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顧客の課題解決こそkrewサポートの目指す理想型

ユーザーの自走まで支援する krewシリーズはサポートもプレミアムだった

2024年03月25日 09時00分更新

文● 大谷イビサ 編集●ASCII 写真●曽根田元

提供: メシウス

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 メシウスのkintoneプラグイン「krewシリーズ」は、多彩な機能や信頼性のみならず、サポートにも強みを持つ。顧客から高い評価を受けるkrewのサポートのこだわりについてメシウスのサポートチームでリーダーを務める大江 輝晃氏、krewのプロダクトマーケティング担当の佐藤ななえ氏に聞いた。

サポートの役割は質問に答えるだけではなく、課題を解決すること

 今回お話を聞いたメシウスの大江 輝晃氏は、もともと家電量販店の接客担当からキャリアをスタート。接客レベルや商品知識の高さがよく話題になる家電量販店で5年間勤務し、ソフトウェア企業やベンチャーを経て、10年前に入社。「InputMan」などの開発コンポーネントのサポートとPMを務めた後、北米企業の開発ツールの日本版販売やマーケティングを経て、今のカスタマーサポートチームに移っている。社内でもさまざまな業務を担当しているが、「入社からずっとサポートに関わっていた」(大江氏)とのこと。現在はEnterprise Solutions事業部でkrewシリーズのサポートを担当している。

メシウス Enterprise Solutions事業部 営業部 カスタマーサポートチーム リーダー 大江 輝晃氏

 krewのサポートは、krew製品を利用しているユーザーであれば誰でも利用できる。サポートメニューはメールのみで、電話やWeb会議でのサポートは提供していない。「対応ログを残すという意味もあるのですが、文章で書いてもらった方が、お客さまも整理できるんです。明確な情報収集と的確な回答のために、メールでのやりとりをお願いしています」(大江氏)

 基本はWebフォームから来た問い合わせに答える形式。製品の使い方や仕様について答えるのはもちろん、場合によってはユーザーからアプリテンプレートをもらって、環境を再現した上で回答する場合もある。また、テキストだけでなく、画像キャプチャやExcelファイル、場合によっては動画で⼿順をガイドするため、多くの問い合わせはメールだけで⼗分事⾜りるという。

 とはいえ、問い合わせ内容は多種多様で傾向が抽出しにくいという特徴がkrewにはある。典型的な質問がなく、顧客ごと個別な内容に答えることも多い。「製品を利用しているエンドユーザーは実現方法を知りたがる傾向があります。一方で、krewを用いてサービスを提供しているSIerやパートナーは、仕様について確認したいという方が多いですね」と大江氏は語る。

 サポートチームとしてこだわっているのは、「お客さまの課題を解決する」だ。当たり前のように聞こえるが、これは単に「メールの質問に答えることが目的ではない」という意味でもある。「メールの文章を見て、ぼんやりしたところはお客さまに確認しつつ、根本的な課題はなにかを考えてお答えしています」と大江氏は語る。単純な操作手順でなく、なぜこの現象が発生するのかを設定や仕様の面から解説し、納得感を持った上で解決策を提示するという。

サポートは生き物 今のところ生成AIの活用は考えてない

 たとえば、kintoneのユーザーインターフェイスと操作感をExcelライクなものに変えるkrewSheetでピボットテーブルを作ったユーザーから、「数字が表記されたセルの値を記号に変えたい」という質問が来る。この質問に答えることは容易だが、ユーザーがなぜ数字を記号に変えたいかをヒアリングすると、「krewSheetをシフト表として利用するために、出勤する時間に●を入れたい」という本当の要望が出てくる。ここまでわかれば、むしろkrewSheetでシフト表を作る方法を教えた方がよい。krewのサポートで考える課題解決とはこういう例だ。

