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アルツハイマー病の原因物質が毒性を示す過程の実時間観察に成功

2024年01月18日 10時45分更新

文● MIT Technology Review Japan

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東京農工大学と三重大学の共同研究チームは、アルツハイマー病の原因物質であるアミロイドβが人工細胞膜中で毒性を持つ構造に変化する様子をリアルタイムに観察することに成功。膜中のコレステロールが毒性構造への変化を促進することや、カテキンが毒性構造を阻害することを見い出した。

東京農工大学と三重大学の共同研究チームは、アルツハイマー病の原因物質であるアミロイドβが人工細胞膜中で毒性を持つ構造に変化する様子をリアルタイムに観察することに成功。膜中のコレステロールが毒性構造への変化を促進することや、カテキンが毒性構造を阻害することを見い出した。 アミロイドβ(Aβ)は凝集性が高く、単量体(モノマー)から中間体の重合体(オリゴマー)を経てアミロイド線維を形成する。中でもAβオリゴマーに強い細胞毒性があることがわかっている。オリゴマーの細胞毒性機構の一つとしてチャネル(細胞膜を貫通する孔)形成があり、神経細胞膜中に孔を開けることで細胞死を引き起こすが、これまでAβが膜中でモノマーからオリゴマーに凝集していく過程は確認されていなかった。 研究チームは、マイクロデバイスを用いたチャネル電流計測によって、Aβモノマーが脂質膜(人工細胞膜)中で凝集してチャネルを形成していく過程を2時間にわたって観察。膜中でAβモノマーが凝集してオリゴマー化し、チャネルを形成することを発見した。続いて、神経細胞膜を模倣した人工細胞膜を用いて観察したところ、膜中のコレステロールがAβの膜中でのチャネル形成を促進することがわかった。さらに、Aβの凝集阻害剤であるカテキンの一種EGCGのAβチャネルへの作用を調べた結果、EGCGはAβの凝集だけでなく、膜中に形成されたチャネルの活性も阻害することを見い出した。 今回の成果により、Aβと神経細胞膜との相互作用の解明が進み、アルツハイマー病の治療法開発に貢献することが期待される。研究論文は、米国科学アカデミー紀要ネクサス(PNAS Nexus)に2023年12月14日付けで掲載された

(中條)

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