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最新パーツ性能チェック 第433回

GeForce RTX 4070 SUPERの実力は?RTX 4070やRX 7800 XT等とゲームで比較

2024年01月16日 23時00分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集● ジサトラユージ/ASCII

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ワットパフォーマンスの強さは顕在

 「Starfield」では画質“ウルトラ”に設定し、デスクトップの解像度を変更することで対処。DLSSは“バランス”+DLSS FGを有効に、FSR 2はレンダースケールにて58%設定(バランス相当)とした。都市マップ“ニューアトランティス”のMAST地区を移動する際のフレームレートを計測した。

Starfield:1920×1080ドット時のフレームレート

Starfield:2560×1440ドット時のフレームレート

Starfield:3840×2160ドット時のフレームレート

 Cyberpunk 2077やAlan Wake 2のデータと合わせると、AFMFは非常に強力な技術ではあるが、DLSS FGが利用できる状況ではRTX 40シリーズと同程度の性能にとどまる(Cyberpunk 2077がRTX 40シリーズに対し最適化が進んでいるともいえる)。

Starfield:ベンチマーク中におけるTBPの平均値(単位W)、および10Wあたりのワットパフォーマンス(単位fps)

 RTX 3070 Tiや2070 SUPERは消費電力の割に全くフレームレートが出せないためワットパフォーマンスはかなり悪い。一方RTX 4070 SUPERをはじめとするRTX 40シリーズはDLSS FGのおかげで強烈なワットパフォーマンスを発揮する。AFMFを併用したRadeonは素のTBPが高いためRTX 4070 SUPERには及ばないが、AFMFを使わないRX 7800 XTよりも格段にワットパフォーマンスが高くなるだろう。

 最後に検証するのは「Cities: Skylines II」だ。画質は“高”をベースに、フレームレートを激しく低下させる要因のひとつである被写界深度はオフとした。人口9万人程度の都市を作成し、その上をカメラで移動する際のフレームレートを計測した。

Cities: Skylines II:1920×1080ドット時のフレームレート

Cities: Skylines II:2560×1440ドット時のフレームレート

Cities: Skylines II:3840×2160ドット時のフレームレート

 処理的にまだこなれてない感が強いため、フレームレートがすぐ頭打ち気味になってしまうのがCities: Skylines IIの欠点。今回の検証ではどのGPUでも酷いカク付きが観測されたため、特に最低フレームレートの出方は一貫性を得られていると確信できるものはなかった。RTX 4070 SUPERならRTX 3070 Tiをどの解像度でも超えることができるが、RTX 4070だとRTX 3070 Tiに追い付かれそうになっている。

 ここで面白いのはRX 7800 XT。フルHD〜WQHDまではAFMFがないとRTX 4070 SUPERよりやや下程度だが、4Kでは唯一20fpsを超えた。AFMFを併用するとフレームレートが伸びるが、4Kだと何かの処理が邪魔しているのか、フレームレートが微増にとどまっている。

Cities: Skylines II:ベンチマーク中におけるTBPの平均値(単位W)、および10Wあたりのワットパフォーマンス(単位fps)

 全てのGPUで、4K時のTBPがWQHDに比べ下がっている。つまりGPU側の処理が滞りすぎていて仕事ができないか、逆にCPUからの描画指令が滞りすぎているという事を示唆している。いずれにせよ、この消費電力データはフレームレートのデータと同様、最適化不足で参考にするのは厳しいといえる。

順当な性能向上だが、DLSS FGの輝きは失われつつある

 以上でRTX 4070 SUPERの検証は終了だ。パフォーマンス的にはRTX 4070 Tiと4070の中間に位置付けられ、順当なパワーアップに仕上がっている。もしこれがNVIDIAの予想価格通りの8万7000円前後で購入できるのであれば、大バーゲンと言わざるを得ない。

 ただ、このような価格設定の製品がどれだけ店頭に並ぶかについては疑問が残るため、十分に財布と相談するとよいだろう。既存のRTX 4070 Tiと価格差が小さいなら、RTX 4070 Tiを選んだ方が良いまである。NVEncがシングル仕様であるという要素も考えると、クリエイターというよりはゲームメインで攻めたい人向けの製品に仕上がっている。

 しかし残念なのは、AMDのAFMFに相当する機能がないことだ。これまでDLSS FGはRTX 40シリーズを購入する上での強力なインセンティブだった。DLSS FG対応タイトルは少ないとはいえ、DLSS SRも含めるとNVIDIAは大きな手間暇とコストをかけてDLSSを定着させようと頑張っている。ここは評価すべきだが、特定ハード(RTX 40シリーズのOptical Flow Accelerator)に縛られないAFMFのインパクトが強すぎて、DLSS FGのメリットは失われつつあるのだ。

 AFMFにより生成されたフレームが今ひとつ安定しない感がある(筆者の主観ではフレーム間隔が短-長-短-長-……というペースに見えるときが割とある)ものの、タダで滑らかさが得られるというのは大きい。画質に関してもDLSSがFSRより優れている局面があることは確かだが、そこだけで売れるようになる訳ではない。GeForceには、Reflexというレイテンシー短縮技術、エンコード機能の強みなどもあるが、フレームレート激増という魅力に抗える人がどれだけいるだろう?

 NVIDIAは真剣にAFMFに対抗するための術を見つけなければ、ゲーマー向けGPUの覇権争いではかなり厳しい立場となるだろう。CUDAを使ったクリエイティブ系アプリの存在や、生成系AIでの絶対的な強さもGeForceの強みであるが、ゲームという本来の主戦場には暗雲が立ちこめていることをNVIDIAは自覚せねばならない。

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