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親なら知っておきたい人気スマホアプリの裏側と安全設定 第267回

保護者層のフィルタリング認知度はまだ低い~こども庁の調査より

子どもに敵わない保護者のリテラシー。今後は大人への啓発が必要

2024年04月23日 09時30分更新

文● 高橋暁子 編集●ASCII

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インターネットに関する啓発や学習の経験(保護者)

ネット啓発学習経験は「子ども>保護者」

 前回ご紹介した通り、子どものネット利用範囲は広がっており、積極的に活用するようになっている。では、保護者の理解は進んでいるのか。引き続き、こども家庭庁の「令和5年度 青少年のインターネット利用環境実態調査」(令和6年2月)を見てみよう。

 保護者がインターネットに関する啓発や学習を受けた経験は、青少年全体の保護者が72.2%、低年齢層の子どもの保護者では58.2%だった。一方、青少年がインターネットに関する啓発や学習を受けた経験は85.0%で、「幼稚園・保育園→小学校→中学校→高等学校」と、学校種が上がるほど割合が増える傾向にある。

 多くの子どもはネットを使いこなしているが、保護者は子どものネット利用を制限・コントロールできていないことが多い。保護者と子どものリテラシーには差があり、子どものほうが高くなっているのが実態だ。保護者世代は啓蒙啓発を受けた経験に乏しく、それがそのまま保護者のリテラシーの低さにつながっているのだ。

 なお、子どもが啓発や学習を受けた機会は、学校・幼稚園・保育園等(95.3%)が最も多い。保護者が啓発や学習を受けた機会も、青少年の保護者は学校や保育園・幼稚園等の保護者会やPTAの会合など(56.4%)、学校や保育園・幼稚園等から配布された啓発資料など(54.6%)が多くなっている。学校や保育園・幼稚園での啓蒙啓発活動は効果的なのだ。

 低年齢層の子どもの保護者では、テレビや本・パンフレットなど(49.2%)、インターネット(45.8%)が多くなっている。年齢が上がって小中高校生の保護者でも、テレビや本・パンフレット、インターネット、保護者同士の会話などから情報を得る割合も少なくない。

フィルタリングの認知(保護者)

保護者層のフィルタリング認知度はまだ低い

 フィルタリングサービスやペアレンタルコントロール機能など、子どもをネットの危険やトラブルから守る機能は、保護者が設定、管理する必要がある。そもそも保護者が危険やリスクを知り、対策しなければ機能しないものだ。

 青少年の保護者のフィルタリング認知は「知っていた」(59.6%)と「なんとなく知っていた」(35.2%)を合わせると94.8%だった。一方で、低年齢層の子どもの保護者のフィルタリングの認知は、「知っていた」が45.9%に留まる。知らなければ、そもそもフィルタリングサービスを利用しようとも思わないだろう。

 昨今は低年齢層の子どもでも積極的にネットを活用している以上、保護者のネットリテラシーに対する認知度が低いことはトラブルに直結する可能性がある。子どもたちへの啓蒙啓発活動は進みつつあるが、保護者層にはまだ十分ではないようだ。今後は保護者層への啓蒙啓発の促進が重要なのではないだろうか。

著者紹介:高橋暁子
 ITジャーナリスト、成蹊大学客員教授。書籍、雑誌、Webメディアなどの記事の執筆、監修、講演などを 手がける。SNSや情報リテラシー教育に詳しい。『ソーシャルメディア中毒』(幻冬舎)、『Twitter広告運用ガイド』(翔泳社)、『できるゼロからはじめるLINE超入門』(インプレス)など著作多数。テレビ、ラジオ、新聞、雑誌などメディア出演も多い。公式サイトはhttp://akiakatsuki.com/、Twitterアカウントは@akiakatsuki

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