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印南敦史の「ベストセラーを読む」 最終回

『世界のエリートが学んでいる 教養書必読100冊を1冊にまとめてみた』(永井孝尚 著、KADOKAWA)を読む

AI時代こそ“教養”が必要なワケ

2024年03月28日 07時00分更新

文● 印南敦史 編集●ASCII

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時間をかけて築いた教養は必ず武器になる

 688ページもあるので、なかなかに重たく、読んでいるとそれなりに手は疲れる。読破するには時間もかかりそうだ。また2700円(税別)という価格は、「買うには高すぎる」と感じさせるかもしれない。

 でも、少しだけ違った視点から考えてみてほしい。2700円で100冊が紹介されているということは、1冊につき27円だ。まったく高くない。1冊を平均6ページで読めるのだから、コスパもタイパも抜群である。仮に1日1冊分ずつ読んだとしても、3ヵ月ちょっとで読破できる。そう考えると、なんとなく読んでみたくなるのではないだろうか? その「なんとなく」という思いに、じつは大きな意味があるのではないか。

 そして重要なポイントは、本書を読んだからといって「原著が完全にわかった」とは言い切れない点だ。なにしろこれは、原著から仕事や人生の役に立ちそうな部分を抽出し、「ザックリ言うと、〇〇〇」とまとめたものにすぎないのだから。

 あくまで多忙なビジネスパーソンが教養を身につけるきっかけをつくる道具である。だから興味を持った本は、原著に挑戦してほしい。原著から学べることは、本書よりもはるかに広く深い。そうして時間をかけて築いた教養は、必ずやあなたの武器となる。(「はじめに」より)

 いわば本書は教養を身につけるための「入り口」であり、この先にも、知的好奇心を刺激してくれる奥深い森が広がっているということだ。

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筆者紹介:印南敦史

作家、書評家。株式会社アンビエンス代表取締役。
1962年、東京都生まれ。
「ライフハッカー[日本版]」「ニューズウィーク日本版」「東洋経済オンライン」「サライ.jp」「マイナビニュース」などで書評欄を担当し、年間700冊以上の読書量を誇る。
著書に『遅読家のための読書術』(PHP文庫)、『いま自分に必要なビジネススキルが1テーマ3冊で身につく本』(日本実業出版社)、『書評の仕事』(ワニブックスPLUS新書)、『読書する家族のつくりかた 親子で本好きになる25のゲームメソッド』『読んでも読んでも忘れてしまう人のための読書術』(以上、星海社新書)、『世界一やさしい読書習慣定着メソッド』(大和書房)、『プロ書評家が教える 伝わる文章を書く技術』(KADOKAWA)、などのほか、音楽関連の書籍やエッセイなども多数。

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