データパイプラインとETLパイプラインの違いとは?それぞれの特徴から選定のポイントまで解説

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 本記事はCDataが提供する「CData Software Blog」に掲載された「データパイプラインとETLパイプラインの違いとは?それぞれの特徴から選定のポイントまで解説」を再編集したものです。

 この記事では、データパイプラインとETLパイプラインの違いに焦点を当てて、それぞれのメリット・デメリット、そして選定の際注意すべきポイントをご紹介します。

 まずはデータパイプライン・ETLパイプラインの主な特性や機能について説明し、次に選定の際の考慮事項を説明します。社内でデータパイプラインやデータ分析基盤の構築を進めようとしている方の参考になればうれしいです。

 本題に入る前に、まずは用語について確認しておきましょう。「データパイプライン」と「ETLパイプライン」は同じ意味で使用されることがありますが、両者には重要な違いがあります。詳しく見ていきましょう。

ETLパイプラインとは?

 ETLパイプラインは、データパイプラインの一部を構成する特定の処理のことを指します。データ品質を向上させ、特に複雑な変換が必要な場合やBIアプリケーションでの活用に適しており、(プライバシー保護など)データコンプライアンスへの準拠やバッチ処理に重点を置いています。ETLパイプラインは、主に次の3つステップで構成されています。

抽出(Extraction)

 データベース、CSVやExcelなどのファイル、Webサービスなどさまざまなソースから、生データを全データの完全抽出または更新分の増分抽出によって収集します。

変換(Transformation)

 抽出されたデータに、クリーニング、正規化、統合を施すことでユースケースに合わせて分析時の使い勝手を向上します。

ロード(Loading)

 変換されたデータを、データの完全性とパフォーマンスの維持に重点を置きつつ、クエリおよび分析のためにストレージシステム(DWH/DB)に移動して、ビジネスアプリケーションで使用するためのデータを準備します。

 ETLパイプラインについてさらに詳しくはコチラ

ETLパイプラインの5つのメリット

 ETLパイプラインはデータ管理において極めて重要な役割を果たします。主な役割としては、データの品質と精度を大幅に向上させ、手作業によるデータ処理作業を自動化することでミスを減らし、業務効率化に役立ちます。

 ETLパイプラインのスケーラビリティは、データ量の増加への対応、データセキュリティの維持、データコンプライアンスの遵守、といったエンタープライズ企業が避けて通れない課題の解決に役立ち、効果的なデータ活用とレポーティングの重要な要素となります。

データ品質

 ETLパイプラインではデータ品質を優先し、徹底したデータクリーニング、変換、データエンリッチメントを行います。このプロセスにより、高精度で一貫性のあるデータが得られ、エラーや不整合が削減されます。

 データの品質に重点を置くETL パイプラインは、財務報告や顧客データ分析など、データの正確性が特にクリティカルなシナリオに最適です。

複雑なデータ変換

 ETLパイプラインは、データに大規模な変換が必要な環境に最適です。データ形式の変換、多様なデータソースからのデータの集約、ビジネスロジックの適用といった複雑なタスクを処理できるため、洗練された構造化データを必要とする場面に適しています。

BIツールでの活用

 BIツールとデータウェアハウスのニーズに合わせてETLパイプラインをカスタマイズすることで、容易に構造化されたデータを作成できます。これらの構造化されたデータセットは、データ分析や戦略的な意思決定に不可欠であり、データからインサイトを導くのに最適です。

バッチ処理

 ETLパイプラインは、データを定期的に特定の間隔で収集、変換、ロードするバッチ処理に適しています。このアプローチは、リアルタイムのデータ処理が必要とされない場面で実用的であり、特に大規模なデータセットを扱うシナリオにおいて、より効率的なデータ処理が可能になります。

セキュリティとコンプライアンス

 ETLパイプラインには、多くの場合その構造化されたアプローチによって、データセキュリティとデータコンプライアンスを確保するための手段が組み込まれています。これには、データリネージの維持、データプライバシーの確保、データガバナンスポリシーの遵守が含まれ、機密データや規制対象データの処理に最適です。

データパイプラインとは?

 データパイプラインは、データベース、アプリケーション、IoTデバイスのようなデータ生成システムなどをデータソースとして、データを保存、分析、利用可能な目的地に移動するプロセスの全体を指します。データパイプラインにはETL/ELT 機能のすべてまたは一部が含まれることがありますが、それらに限定されるものではありません。

 データパイプラインはデータフローの(文字通り)パイプとして機能し、データの生成から格納、分析、活用までをつなぎます。データパイプラインは、収集、格納、分析、レポーティングの各段階を網羅するデータライフサイクルの基盤です。

 データパイプラインは、企業のデータインフラの不可欠な部分として、さまざまなデータソースのデータを統合します。この統合プロセスは、組織の業務を包括的に把握し、データドリブンな意思決定を実現する鍵となります。

 データを統合した後は、ストレージシステムや分析システムに転送します。その後、BIツールやレポーティング、高度な機械学習・AIプロジェクトに至るまで、さまざまなアプリケーションで活用します。

