broadcomのビジネスモデルはそれとは違う。彼らは、買収したアセットの価値を2、3年のうちに最大化しようという方針だ。そうした方針に懸念を持ち、VMware環境からの移行を検討する顧客は増えており、その“ベストな移行先”のひとつとしてNutanixが選ばれている。

 つまり、BroadcomによるVMwareの買収によって、Nutanixには今後何年にもわたる大きなビジネス機会、ビジネスチャンスが生まれたことになる。

――VMware買収の影響については、のちほどあらためて聞きたいと思います。残り2つの成長要因は何ですか。

ラマスワミ氏:3つめは、われわれが昨年(2023年9月)Ciscoと発表した戦略提携だ。これは、CiscoとNutanixのプロダクトを組み合わせたハイパーコンバージドソリューションを展開していくというもので、現在は、Nutanixの製品をCiscoがグローバルでリセールしている。まだ提携をスタートしてから日が浅いものの、このパートナーシップの持つポテンシャルには大きく期待している。

 そして最後の要因が生成AIだ。長期的に見て、生成AIがモダンアプリケーション構築の動きを加速させるドライバーになると考えている。われわれは「Nutanix GPT-in-a-Box」というソリューションを昨年(2023年9月)発表しており、早期導入顧客からはとても良い反応をいただいている。

 企業が本格的に生成AIを活用していくうえでは、モデルのファインチューニングやRAGも必要になる。ここでのポイントは「データがある場所でそれらを実行しなければならない」ということだ。企業のデータは、パブリッククラウドだけでなくオンプレミスにもある。そこで、こうしたソリューションを提供するわけだ。

「Nutanix GPT-in-a-Box」は、「Nutanix Cloud Platform(NCP)」上にオープンソースの「PyTorch」や「Kubeflow」をバンドルし、AI/MLOps環境の導入、運用を容易にするソリューション

“VMware依存からの脱却”を求める企業の声、アーキテクチャ移行を支援

――VMware買収が市場に与える影響については、読者の関心も高いと思います。あなたの見解をもう少し詳しく教えてください。「今後のVMwareの方針を懸念する顧客も増えている」という話でしたが。

ラマスワミ氏:Broadcomは、VMwareのソフトウェアの価格体系やパッケージングの変更、さらにチャネルパートナーへの処遇を大きく変え、大幅なコスト削減にも着手している。そうしたBroadcomの戦略、動きを懸念する顧客企業は多い。実際、VMwareの顧客企業からは「VMwareへの依存性をどうやったら減らすことができるか」といった内容の問い合わせや相談が多く来ている。

 VMwareの顧客企業では、レガシーの3層アーキテクチャ、すなわちVMwareをハイパーバイザ(仮想マシン)としてのみ利用し、ストレージアレイと組み合わせているケースが多い。一方で、Nutanixはモダンな(Software Defined Storageを含む)HCIスタックを提供しており、顧客のアーキテクチャ移行が実現できる。ストレージハードウェアの更新時期をきっかけとして、Nutanixへのマイグレーションを行う顧客もいる。

 今回の件が「長期的なビジネス機会」になるとわれわれが考えているのは、VMwareとの契約期間がまだ数年残っている顧客企業も多いからだ。さらに買収発表後、すぐにはマイグレーションができないので“時間稼ぎ”のために再契約した企業もある。したがって、Nutanixにとっては長期間にわたるオポチュニティがあり、われわれとしても長期的に取り組んでいく構えだ。

――なるほど。日本国内のVMware顧客の動向はどうでしょうか。

金古氏:グローバルの動きからは少し遅れたが、現在ではグローバルと同様のお問い合わせが多い。ニュータニックス・ジャパンとしても、VMwareからの移行を全力で支援できるよう、お話をさせていただいている。

 その中でお客様にお伝えしているのは、まだVMwareとの契約期間が2年、3年と残っていたとしても「今の時点からちゃんとVMwareへの依存性を減らすために計画をしていく必要がある」ということだ。

金古氏

――チャネルパートナー向けには、今年の2月に「Nutanix Surgeプログラム」を発表しています。これはVMwareのパートナーを取り込もうという戦略でしょうか。

ラマスワミ氏:(VMwareの)パートナーにとっての大きな課題は、BroadcomがVMwareのパートナープログラムを変更したことだ。Broadcomは、大規模な顧客に対してはパートナーを介さずに、直販のかたちを取りたいと考えている。これは、チャネルパートナーにとっては良くない動きだろう。

 また、パートナーは常に顧客企業の満足度が高まることとは何かを考えている。(Broadcomによる戦略転換で)顧客が満足できない状況になってきたのであれば、顧客が満足できるような(新しい)ことをするというのが、パートナーの責務だ。

 VMwareのチャネルパートナーの多くは、すでにNutanixのチャネルパートナーでもある。しかし、まだNutanixのパートナーではない企業もあるので、現在はそうしたパートナーへのリクルーティングを進めている。新たなパートナーに対しては、技術トレーニングの提供や、Nutanix Surgeプログラムのようなインセンティブプログラムを展開している。

――ぶしつけな質問ですが、NutanixもやがてVMwareのように買収される可能性はゼロではない……と懸念する顧客がいるかもしれません。それに対する回答はありますか。

ラマスワミ氏:そもそもVMwareとNutanixとでは、企業の成熟段階がまったく違うと考えている。VMwareはすでに成熟した企業だが、Nutanixはまだまだ成長段階にある。現在は20億ドル規模の収益を上げており、FY27には30億ドル規模に成長できる見込みだ。Nutanixは、これからも独立企業として拡大を続けていく方針だ。

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