 具体的なサポート事例を聞かせてもらった。とある企業は複雑なkrewSheetの設定内容に関する質問からスタートしたが、話を聞いていくごとにkrewDataにも同じ設定を行ないたいという要望がわかったという。「この時点で全体像を把握しなければ適切なサポートが提供できないと気づいたので、最終的になにをやりたいのかをヒアリングし、使っているアプリ構成の詳細を確認した上でその実現方法を提案しました」 と大江氏は語る。

 最終的にその企業の課題は解決に至り、同社の事例でもサポートは高く評価された。krewのブログにも登場し、「開発に困ったらサポートに聞こう」というコメントをくれるくらい、krewのサポートに厚い信頼を寄せてくれているという。「聞かれたことに答えるだけでなく、お客さまの課題に向き合うことで、結果として信頼を得ることができたと思っています」と大江氏は語る。

 面白いのは、必ずしも1回での対応を目標としていないことだ。「1回で対応しようとすると、メールの場合は文章量が多くなります。特にぼんやりした問い合わせに対して、想定される回答を全部列記すると、ボリュームが大きくなります。だから、質問がわからない場合は、むしろお客さまに質問や確認をした上で、解決までの道を探ります。ワンストップではないですが、この方がわかりやすい回答を提示できます」と大江氏は語る。

 生成AI全盛期のこの時代、メールの本文も基本はユーザーごとに個別に作成しているという。もっと言えば、会社に伝わる「サポートの心得」はあれど、ルールやテンプレートはない。「『サポートは生き物』と言っています。一件ごとに違うので、同じことを聞かれていても、同じ文章で答えられないと思っています。今後、問い合わせ前に 調べられるチャットボットは検討しますが、サポートとしては生成AIの活用は全然考えていません」と大江氏は語る。

ユーザーの声はサポートコンテンツや製品に反映

 kintoneやkrewユーザー増加とともに、サポート内容も多種多様になった 。krewシリーズはサポートコンテンツも充実しており、技術的な問い合わせに答えるナレッジベースのほか、「krewドリル」と呼ばれる独習コンテンツも用意されているが、サポートのニーズは高い。「krewの導入も増え、お寄せいただく質問もさまざまな粒度に変化してきています」とマーケティング部の佐藤ななえ氏は語る。

メシウス Enterprise Solutions事業部 マーケティング部 佐藤ななえ氏

 krewのサポートはユーザーの声を直接聞く入り口でもある。佐藤氏は、「サポートに届くお客さまの声をプロダクト開発に活かしたり、ドキュメントに反映することは多いですね、お客さまはこういうところにつまづくんだということがわかり、われわれにとってもよい学びになっています。今までのお客さまのためにも、新しいお客さまのためにも、いい循環です」と語る。

 フィードバックは、新機能につながるケースもある。「『こういう機能はありますか?』という質問に対して、対象の機能や代替案すら見つからない場合は『ありません』という答えをするのですが、『その機能はなぜ必要ですか?』『どんな業務で使うのですか?』とお客さまに尋ねます。そういった具体的な要件を聞き出した上で、開発メンバーにフィードバックしています」(大江氏)とのことで、聞き方も工夫しているという。

 ユーザーが問い合わせる前に自己解決できるよう、サポートコンテンツの充実も進めている。実際に、サポートで多かった問い合わせをナレッジベース化したところ、その問い合わせが減ったという経験もあった。「krewDataのアクセス権の質問が多かった時期がありました。kintoneの設定内容を他の環境で再現できるアプリテンプレートにはアクセス権が含まれないので、逐一聞いていたのですが、ナレッジベースやヘルプでコンテンツを充実させたら、問い合わせが一気に減りました」(大江氏)という。

 「サポートの究極系は、サポートがなくなること」と大江氏は語る。エンドユーザーが使い方を迷わず、自前で課題を解決できれば、サポートは必要ないはず。krewシリーズとしては、この理想型を追求したいという。「内製化まで実現できないと結局DXまで進めないと思うんです。だからわれわれの情報提供、ナレッジベースやヘルプの拡充によって、お客さまの自走を支援していきたいです」と大江氏は語る。

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