ソフトバンクはAIをRANの世界に持ち込む
一方、ソフトバンクもオープンRANや仮想化の流れに乗ろうとしている。同社が積極的に絡んでいるAIをRANの世界に持ち込もうと「AI-RANアライアンス」という団体のボードメンバーになったのだ。
基地局の設備を単に無線ネットワークを稼働させるだけでなく、AIを推論できるようにアップデートさせていく。これにより、ネットワークのトラフィックが多い昼間は基地局として稼働しつつ、トラフィックが落ちる夜間は基地局としての役目を減らしつつ、余っている処理能力をAIの推論などに回す運用を目指すものだ。
キャリアのネットワークというセキュリティの高い設備でAIを処理することで低遅延で高速通信を組み合わせたAI処理を提供できるようになるという。
AI-RANアライアンスのボードメンバーにはエリクソン、ノキア、サムスン電子といった既存ベンダーからAWSやNVIDIA、マイクロソフトといったAIに強い会社が名を連ねている。
乗り換えコストの高さが課題に
ただ、オープンRANや完全仮想化ネットワークは世界の通信事業者から関心は高いのだが、なかなか導入に踏み切るところがないというのが現状だ。
やはり、すでに安定的に運用されているネットワークから乗り換えるというのは相当、ハードルが高いのだろう。
楽天モバイルや1&1のように新規参入でネットワークを新たに立ち上げるのであれば、むしろ、安価に構築できるということもあり、導入しやすいのだが、すでに稼働しているネットワークを持つ通信事業者としては及び腰になりがちだ。
設備を切り替えることでどれだけコストを下げられるのか、またAIを活用することで、新たな収益源を確保できるのかを証明できるかが、普及のカギとなってきそうだ。

この連載の記事
-
第263回
トピックス
「アクセシビリティは“人権”」アップルが40年間続ける取り組みとは -
第262回
トピックス
ソフトバンクとKDDIが“空の救助網” 雪山遭難、ドローンで発見 -
第261回
トピックス
スマホ5G“ミリ波”肩透かし 6Gは“センチメートル波”が鍵に -
第260回
トピックス
ドコモ苦戦 携帯3社、“値上げ”で明暗 -
第259回
トピックス
KDDI、通信品質で再び首位に ドコモとソフトバンクが不満「あの評価基準はおかしい」 -
第258回
トピックス
アドビ、AIで若年層開拓 “映える”画像を作りやすく -
第257回
トピックス
ドコモ経由の“NISAデビュー”増える マネックスか、SBIか、悩ましい選択に -
第256回
トピックス
KDDIドローン事業、9年目で軌道に乗る兆し 無人AIポート運用に成功 -
第255回
トピックス
楽天モバイル“値上げしない宣言”に他社が苦言 「自分たちでネットワークを構築しないくせに」 -
第254回
トピックス
クアルコム「Snapdragon」名称迷走 PC市場での認知施策が課題に -
第253回
iPhone
アップル新型「iPhone」全部比べた オススメはこれ - この連載の一覧へ












