青い日記帳の推し丸アート 第25回

TOKYO WOOD TOWN 2040 山と木と東京

街歩きしながら無料で楽しめる! GWにもオススメの2040年の東京が「木の都市」になった未来が見えるデザイン展

文●中村剛士

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 2040年の東京を「木の都市」にする多様なデザインをプレゼンする企画展 「TOKYO WOOD TOWN 2040 山と木と東京」が、GOOD DESIGN Marunouchiをはじめとする5会場で開催されています。

GOOD DESIGN Marunouchi外観

 丸の内・大手町・有楽町・八重洲地区の全5会場ごとにテーマを設け、建築家、デザイナー、アーティスト、研究者、メーカー、ディベロッパー、建設会社等、多方面のプレイヤーの実践を紹介しています。

 4月18日からはじまった企画展 「TOKYO WOOD TOWN 2040 山と木と東京」。早速丸の内エリアの展示を観てきました。全ての会場が予約不要・無料で観られるので、ゴールデンウィークにもおすすめです。

第1会場:GOOD DESIGN Marunouchi
     「山と木のデザイン大全展」

会期:4月18日(木)~5月19日(日) 会期中無休
時間:11:00~20:00
会場:GOOD DESIGN Marunouchi (千代田区丸の内3-4-1 新国際ビル1F)、Slit Park

 内藤廣(内藤廣建築設計事務所)がインテリアデザインを手掛けたスタイリッシュで洗練された展示空間のGOOD DESIGN Marunouchiでは「山と木のデザイン大全展」が開かれています。

 グッドデザイン賞・ウッドデザイン賞の受賞デザインをはじめとする様々なデザインやクリエイターの実践が所せましと展示されています。

様々な作品が並びます

 「山で起きている問題に対し都市ができること」をテーマに掲げ、日本の森林の現状とそこにある課題を可視化し「都市ができること」を探究。分断した山と都市を新しい視点でつなぎ直す試みは花粉症に悩まされている現代人にもとても身近なことだと分かります。

 杉の木を使ったオブジェ制作を行う造形作家・有馬晋平の作品「東京木変」にも注目です。今回の作品制作にあたり、こんなコメントを寄せています。

有馬晋平「東京木変」

東京木変
有馬晋平
東京が木に生まれ変わるという。未来はそうであるらしい。
そんなことを知った私の心の中には、遠い未来と過去の風景が同時にぐるぐるとまわった。
木で作られた大都市、という人間の営みが朽ち果てていく様子と、その営みの中から生まれてくる木の化身たちが、古びた木の建物のそばにたたずんでいる。コダマという存在が、未来と過去を横断して行く風景。そんな風景がまぶたに映った。
私の仕事は、杉の木を削り出し、杉の化身である「スギコダマ」を作ること。
そんなことしていると、私の元には、様々な木が集まってくる。例えば、遠い昔に人々が植えた山の木。建物だった古材の木。倒れた街路樹や神社の木、等々。それを丸い姿に削り出した「コダマ」という作品も作っている。
作業場でひとり木片を刃物で削り続けて、ふと我に返り足元を見ると、木くずが山のように積み重なっている。まるで砂時計がつくる砂山のようだ。こんな時、自分が何をしているのか、何がしたいのか、不可解になるのである。
展示作品「東京木変」キャプションより

 
 なお、本会場と第2会場を結ぶ「Slit Park」には国産地域材で作るバレルサウナも設置されています!

第2会場 :「TOKYO WOOD TOWN 2040 都市木造スタジオ」
会期:2024年4月18日(木)~5月12日(日) 会期中無休
時間:11:00~20:00
会場:東京都千代田区丸の内3-4-2 新日石ビル1F

 第2会場はかなり本格的な都市木造展となっています。アート好き建築好きの方にとってはとってもヘブンな満足度の高い展示空間です。

第2会場外観

 都市に建つ中高層の木造建築のことを「都市木造」と呼ぶそうで、大量に木を使うことで森林の循環を促進させます。

 こちらの会場では「都市木造を設計中の設計事務所」を模した空間で、2021年以降増加している都市木造プロジェクト11件をそれぞれの模型とパネル、東京駅周辺の都市模型を使って紹介しています。

様々な模型やパネル展示が見られます

 以前こちらでも紹介した 2028年に丸の内に竣工予定の東京海上グループの新しい本店ビル「東京海上グループ 新・本店ビル」の模型などもありました。

「東京海上グループ 新・本店ビル」の模型も展示中!

