MRガイドアプリを体験「トイレはこちら」が浮かんでいる
── メブクス豊洲のロビー前にやってきました。このスマートグラスはどこのものですか?
横山隆之氏(以下、横山) 「Magic Leap 2」です。以前は「nreallight(現XREAL Light)」を使っていました。今回Magic Leap 2を選んでいるのは、外で体験するからなんです。ほかのスマートグラスだと、外光で白飛びしてしまって見えないことが多かったんですよね。
── なるほど。今回体験するのは昨年のマルシェで使ったデータですかね?
谷口 昨年のマルシェのデータが入っています。マルシェは、中央に通路があって、左右にお店が並んでいたという形です。今は実際にお店はないので、お店の上にあたるところに情報が浮かんでいる状態ですね。
横山 初めに看板前で位置合わせをして、そこからスタートとなります。
── 看板で特徴点を取っているんですか?
横山 最初は看板で取っています。ただ、歩いていくにつれて情報の表示位置がズレていってしまうので、途中でふたたび特徴点を取っています。風景の一部を切り取って特徴点を見て、今その人がどこにいるのかを認識する、VPS(Visual Positioning System)技術ですね。
── どこのVPSを使っているんですか?
横山 今回はフィンランドのイマーサル(Immersal)のVPSを利用しました。有名どころではグーグルの ARCore Geospatial APIなどがありますが、VPSは各社の特徴があるので、場面やデバイスによって選ぶことになります。なので、新しいのが出るたびに調べなきゃいけないんですよね。アップルの「Vision Pro」もそうですし、今年のCESでも新しいデバイスが死ぬほど出てきたので試すのが大変です。まあ嬉しくもあるんですが……(笑)。
── CESではASUSがいきなり垂直視野57度のスマートグラス出してきたりしてね(AirVision M1)。屋内と屋外でもだいぶ勝手が違いそうですね。
横山 実際、Magic Leap 2もアメリカで使っているのは主に屋内なんですよね。軍隊とか警察とかに大規模に導入されて、訓練などに使われていて、屋外というのは珍しいそうなんです。なのでMagic Leap社から「紹介したい」ということでマルシェの事例についてインタビューもしていただきました。
── へえーっ! いいですね。
谷口 では、内容を見ていただきます。
── おっ、見えました。マルシェの垂れ幕がさがってます。店の上には写真とテキストが浮かんでいます。名前のわからないマスコットキャラクターもいますね。
谷口 お店の上に浮かんでいる説明のところでコントローラーのトリガーを引いてもらうと、商品やお店についての情報がさらに表示されるようになっています。
── お〜、出てきますね。この情報はどうやって載せているんですか?
谷口 マルシェの主催者と出店者側のCMSがそれぞれにあり、どの住所にどのお店の情報が出るかを管理しています。たとえば「1番の場所には魚屋さんの情報」という形ですね。
── 情報は勝手に入れていいんですか?
谷口 今回の運用時はそこまでお渡ししていませんが、将来的には出店者が情報を入力すれば、それが上がってくるという形にしたいですね。
── 「このサバは八戸から仕入れたものです」とかですかね。この、いわゆる紙の案内との違いのはどの辺にあるんでしょう?
谷口 紙の場合、番号と場所を見比べながら歩いていくと思うんですが、こちらなら「ここはどういうお店で、どういうものをやっている」ということがパッと見でわかるということです。
── 確かに遠くにある店もわかりやすいですしね。施設案内も出るんですか?
谷口 メニューを押していただくと……。
── おっ、トイレが出てきました。
谷口 ボタンを押していただくと、満空のデータ表示されて、このトイレが空いているかどうかが見えてきます。
── おお〜っなるほど! これ結構感動しますね。
この連載の記事
- 第24回
sponsored
スマートシティに“伝統工芸”が必要なワケ 豊洲スマートシティ推進協議会の「T-HUB」が面白い - 第22回
sponsored
首都災害、意外な新事実 清水建設、データ分析で明らかに - 第21回
sponsored
清水建設がイノベーション拠点のどまんなかに「旧渋沢邸」を置いたワケ - 第20回
sponsored
大雨被害 清水建設、量子コンピューターで復旧支援 - 第19回
sponsored
あなたの家も「駅徒歩1分」 LUUPがまちの常識を変える - 第18回
sponsored
首都直下地震が来たらこれがヤバい。清水建設の社会実験で分かったこと - 第17回
sponsored
IT業界で稼げなかったら建設業界に行こう! 清水建設がベンチャー投資に本気 - 第16回
地域イノベーション
清水建設が「月の砂」を作っている理由 - 第15回
sponsored
「海に浮かぶ100万人都市」清水建設のとんでもない構想 - 第14回
sponsored
西新井大師には“巨大ダンパー”が入っている
この記事の編集者は以下の記事もオススメしています
sponsored
IT業界で稼げなかったら建設業界に行こう! 清水建設がベンチャー投資に本気sponsored
首都直下地震が来たらこれがヤバい。清水建設の社会実験で分かったことsponsored
大雨被害 清水建設、量子コンピューターで復旧支援sponsored
清水建設がイノベーション拠点のどまんなかに「旧渋沢邸」を置いたワケsponsored
首都災害、意外な新事実 清水建設、データ分析で明らかにsponsored
スマートシティに“伝統工芸”が必要なワケ 豊洲スマートシティ推進協議会の「T-HUB」が面白い