 データパイプラインは、単にデータが移動する経路ではありません。未加工の生データを戦略的なインサイトと意思決定に変換する基盤です。

 データパイプラインについてさらに詳しくはコチラ

データパイプラインの4つのメリット

 データパイプラインは、データの構造化、多様なデータの統合および変換を可能にし、データのサイロ化を解消して精度と信頼性の双方を向上させます。

汎用性

 データパイプラインでは、構造化データから非構造化データまで多様な形式のデータを管理し、データベース、API、クラウドプラットフォームなど複数のソースからデータを統合することができます。この汎用性がデータパイプラインの特徴であり、ETL パイプラインとの大きな違いです。

 単純なデータ転送から複雑なデータ統合タスクまで、さまざまなデータ環境やユースケースに適応できます。そのため、データパイプラインは包括的な分析のために多様なデータソースからデータを統合する必要がある環境で、威力を発揮します。

リアルタイムデータ

 データパイプラインでは、リアルタイム(またはストリーミング)とニアリアルタイムの両方のデータ処理が可能で、企業は最新のデータに基づくタイムリーな意思決定を行うことができます。これは不正検知、市場動向分析、運用監視において重要な機能であり、データが即座に利用可能になることで重要なセキュリティ上のインサイトや競争優位性が得られます。

スケーラビリティ

 大容量データを処理するように設計されたデータパイプラインは、増大するデータニーズに合わせてスケールできます。こうした特徴はビッグデータを扱う場合には不可欠です。このスケーラビリティにより、データ量が増加しても、パイプラインはパフォーマンスを低下させることなく効率的にデータを処理し続けることが可能で、データの転送量が増大する企業には非常に重要です。

フレキシビリティ

 データパイプラインは、トランザクションデータ用のデータベース、データ格納用のデータレイク、さらにはリアルタイム分析プラットフォームなど、さまざまなシステムにデータを送信できます。この柔軟性により、企業は必要なデータストレージや分析ニーズに合わせてパイプラインを調整し、幅広いビジネスニーズをサポートすることができます。

データパイプラインとETL、どちらがベスト?

 さて、ここまで両タイプのパイプラインの基本を説明してきましたが、どちらを選択すべきでしょうか?答えは、企業の状況やニーズによって異なります。ツールを検討する際には、以下のポイントに注意しましょう。

どんな種類のデータがどのくらいあるか

 データパイプラインは、特にストリーミングデータを扱う場合に、非構造化・半構造化データを含むさまざまな形式のデータや大容量データを処理するのに最適です。一方ETLパイプラインは、特にバッチ処理環境で、データの保存と分析を行う前にデータを大幅に変換する必要があるシナリオに適しています。

データはどのくらい複雑か

 データをデータソースから転送先へ効率的に移動させることに重点を置き、最小限の処理しか行わないケースであれば、データパイプラインが最適です。一方、ETLパイプラインは変換を重視するため、データの大規模なクリーニング、正規化、エンリッチメントが必要な場合に適しています。

データを使って何をしたいか

 データパイプラインは通常、運用レポートやリアルタイム分析など、さまざまな用途でデータを迅速かつ効率的に利用できるようにする必要がある場合に使用されます。ETLパイプラインは一般的に、データウェアハウスへの統合、およびBIツールでの活用や戦略的意思決定のためにデータを大量に分析・利用する状況で使用されます。

その他の考慮事項

・パフォーマンスとスケーラビリティ:特にデータ量と必要な処理の複雑さに関して、両オプションのパフォーマンスへの影響を考慮すべきでしょう。データ量や処理のコストが時間の経過とともに増大することが予想される場合、スケーラビリティは非常に重要です。

・データ品質と一貫性:選択したアプローチが、高いデータ品質基準を維持し一貫性を提供できることを確認します。これは、ETLパイプラインにとって特に重要です。

・既存システムとの統合:既存のデータソースやストレージシステムとの互換性を含め、パイプラインが現在のデータエコシステムとどの程度親和性があるかを評価します。

・コストとリソースへの影響:必要なリソース(ハードウェア、ソフトウェア、専門人材)を含め、各パイプラインの実装および維持にかかるコストを比較検討します。

・コンプライアンスとセキュリティのニーズ:選択したデータ処理アプローチが、ETLおよびデータパイプラインの両方にとって不可欠な、データプライバシーとセキュリティ規制に準拠していることを確認します。

・フレキシビリティと将来性:将来的なデータソース、フォーマット、ビジネス要件の変更に対して、パイプラインにどの程度の適応性が必要かを検討します。

おわりに:CData Sync でデータパイプラインを手軽に構築

 CData Syncは、ビジネスユーザーでもノーコードでデータパイプラインを構築することができるETL/ELTツールで、kintone、スマレジ、Salesforceなど400種類以上のSaaSやDBのデータを統合できます。CData Syncは直感的に使えるシンプルなUIを備えているので、データ統合の技術面の複雑さを取り除き、ビジネスユーザーは業務に役立つデータ活用に集中できます。

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