ユーザーの声を反映したクオリティ勝負に注力する
昨今はスマホやPCから様々なコンテンツ配信プラットフォームにアクセスして、音楽や動画、ゲームなどが手軽に楽しめるようになりました。Nothingが大切にするサウンドやオーディオの「クオリティ」の良し悪しは、どのような形でユーザーに届けることが効果的であるとペイ氏は考えているのでしょうか。
「人がサウンドの良し悪しを評価する基準は、得てして主観的です。そこにはユーザーの好みも多分に反映されます。メーカーは、テクノロジー側のアプローチだけで『絶対的にいい音』をユーザーに押しつけるべきではありません。Nothingは『これぞ、Nothingのシグネチャーサウンドである』という価値を見つけて、ユーザーに提案するべきであると考えます。そのためにはユーザーコミュニティとの関係を深めることが肝要です。Ear (2)ではアメリカのオーディオファイルであるYouTuberの方と、良いコラボレーションの形を実現して、その成果を得ることができました。私たちは日本にNothing Japanを立ち上げました。今後は日本のユーザーコミュニティとのつながりを深めながら、皆さまの声を製品開発にも活かしたいと考えています。ユーザーの皆さまが思い描く『ハイクオリティ』を製品に反映させることができれば、世代を超えて良い環境でコンテンツを楽しむことの価値がユーザーの皆さまに伝わるはずです」
Nothingには「CMF by Nothing」というサブブランドがあり、左右独立型のワイヤレスイヤホンのほか、ネックバンドスタイルのワイヤレスイヤホンやスマートウォッチも展開しています。最後にCMFの今後についてもペイ氏に聞きました。
「日本ではCMFをAmazon.co.jpからソフトローンチしました。Nothingが当社のプレミアムステータスのブランドであるとすれば、CMFはそのエッセンスを継承しながらより広いユーザーターゲットを狙うブランドです。それぞれの関係性を注視しながら、日本市場でもCMFを育てていきたいと思っています」
筆者紹介――山本 敦
オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。取材対象はITからオーディオ・ビジュアルまで、スマート・エレクトロニクスに精通する。ヘッドホン、イヤホンは毎年300機を超える新製品を体験する。国内外のスタートアップによる製品、サービスの取材、インタビューなども数多く手がける。