本記事はソラコムが提供する「SORACOM公式ブログ」に掲載された「こんな楽しいことやめられない! 「SORACOM UG」に参加すべき理由」を再編集したものです。
目次
最初はクラウド系の人とデバイス系の人が全然合わなかったいったん発表したら、見える世界が変わってしまった
Maxくんが好きすぎた SORACOM UGは推し活かも
技術わからない人でもOK むしろ初心者ならではの立ち位置がある
プラットフォーマーのソラコムはフラットでフェア
ソラコム社員だってSORACOM UGを楽しんでいる
ソラコムにとってSORACOM UGは「ユーザーと話せる場」
数を追わないと、ユーザー体験は高くなる
コロナ禍はオンラインで1本化 コロナ明けに支部のリブートへ
人見知りこそ運営 コミュニティの運営は全員やるべき
本記事は、ASCII.jp(株式会社角川アスキー総合研究所)に掲載された記事より転載/再編集したものです。
元記事:https://ascii.jp/elem/000/004/153/4153398/ 文:大谷イビサ 写真●曽根田元
ソラコムのユーザーグループ「SORACOM User Group(SORACOM UG)」の運営メンバーと運営に協力するソラコムのメンバーを集めた座談会を開催した。各メンバーが運営に参加した背景、SORACOM UGならではのカルチャーやイベントの楽しさ、ソラコムとSORACOM UGとの信頼感のある関係とは? ASCII大谷がたっぷりと話を聞いた(以下、敬称略)。
最初はクラウド系の人とデバイス系の人が全然合わなかった
アスキー大谷(以下、大谷):まずはシンプルにSORACOM UGの目的について教えてください。
ソラコム 松下享平さん(Max)(以下、ソラコム松下):SORACOM IoTっていろいろな技術やさまざまな人たちとのつながりがあってはじめて実現できるので、まずは仲間作りしたいという目的がもともとありました。だから、SORACOMという柱はあるとはいえ、IoTを始めたい人たちのより広い情報交換の場という位置づけでスタートしました。
大谷:SORACOMというより、IoTというもっと広い枠組みでの集まりなんですね。
ソラコム松下:当初からその枠組みでしたし、いまもそれは変わりません。なので、デバイスだったり、クラウドだったり、IoTでビジネスを始めたい人だったり、とにかくバックグラウンドの異なる人たちが学びあうという場を作っているのが、SORACOM UGの趣旨です。
大谷:SORACOM UGって、それこそソラコムのサービス開始当初からありますよね。
ソラコム松下:SORACOM自体は2015年9月にスタートしているのですが、ユーザーグループの前身となる開発者コミュニティは、10月には第0回となるSORACOM Developer Conferenceを開催しています。
大谷:あのLT18連発はすごかったけど、書くのも死にました(笑)。確かにSORACOM Developer Conferenceでは松下さん、SORACOMユーザーとして登壇していましたよね。(関連記事:IoTの異才たちがLT18連発!SORACOMのフライデーナイト)
ソラコム松下:はい。当時の私はまだソラコムに入社してなくて、SORACOM UGの立ち上げメンバーでした(笑)。そのイベントで登壇・参加した人たちを集めて、その年の12月にSORACOM UG初のイベントを開催したという経緯です。
当時、ある程度の規模の技術系のユーザーコミュニティはJAWS-UG(AWSのユーザーコミュニティ)を知っていたのですが、やはりいろいろな人たちが集まって情報発信したほうがいいよねということで、立ち上げました。今回来てもらった木澤さんもその1人です。
SORACOM UG 木澤朋隆さん(以下、木澤):12月のイベントに参加したのですが、インパクトすごかったです。なにしろ荒削りで、クラウド系の人とデバイス系の人たちが全然融合できてなかった(笑)。でも、こういうイベントを続けていくと、新しいIoTの世界が開けるんだろうなという期待感はありましたね。
ソラコム松下:やっている方からすると、当時はめちゃくちゃ悩みましたね。僕はデバイスの会社出身でしたが、クラウドは使い始めていたので、たまたま両方わかる人材だったんです。だから、イベントやってみて、クラウド系の人と、デバイス系の人で、全然話が合わないというのは、すごく感じました。
今回3人に集まってもらいましたが、運営をやっているのはIT系の人だけじゃない。だから1つのテーマは、やはり「つなげる」ということ。いろんな分野、業界の人、いろんな地域の人をつなげるのに、多様な方が必要だったということなんです。
いったん発表したら、見える世界が変わってしまった
大谷:では、SORACOM UG側の参加者に経緯を聞きましょうか? 木澤さんは大手SIerのエンジニアですね。
木澤:はい。私はSORACOMのサービスがサービスインしたときに、AWS上にキャリアのシステムを構築してしまったということに感激して、さっそく1回線使い始めたというのがきっかけです。SORACOMサービスに興味を持ってイベントに参加したのですが、他にコミュニティへの参加経験はなく、SORACOM UGが初めてでした。玉川さんとかホント雲の上の人だったんですけど、そんな人とフランクに話せるって、コミュニティってすごいところだなと感じました。
