私はなぜサイコンを捨てたのか
最初のうちは自身の能力向上が即座に値としてあらわれてくるから面白いんであります。データによる身体の外部化とそこから再構築される速度装置としての自分を俯瞰でとらえる悦楽。そうした何だか自分がカッコよいものに変身したような、サイボーグ化願望とでも言えるものを満たし、次に走るモチベーションを支えてくれる。それが良いときのサイコンであります。
ところが徐々に伸び代もなくなり、データも頭打ちになってくる。時間をかけて向上したパフォーマンスも3日も乗らなければあからさまに低下し、1ヵ月も放っておこうものなら元の木阿弥、振り出しに戻る。そんな現実を目の前に叩き付けるのも、またサイコンの所業であります。ダイエット中に食べすぎた翌朝のヘルスメーターみたいなものですな。
高いパフォーマンスを維持するには、雨の日も風の日もローラー踏んででも乗り続けるしかない。でもそんな非人間的な努力はやってらんねえ。
それで一度はサイコンを捨てた私ですが、昨年久々にロードバイクを購入したついでに新調したところ、ちょっと意味の違うものになっていたんですな。家まで死なずに辿り着くための安全装置。私はそう思って使っております。2度目のサイコン、決して悪くはございません。
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