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G-Master Spear Z790/D5をレビュー

RTX 4070 Ti SUPERで4KプレイもイケるゲーミングPC、空冷でも14700Fが最大61度でド安定

2024年02月29日 10時00分更新

文● 宮里圭介 編集●ジサトライッペイ/ASCII

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CPUクーラーの限界はどこ? PL1の設定を盛ってみた

 前回も少し触れたが、G-Master Spear Z790/D5はベンチマーク中でもあまりファンの回転音は聞こえず、空冷PCのわりに結構静かだ。となると、CPUクーラーは冷却力よりも静音性を優先する設定になっているのかもしれない。

 もしそうであれば、その設定次第ではさらなる性能向上が見込める。そこで、まずはモニタリングソフト「HWiNFO64 Pro」で、CINEBENCH R23(Multi Coreテスト)実行中のCPUパッケージ温度をチェックしてみた。

約10分間のテスト終了直前の各種数値

 Core i7-14700Fの仕様通り、PL1は65W、PL2は219W。CPUの消費電力(CPU Package Power)は平均で約66.5Wと、PL1に近しい値になっている。気になるCPUパッケージ温度(CPU Package)は最大61度と、サーマルスロットリングで性能が低下する危険域(100度)まではだいぶ遠いことがわかった。

 なお、ベンチマーク中の動作音は、PC正面約40cmの距離で36.1dB。アイドル時の35.7dBと比べ、わずかに回転数が上がったなと感じるくらいの静かさだった。つまり、PL1=65W、PL2=219Wのインテル推奨設定なら、温度も静音性もなんら問題がないということ。であれば、PLの値をいじれば、さらに性能が伸ばせるかもしれない。幸いCPU温度はまだ余裕がある。

 PC自作の世界ではCPUのPL設定は「無制限」がデフォルトだ。そのため、ベンチマークするとBTOパソコンよりも性能が高くなることが多い。前述の検証でややスコアーが低めに感じた理由もそこにある。そこで、ちょっと極端だが、PL1をPL2と同じ219Wに設定。これでCPUの温度や動作音がどう変化するのか見てみよう。

UEFIの設定からPL1を219Wに変更

約10分間のテスト終了直前の各種数値(PL1は219Wに変更)

 CPU Package Powerは平均で約163.4Wと、219Wまでは届いていないものの、かなり大きく上昇している。とはいえ、CPUのパッケージ温度は最大で75度と、この設定でもまだ安全圏内。ただし、動作音は40.2dBまで上がり、さすがに無視できないレベルになった。

 ちなみに、CINEBENCH R23のスコアーは、65W設定時の18929ptsに対し、219W設定時は20274ptsに向上した。とはいえ、30dB中盤の静音性を犠牲にしてまで得たい上り幅ではない。PL1=65W設定がちょうどいいバランスであることは確かだ。あいもかわらず、サイコムのPL設定は絶妙と言える。

 しかしながら、静音性に目をつぶれば、このCPUクーラーならより高性能なCPUを選んでも、安定した動作が期待できそうだ。例えば、BTOメニューで同じくPL1の定格が65Wの「Core i9-14900F」(24コア/32スレッド)を選んでも、安全に運用できるだろう。

まとめ:バランス重視でコスパも練られた空冷ゲーミングPC

 高効率なエアフローを実現するPCケースと、空冷ながらも冷却性能と静音性に優れたCPUクーラー。それらを組み合わせことで、G-Master Spear Z790/D5は最新CPU&GPUのハイスペックな構成でも快適に使える空冷ゲーミングPCになっている。

 本体サイズが大きめな点は好みが分かれるところだが、そのぶん拡張性は高い。多数のHDDやSSDを搭載でき、5インチベイでは光学ドライブも運用できる。ゲームはもちろんだが、動画編集などのストレージを多数必要とする用途であっても安心だ。

 静音性にとことんこだわるなら、サイコムのBTOパソコンにはさらに静かなSilent-Masterシリーズがある。しかし、「そこそこ静かで高性能」という条件なら、本機のほうが安く購入できる。「高性能な空冷ゲーミングPCはウルサイ」という先入観がある人にこそ使ってほしい。

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