注目を集める丸の内の森林のような新ビル! 設計は現代建築の父レンゾ・ピアノが担当!!
https://lovewalker.jp/elem/000/004/153/4153133/

第4会場:国際ビル1F エントランス
     「貫構造の可能性」

会期:2024年4月18日(木)~5月19日(日) 会期中無休
時間:10:00~22:00
会場:国際ビル1F 仲通り側エントランス(東京都千代田区丸の内3丁目1-1)

 国際ビル1F エントランスでは、京都清水寺本堂の木造構造から大阪・関西万博で注目を集める大屋根リングなどの建築模型が展示されています。垂直の柱と水平の横架材によって直交する格子が繰り返し広がる空間を模型により理解がぐんと深まります。

大屋根リングの模型は必見!

 「貫構造」と呼ばれる伝統木造であり柱と横架材の接合。その仕組は原始的な手法から、洗練された伝統技法、工学で評価した現代技法まで時代とともに変化していることが分かります。

 「貫構造」を用いた建物の模型をみながら、伝統と工学が融合していく貫構造の仕組とそれによって生まれる空間。大阪万博に俄然行きたくなってしまいます。

 企画展 「TOKYO WOOD TOWN 2040 山と木と東京」他の会場情報は以下の通りです。全て無料で観られるので街歩きを楽しみながら是非! 基本写真撮影もOKです。

第3会場:YAU CENTER
     「6steps|6段の階段 森の営みから生まれるダンス」

会期:2024年4月24日(水)~5月19日(日)
時間:12:00~19:00
*期間中のパフォーマンス等のイベント詳細は随時YAUのウェブサイトにてお知らせします。
参加申し込みはこちらからhttps://yau-6steps-gdm.peatix.com
休館日:月、火曜日 ※ただし5月6日(月・祝)は開館・入場無料
会場:東京都千代田区丸の内3丁目1-1 国際ビル 1F

第5会場:東京ミッドタウン八重洲 アトリウム
     「日本の木造技術、高層木造建築の歴史と未来」

会期:2024年4月18日(木)~5月19日(日) 会期中無休
時間:7:00~22:00
会場:東京都中央区八重洲2丁目2番1号

企画展「TOKYO WOOD TOWN 2040 山と木と東京」開催概要
会期:2024年4月18日(木)~ 5月19日(日) 11:00~20:00
都市木造スタジオは5月12日(日)終了/開場日時が会場によって異なります。
公式サイト:https://marunouchi.g-mark.org/twt2040.html
会場:
1 「山と木のデザイン大全展」 GOOD DESIGN Marunouchi (千代田区丸の内3-4-1 新国際ビル1F)、Slit Park
2「TOKYO WOOD TOWN 2040 都市木造スタジオ」(千代田区丸の内3-4-2 新日石ビル1F)
3「6steps|6段の階段 森の営みから生まれるダンス」 YAU CENTER(千代田区丸の内3-1-1 国際ビル 1F)
4「貫構造の可能性」 国際ビル 1F 仲通り側エントランス(千代田区丸の内3-1-1)
5「日本の木造技術、高層木造建築の歴史と未来」 東京ミッドタウン八重洲 アトリウム(中央区八重洲2-2-1)
入場料:全会場無料
主催:公益財団法人日本デザイン振興会
共催:NPO法人 team Timberize
特別協賛:三菱地所株式会社

荒廃した現在の日本の山林に手を入れ、豊かな森林資源を次代につなぐためには、山と都市の間に木と経済の循環を生み出すことが不可欠です。本企画展は、山と木と都市の現状に着目し、山と都市をつなぎ循環をもたらすデザインを通じて、2040年までに東京を「WOOD TOWN」に変えてゆく方策を展望します。 本展は、GOOD DESIGN Marunouchiだけでなく、大手町・丸の内・有楽町および八重洲地区の全5会場で展開し、会場ごとにテーマを設け、建築家、デザイナー、アーティスト、研究者、メーカー、ディベロッパー、建設会社等、多方面のプレイヤーの実践を紹介。さらに銀座エリアの連携拠点もネットワークし、2040年の東京を心地よく創造力にあふれた「木の都市」にするための技術やアイデアを、デザイン、アート、建築、都市開発の営みの中に探ります。

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