いよいよ東証グロース市場の上場にまでこぎ着けたソラコム。昨日は東京証券取引所で「鐘を叩く儀式」として知られる上場セレモニーが行なわれた。今回は「物見遊山」という連載名の通り、上場セレモニーの様子をフォトレポートしていこう。
スーツコスのソラコムメンバーが東証Arrowsに集合
「東証の上場セレモニー、せっかくなのでオオタニさんも来ませんか?」というありがたいお声がけをいただき、上場日の3月26日は朝から東京証券取引所に赴くことにした。IT記者歴はけっこう長いのだが、実は上場セレモニーの取材は初めて。春の驟雨の中、茅場町を歩いて、待ち合わせ場所である東証Arrowsに行ったが誰もおらず。時間になったので正面から「たのもうー!」と入ろうとしたところ、ガードマンから上場セレモニー参加の方はビルの中央に別の入り口があるからそちらに回ってくれと言われ、そちらに向かう。
細長い東証Arrowsの中央の入り口は、通常のビル受付と同じようなエントランスだった。受付にはソラコムの人たちが集まっているのだが、普段Tシャツかパーカーのいずれかなので、一瞬わからない(笑)。「久しぶりのスーツコスですよ~」といった声が飛び交う中、過去に取材で同席した顔見知りのソラコムの人たちがどんどん増えてくる。玉川社長はすでに準備中だろうが、CTOの安川さんや片山さんも来ている。リモートワークも多いはずなので、ソラコムのメンバーも対面は久しぶりなのだろう。
さて、われわれメディアは一足先にセレモニーの会場となる「オープンプラットフォーム」というスペースに案内され、撮影時の諸注意を受ける。16面からなる巨大モニターや上場セレモニーの鐘、マーケットセンターなどよくニュースで見る設備が目の前にあるのはやっぱりアガる。上場するソラコムのメンバーであればなおさらであろう。
「SORACOM Beam!!」で、あの鐘を鳴らすのは?
10時にいよいよ上場セレモニーがスタート。横にあるエスカレーターでソラコムの経営陣やステークホルダーの皆さんが降りてくる。一同が揃うと、上場を記念するビデオが流れて、場も盛り上がる。ティッカーも赤字に白で「祝上場 株式会社ソラコム」と表示されるので、みんなで撮影。玉川氏が上場通知書を受け取ったあとは、さっそく記念撮影の時間となる。
続いては恒例の鐘を鳴らすイベント。鐘は「五穀豊穣」に由来して、5回鳴らすことになっている。まずはソラコムの玉川社長とKDDIの髙橋誠社長のペアからスタートし、ソラコムの取締役や執行役員などいわゆるボードメンバー、KDDIやWiLのVIPが次々と鐘を鳴らしていく。そんな中、ソラコムの安川CTOと片山SVP of Engineeringが「SORACOM Beam!」と唱えながら打鐘していたこともご報告しておく。
その後、セレモニーの様子を外側から見ていたソラコムメンバーや関係者も会場に移り、10分間の記念撮影の時間。こう考えると、基本は記念撮影イベントだが、普段なかなか足を踏み入れられない東証Arrowsでのセレモニーはやはり面白い。ソラコムのメンバーにとってもメモリアルなイベントになったことだろう。
セレモニー終了後は、慌ただしく会場を出る。私はそのままタクシーで大手町プレイスに移って、上場発表会を取材。正味15分の上場セレモニーだったが、少しは体験を共有いただけただろうか。
スイングバイIPOを成し遂げたソラコムはスタートアップの星でもある
上場発表会でアピールされたのは、市場動向に左右されず成長を遂げてきたソラコムの堅実さ、そしてKDDIをはじめとする出資企業とタッグを組んで実現したスイングバイIPOの意義だ(関連記事:いよいよ上場したソラコム スイングバイIPO達成のインパクトとは?)。
実は昨日、記事をアップしたあと、知り合いのスタートアップの広報から「スイングバイIPOで上場したソラコムの記事、いま社員全員が読んでます!」というメッセージが飛んできた。なにやら、そのスタートアップもM&Aを受けつつ、IPOを目指しており、ソラコムの今回のスイングバイIPOは一つの目標なのだという。
実はスイングバイIPOはソラコムやKDDIの独自用語だと思っていたので、個人的にはかなり驚いた。記事タイトルに付けたくせに、スイングバイIPOという上場のインパクトを意外と理解していなかったことを学んだ。なるほど他社から見ても、スイングバイIPOを成し遂げたソラコムはスタートアップの星でもあったのだ。
ともあれ設立から10年でようやくここまで来たかと、星飛雄馬の姉のごとくソラコムを見守ってきた私にとっても感慨深かった。ずっと取材してきたメディアの記者やライターも、けっこう同じ想いを共有しているはずである。改めて、ソラコムのみなさま、おめでとうございます!
大谷イビサ
ASCII.jpのクラウド・IT担当で、TECH.ASCII.jpの編集長。「インターネットASCII」や「アスキーNT」「NETWORK magazine」などの編集を担当し、2011年から現職。「ITだってエンタテインメント」をキーワードに、楽しく、ユーザー目線に立った情報発信を心がけている。2017年からは「ASCII TeamLeaders」を立ち上げ、SaaSの活用と働き方の理想像を追い続けている。
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