印南敦史の「ベストセラーを読む」 第26回
『ゆるく生きれば楽になる: 60歳からのテキトー生活』(和田秀樹 著、河出新書)を読む
歳をとるほど“ゆるく生きる”ことが重要になるワケ
2024年02月22日 07時00分更新
写真はイメージ Pietro Schellino | Unsplash
日本という国に生きてきて、つくづく思うのは、自分にも人にも厳しい人が多いことです。
もちろん、自分に厳しく、ストイックに生きてきて、成功することもあるでしょう。そして、そういう人の成功は美談として語られます。
「自分はまだまだ」と思う人も多いでしょう。逆に手を抜いたり、楽をすることが悪いことのように思っている人も多いようです。(「まえがき」より)
『ゆるく生きれば楽になる: 60歳からのテキトー生活』(和田秀樹 著、河出新書)の著者は、本書の冒頭でこのように述べている。ご存知のように、高齢者専門の精神科医。患者さんに対しても、「もっとゆるく生きられるようになればいいのにねと話しているのだという。
Image from Amazon.co.jp |
ゆるく生きれば楽になる 60歳からのテキトー生活 (河出新書) |
「たしかにそのとおりだよねえ」と少なからず共感できる方も多いのではないかと思うが、見逃すべきでないポイントがもうひとつある。
現場で高齢者と接するなか、「ゆるく生きる」ということが、若い人以上に歳をとるほど重要になると実感しているというのだ。
多少の無理をしてもなんとかなった若いころとは違い、40歳以降ともなると体力は衰えてくる。さらに高齢期になれば、いろいろなことができなくなってくるだろう。その結果としてストレスがたまっていくわけだが、もうひとつの問題は、「自分に厳しい人は、人にも厳しくなりがち」だということ。
すると、人間関係にも悪影響をおよぼす可能性が出てくる。だからこそ、ゆるく生きるべきだという考え方なのだ。
ゆるく生きることは、高齢になってから元気で豊かに暮らせるための秘訣なのです。たとえば定年というのは、労働の義務や人間関係の縛りから解放されることです。前よりずっとゆるく生きる権利を与えられるようなものです。せっかくなのですから、ちょっとゆるく生きてみようと思ってほしいのです。(「まえがき」より)
この連載の記事
-
最終回
トピックス
AI時代こそ“教養”が必要なワケ -
第30回
トピックス
「医者は儲かる」は本当か -
第29回
トピックス
『思考の整理学』売れ続ける理由 -
第28回
トピックス
樹木希林さんが亡くなった後、内田也哉子さんが考えたこと -
第27回
トピックス
親から受けた“毒”を子どもに与えないために -
第25回
トピックス
「カイジだったらこんなときどうする?」絶望的な状況を乗り越える“漫画思考”の仕事術 -
第24回
トピックス
辞書から消えたことばたち「MD」「コギャル」など -
第23回
トピックス
母が亡くなったとき「やっと解放されたんだな……」という思いが頭をよぎった -
第22回
トピックス
「少しでも自由になるお金を」年金もらって“ホームレス”に -
第21回
トピックス
「最近の若者」いない説。年齢による違いは消えていっている - この連載の一覧へ