日本HPは3月27日、AIテクノロジー内蔵PC新製品発表会を実施した。
本発表会では個人向けEnvyシリーズや法人向けHP EliteBookシリーズ、プロフェッショナル向けモバイルワークステーションHP ZBookシリーズなど、AIを搭載したノートPCを発表した。
最初に日本HP 執行役員 パーソナルシステムズ事業本部 本部長の松浦 徹氏が登壇。ハイブリットワーク・ライフ、AI活用、将来のリスクに対応するセキュリティー、サステナビリティーについて語り、柔軟で多様な働き方が求められる時代の中でAIの活用が重要となっており、今回、ラインアップを個人向けから法人向け、プロフェッショナル向けまで一気に拡大。これからの時代のためのAI PCを体験してほしいとコメントした。
次に、日本HP パーソナルシステムズ事業本部 コンシューマービジネス本部 製品部 プロダクトマネージャーの吉川 直希氏が登壇。個人向けEnvyシリーズ「HP Envy x360 14(インテル)」、「HP Envy x360 14(AMD)」、「HP Envy x360 16(インテル)」の3製品を発表した。
3製品はともに共通の仕様としてインテルCore Ultra、AMD Ryzen 8000シリーズを搭載するほか、AI推論演算に特化したNPU(Neural Prosessing Unit)を内蔵した次世代プロセッサーと、AIアシスタントキーを搭載。AI処理をNPUに割り当てることでGPUやCPUの負荷を減らし、PC全体のパフォーマンスと省電力に貢献するという。
また、ユーザーのPC利用パターンを機械学習する「HP Smart Sense」、AIアシスタント「Windows Copilot」も搭載。AI技術を用いたノイズリダクションなどぬい対応する5MP IRカメラや、視線を外すと画面が暗くなり、PCから離れると画面をオフにするセキュリティー機能などを搭載。重量は14インチがおよそ1.39kg、16型がおよそ1.87kgとなっている。
その次には、日本HP パーソナルシステムズ事業本部 クライアントビジネス本部 CMIT 製品部 部長の岡 宣明氏が登壇。法人向けのHP EliteBookシリーズ、ZBookシリーズの新製品を発表した。
日本先行リリースの「HP EliteBook 635 Aero G11」は、オールメタルで重さおよそ1kgのNPU搭載PC。
また、筐体を新しくしたというフラッグシップモデルの「HP EliteBook 1040 G11」のほか、「HP EliteBook x360 830 G11」、「HP EliteBook 830 G11」、「HP EliteBook 840 G11」、「HP EliteBook 860 G11」は様々な働き方に対応できるようコンバーチブルタイプかつペンでの入力に対応。モバイルワークステーションである「ZBook Power G11」はドックを多く搭載し、ドッキングステーションが無くても対応できるという。
発表された法人向けPC製品はいずれも、AIテクノロジーを搭載。AIを活用した様々な働き方に対応するほか、共通の仕様としてインテルCore Ultra、AMD Ryzen 8000シリーズを搭載。Microsoft Copilotキーを備える。
最後に、エンタープライズ営業統括 営業戦略部 プログラムマネージャーの大津山 隆氏が登壇。今回、HPビジネスPCのセキュリティーの基盤となるHP Endpoint Security Controller(ESC)を刷新。同社は量子コンピューティングによるハッキングからファームウェアを保護する世界初のビジネス向けPCをうたっており、ESCに関するプレゼンテーションが実施された。
ESCとはセキュリティー専用のマイクロプロセッサーで、PCの中に専用のチップが入っており、BIOSなどを監視、不審な変更を検知した場合は正しいものに書き換えるという。この仕組みにはデジタル署名が使われており、今回は対量子暗号のアルゴリズムを搭載しているという。
量子コンピューターは現段階では実用化されていないが、今後、およそ5年~10年以内には実用化されると考えられているという。量子コンピューターは非対称暗号を解くスピードが速いため、完成すると世の中の基幹技術であるデジタル署名の仕組みが危険に晒されるとのこと。セキュリティーが破られれば大きいインパクトが有るため、インフラなどのセキュリティーに重点を置く組織などでは早くから移行を計画する必要があるという。
今回の刷新で、ESCは今までのセキュリティーアルゴリズムと対量子暗号アルゴリズムを備え、現在の脅威と将来の脅威の両方に対応。今後発表される同社のPCのESCは、全て対量子暗号のアルゴリズムに対応したものに変わっていくと語った。