“EDRは当たり前”として上位版に標準搭載
アクロニス、3年6か月ぶりに企業向け統合IT保護製品「Acronis Cyber Protect」の新版提供
2024年03月07日 16時45分更新
アクロニス・ジャパンは、2024年3月6日、企業オンプレミス向けサイバープロテクション製品の新版「Acronis Cyber Protect 16」に関する記者説明会を開催した。同日より日本市場で提供を開始する。
説明会の冒頭、ビデオ登壇したAcronis CEOのエゼキエル・シュタイナー(Ezequiel Steiner)氏は、「アクロニスはバックアップの企業としてスタートしたが、年々進化を続け、サイバー脅威からもお客様を保護している。今回の新製品は、ランサムウェア攻撃に対応するための機能を備え、イミュータブルストレージはバックアップデータがサイバー攻撃を受けても不正アクセスから守り、クイックリカバリー機能はわずかワンクリックの復旧を実現する」と述べる。
個人向けのバックアップ製品から事業を始めたアクロニスは、2015年から“サイバープロテクション”を標ぼうし、企業ITを保護するためのサイバーセキュリティからバックアップ、エンドポイント管理を統合したソリューションを展開してきた。Acronis Cyber Protectは、企業のオンプレミス環境向けサイバープロテクション製品であり、今回、3年6か月ぶりのバージョンアップを遂げている。
アクロニス・ジャパン 代表取締役社長の川崎哲郎氏は、「ITを保護することは、企業活動そのものを保護することと言い換えられる」と発言。さらに、昨今のAIを含めたテクノロジーの進化に伴って「攻撃側も強力な武器を得た」として、それに対抗するにはアンチウィルスだけでは足りず、EDRが不可欠だとする。
そこで今回アクロニスでは、EDRの機能を、Acronis Cyber Protect 16のAdvanced版に標準搭載している。新機能追加となるが、“EDRは当たり前”という考えのもと、価格は据え置きとしている。EDRの機能は、すでにマネージドサービスプロバイダー(MSP)向けの「Acronis Cyber Protect Cloud」で提供するものと類似したものになるという。
「Acronis Cyber Protect 16」4つの主な新機能
アクロニス・ジャパンのプロダクトマーケティングマネージャーである土居浩氏は、「今回の最新版は、企業規模や業態、業種を問わず、全ての法人の皆さまにバックアップとセキュリティでサイバーレジリエンスを強化してもらえる製品として展開する」と説明。
Acronis Cyber Protectは、サイバーセキュリティからバックアップ、管理の機能をオールインワンで提供する。土居氏はそのメリットとして、「“Power of One”、ひとつのソリューション、ひとつのエージェント、ひとつのプロテクションプランで運用管理とIT保護ができ、ひとつのベンダーソリューションであるため保護の重複もなくなる」と説明。加えて、ライセンス管理や運用トレーニング、ベンダーコミュニケーションもシンプルになり、工数やTCOの削減にもつながるとする。
土居氏は新版の主な新機能を4つ挙げる。ひとつ目は、前述したEDRである。「従来のEDRは導入できる企業や組織が限られていたが、アクロニスのEDRは、導入や運用管理が容易で、専任のセキュリティプロフェッショナルでなくても利用できる」と土居氏。特に中堅・中小企業にとっての新しい選択肢になるという。
従来のAV/NGAVといった侵入防止(EPP)に加え、EDRでセキュリティ侵害の検出、俊敏な対応・復旧のための機能も提供して、ビジネス継続を支援する。「誰でも容易に使えることを最重視して開発」しており、わかりやすいUIで、ドリルダウンでの分析、対処のためのアクションなどを提供すると紹介した。バックアップ領域での強みを活かし、バックアップデータの安全度を確認しながらの細やかな復旧も可能だ。
EDRは現時点ではWindows環境のみに対応している。
2つ目は、集中管理用ダッシュボードだ。マルチサイト(複数拠点)を持つエンタープライズ企業の管理を統合し、組織内の管理サーバーを監視できる単一の統合ビューを提供する。デバイスアラートやアクティビティ、ウィジットをカスタマイズして表示でき、数千万台クラスのデバイス管理を効率化できる。
「特に管理サーバーが拠点ごとに置かれているような製造業を中心に、効率化やコスト削減を推進できる」(土居氏)。
3つ目は、ワンクリックリカバリ機能だ。ITチームに依存することなく、現場の一般ユーザーでもワンクリックの操作で自動復元ができる。ダウンタイムを削減し、迅速なシステム復旧や事業継続を実現する。
4つ目は、書き換えや削除のできないイミュータブルバックアップストレージだ。
バックアップデータを保存していても、攻撃者に改ざん・破壊されてしまったり、ランサムウェアで暗号化されてしまったり、誤って削除してしまったりするリスクがある。イミュータブルストレージの技術を用いて、バックアップデータを改ざん、破壊、削除、災害等から守る機能となる。
なおイミュータブルストレージでは、管理者だけが無効化できるガバナンスモード、一度有効化すると管理者でも無効化できないコンプライアンスモードを備える。
Acronis Cyber Protect 16は、中堅・中小企業向けの「Standard」、大規模エンタープライズまでをカバーして、EDRを含むより高度な機能を提供する「Advanced」、大規模なIT環境向けに高度なデータ保護を提供する「Backup Advanced」の3つのエディションで展開される。
それぞれサブスクリプションモデルで、ワークステーション、サーバー、Windows Server Essentials、バーチャルホストを対象とするワークロード毎のライセンスが用意される。また、サブスクリプションを購入すると、ワークロードの種類に応じて最低50GBから250GBまでのクラウドストレージが無償でバンドルされる。