ちょっとした休日、ちょいと都会へ行ってきたのであるが、知人から目的地の近くの神社に猫がいると聞いたので、ふらりと立ち寄ってみたのである。
境内に入ると参拝客や観光客が大勢いて、しかも最近リニューアルしたばかりのようで記憶にある境内とは大違いで、これだけ人がいると猫も隠れてるよな、と思いきや、探すまでもなく、めっちゃ目立つところにいたのである。
なにしろ、こんな感じなのだ。参拝者のほとんどは猫には目もくれず、気づかないようだけど、ときどき猫好きの目に止まってはプチ撮影会が始まる。
近くでよく見るとかなりお年を召した白猫で、毛並みもよれよれだ。もはや人間の相手をするのも人間を警戒するのも面倒で、のんびりと余生を過ごしてるという感じだ。冒頭写真もその猫。近くには、「神社敷地内に居るネコ達は神社の子たちです」と書かれている。
ここで、ふと思い出した。もう何年も前、この神社で白猫に会ったぞ。帰宅して写真ライブラリーをひっくり返してみると、以前、この神社を参拝したのは10年も前。2014年である。そのとき、社務所の脇に白猫がいたのだ。このときのカメラはオリンパス(当時)のE-M1である。
この10年前の白猫と、今回出会った白猫は同じ猫? いや、まさか10年も経ってるのだから、その子供かもしれない。真っ白なので、同じ猫なのかどうか判断が難しい。
でも、よーく見ると、鼻に特徴がある。ピンクの鼻に少し黒が混じってるのだ。それが全く同じなのである。
神社で世話されているとはいえ、長生きおめでとう、である。まさか10年ぶりに参拝に来て同じ猫に出会えるとは思わなかったよ。猫の寿命を考えたら、元気に生きてるって素晴らしい。
ここで思った。もしかしたら私が気づいてないだけで、そういうケースがほかにもあるんじゃなかろうか。そして見つけました。“数年ぶりの再会おめでとう”第2弾。
とある長細い公園の一角に猫が何匹かいて、近所へ来るたびに立ち寄っては写真を撮ってたのだ。ここ数年はめっきり猫を見かけなくなったため、もういなくなったと思ってたのである。外の猫は寿命も短いからね。
でも今年の初頭、久しぶりに猫がいたのである。冬の寒い中、日なたで土まみれになって気持ちよさそうにごろごろしてたのである。
そして、何となく見覚えがあったのである。そこで、この公園で撮った猫写真をあさってみると、いたのである。2017年の秋。顔の模様がそっくりだから同じ猫に違いない。
7年前は、白黒の猫とこんな光景も。昔は何匹もいたのだ。
まさか、あのときの猫が元気でいたとは。この公園に残ってるのはこの猫だけなのか、ほかにもいるのか、普段は行かない場所なのでよくわからない。
調子に乗って、もうちょっと探してみた。“数年ぶりの再会おめでとう”第3弾である。
新宿区のとある公園にいたハチワレ。おでこから頭頂まで白いラインが伸びているのが特徴だ。白い線が川で、おでこが扇状地って感じ。
写真を遡ってみると、まずは2020年。毎日通っているという近所に住んでいるおばあさまに気持ちよさそうに撫でられてた写真を発見。おでこの模様が同じだ。このときは猫を撫でながら、おばあさまの身の上話を延々と聞いた記憶がある。なかなか壮絶でありました。
さらに遡って、2015年の夏。さすがに8年前となれば、今と比べると若々しくてスマートだ。顔つきがちょっと違うけど、年齢のせいだろう。なにしろ8年も経ってるのだ。
今回、たまたま昔と同じ白猫と出会ったおかげで、古い写真を見返すことになった。
みなさま、古い写真をいつでも引っ張り出せるように管理しておくって大事ですよ。ふとしたときに見返すと、意外な発見があったりするものだから。まさか10年前の猫と再会してたとは思わなかったもの。
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筆者紹介─荻窪 圭
老舗のデジタル系フリーライター兼猫カメラマン。今はカメラやスマホ関連が中心で毎月何かしらのデジカメをレビューするかたわら、趣味が高じて自転車の記事や古地図を使った街歩きのガイド、歴史散歩本の執筆も手がける。単行本は『ともかくもっとカッコイイ写真が撮りたい!』(MdN。共著)、『デジタル一眼レフカメラが上手くなる本』(翔泳社。共著)、『古地図と地形図で楽しむ東京の神社』(光文社 知恵の森文庫)、『東京「多叉路」散歩』(淡交社)、『古地図と地形図で発見! 鎌倉街道伝承を歩く』(山川出版社)など多数。Instagramのアカウントは ogikubokeiで、主にiPhoneで撮った猫写真を上げている。Twitterアカウント @ogikubokei。ブログは http://ogikubokei.blogspot.com/
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