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自社サービスにこれまで13の生成AI機能を実装、従業員向けには独自AIチャット提供も

LINEヤフー、生成AIの社内活用推進で“売上収益の1100億円増加”目指す

2024年02月29日 07時00分更新

文● ASCII

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 LINEヤフーは、2024年2月28日、生成AIを活用するための技術基盤や利用環境を整え、従業員向けに独自AIアシスタントや「GitHub Copilot」を導入、同社のサービスにおいても約10か月で13件の生成AI機能を実装したことを発表した。

 同社は、生成AIの活用において、まず組織・ガバナンス・社員教育などの利用環境を整え、技術基盤を構築、その後従業員の業務活用やサービスへの機能実装を推進している。

LINEヤフーの生成AI活用の推進サイクル

LINEヤフーのAI技術の活用における方針策定

 LINEヤフーは、AI技術の活用において、基本方針の明確化と実効性のある自主ルールを策定することを目的とした「AI倫理に関する有識者会議」を2021年6月より開催、継続的に外部の専門家と議論を重ねている。

 また、2022年7月には、ユーザーのプライバシーを尊重しながらAIを安全に活用するための方針として、「LINEヤフーグループ AI倫理基本方針(旧称:Zホールディングスグループ AI倫理基本方針)」を策定。さらに2023年6月には、生成AI社内推進組織「LINEヤフー株式会社 生成AI統括本部(旧称:生成AI活用推進室)」を発足し、国内外の最新動向を踏まえて、社内外への積極的な生成AIの活用を推進している。

従業員の生成AI活用 独自AIアシスタントで約7%、GitHub Copilotで約10%~30%の生産性向上

 LINEヤフーでは、生成AIを活用するための技術基盤として、従業員が様々な生成AIを選択できる環境構築に取り組んでいる。

 OpenAIの全てのAPIに対する利用契約を締結しているほか、Google Cloudで提供される大規模言語モデル(LLM)も利用可能とし、今後はAWSやMicrosoft Azureで提供されるLLMも導入予定。

 また、全従業員受講必須のeラーニングを通じて、生成AIを活用する際の主要なリスクやプロンプトの工夫に関する研修を実施している。従業員は、同研修後に実施される試験に合格した後に、対話チャット型の独自AIアシスタント「LY ChatAI」を使用できる。

 LY ChatAIは、2023年7月より旧LINEおよびその子会社、ヤフーの従業員約2万人に提供され、アンケートの結果では、約7%の生産性向上を確認しているという。

 また、2023年10月にエンジニア約7000名を対象にマイクロソフトの開発者向けAIアシスタントであるGitHub Copilotを導入、こちらは、約10%から30%の生産性向上を確認している。

LINEヤフーのサービスに13件の生成AI機能を実装

 2024年2月28日現在、LINEヤフーのサービスには13件の生成AI機能が実装されている。LINEヤフーは、引き続き、生成AIを活用して、サービスの品質向上および利便性向上を図るとしている。

【LINEヤフーのサービスに実装された生成AI機能(2024年2月28日現在)
・LINEプロフィールスタジオ:自分の顔写真を元にビジュアルイメージを生成(2023年5月)
・PayPayグルメ:OpenAIのChatGPTプラグイン(2023年7月)
・Yahoo!フリマ(旧称 PayPayフリマ):出品時の商品説明文の作成をサポート(2023年7月)
・LINE公式アカウント:ユーザーへの返信テキスト案を自動生成(2023年10月)
・DS.INSIGHT:データ結果の仮設設計や分析のサポート(2023年10月)
・Yahoo!ニュース:生成AIによるコメント欄の要約(2023年10月)
・Yahoo!検索:一部クエリに対する生成AI回答の掲出テストを開始(2023年10月)
・LINEオープンチャット:生成AIによるメッセージ内容の要約(2023年11月)
・Yahoo!知恵袋:生成AIによる回答を表示(2023年11月)
・Yahoo!ニュース:選んだニュースを基に生成AIが2023年のポジティブ/ネガティブ度を判定(2023年12月)
・LINE AI Q&A:LINEアプリ内でユーザーの質問に生成AIが回答(2024年1月)
・Yahoo!しごとカタログ:企業のクチコミを生成AIが要約(2024年2月)
・LINE AI アシスタント:LINEアプリ内で生成AIによる情報検索や画像の翻訳・解析などが可能(2024年2月)

中長期的に売上収益“年間約1100億円増”、生産性改善額“年間約100億円”を目標に

 LINEヤフーでは、今後も、ユーザープライバシーの保護と適切な情報管理を前提に、権利侵害や倫理面に反するAI利用に発展することがないよう、適切なガバナンス体制のもとで、生成AIの活用を積極的に推進するという。

 さらに、生成AI活用による広告収益の増加や業務効率化等を通じ、中長期的に売上収益を年間約1100億円増、生産性を年間約100億円相当改善することを目指すとしている。

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