ただ、参加する仲間はいなかったので、私はSORACOM UGにぼっちで参加をしていました。その後ハンズオンを通じてMaxともやりとりが生まれ、2年以上経った2018年にGoogle HomeとSORACOMを掛け合わせたネタを個人ブログで書いたところ、Maxからお声がかかったんです。
ソラコム松下:すごい面白かったんですよ。ぜひLTで発表してくださいとお願いしました。
木澤:思い切って発表したら、もう見える世界が変わってしまったんです。高評価と高揚感からそのまま懇親会に突入して、Kenさん(ソラコムCEOの玉川)の隣でいろいろお話させていただきました。そのときの体験が強烈すぎましたね。
その後は他の方ともどんどん交流できるようになったし、SNS上でも会話できるようになって、発表してよかったなあと感じました。その後、「SORACOM UG Explorer 2019」のイベントからSORACOM UGの運営に入ったという経緯です。
だから、参加して、ブログで発表して、登壇して、運営に巻き込まれてという一連のシナリオで、SORACOM UGに入ってます(笑)。いまはAWSのAmbassadorにも認定いただいていますが、SORACOM UGの活動で得たコミュニティ関連の人脈を活用できているので、仕事においても良い影響がありました。
ソラコム松下:雑に巻き込んでしまった立場ではあるんですが(笑)、いい結果になってよかったです。
木澤:とはいえ、IoTはあくまで趣味。社内で相談に乗ることはありますが、あまり仕事になることはないです。やりたいですけど、なかなか機会に巡り会えてません。
大谷:ありがとうございます。続いて和田さんはクラウドインテグレーターのエンジニアですね。
SOARCOM UG 和田健一郎さん(以下、和田):もともと私はクラウド側の人で、JAWS-UG千葉支部の運営もしています。元AWSの玉川さんが立ち上げたというつながりで、SORACOMは気になっていて、一般ユーザーとしてSORACOMを使っていました。その後、コロナ禍に入ったくらいに「運営やりません?」と、とてもフランクに誘われて、参加した感じです。
大谷:お仕事との関係はあるんですか?
和田:仕事はサーバーサイドのエンジニアなので、IoTはたまに社内で相談されることはありますが、基本的には完全に趣味です。
Maxくんが好きすぎた SORACOM UGは推し活かも
大谷:次にいかにも異色すぎる藤田さんにSORACOM UGについて聞かせてください。
SORACOM UG 藤田なつみ(以下、藤田):私がSORACOM UGの運営メンバーになったのはMaxくんが好きすぎるという理由です(笑)。私以外の運営メンバーは自己紹介スライドに「好きなSORACOMサービス」を紹介しているのですが、私は好きなエバンジェリストは「Maxくん」と入れています(笑)。
大谷:やっぱり異色すぎますね(笑)。
藤田:でも、これには深い理由があります。
Maxくんに初めて会ったのは2019年なのですが、当時、私は某ジャパニーズトラディショナルカンパニーでIoT系の新規事業に関わっていました。大手企業って社内になんでもあるので、外とつながる必要性を感じることがなくて、SIMも、クラウドも、全部自前で調達できる。だから、社内にあるモノでデバイスを作ろうと思ったんです。
でも、そうすると、予想外に高価なIoTデバイスができるんですよ。なぜだろうと思った私はIoTでググって、たまたまMaxくんが登壇するイベントが出てきたので、参加することにしたんです。
ソラコム松下:確かAWSとソラコムの共催イベントですね。
藤田:そうそう!で、行ってみたら、よくわからないけど、すごそうな話をしてたんですよ。
ソラコム松下:それ、エバンジェリストへの評価としてはあまり高くありませんね(笑)。
藤田:でも、なんだかすごいぞ!ということは感じました。だから、登壇終了と同時に走って行って、「お友達になりたいです!」と伝えに行ったんです。そうしたら、たまたまその日の夜にSORACOM UGのイベントがあって、よかったら来ませんか?って誘ってくれたんです。
大谷:単なるナンパじゃないですか(笑)。
藤田:確かに! でも、そのときは私もキュンキュンしていたので、行っちゃったんですよ(笑)。コミュニティを知らなかったので、ビジネスカンファレンスだと思って参加したら、みんなめちゃくちゃ楽しそうに話してるし、ウェイウェイしてるし、なんだこれは!と思ったのがSORACOM UGと私の運命の出会いでした。
そこからは、Maxくんが出るイベントや展示会は漏れなくチェックし、全部といっていいほど参加して、最前列に陣取り、話を聞くというのをしばらくやっていました。
大谷:じゃあ、藤田さんにとって、SORACOM UGの活動はMaxの推し活だったんですね(笑)。
藤田:はい。推し活です。その頃くらいから、たぶんUGの中でも、何者だかわからないけど毎回来てる人がいるなと、私のことが認識されるようになったのでは?と思っています。
木澤:コロナ禍前、最後のSORACOM UG Tokyoのイベントをソラコムさんのオフィスで開催したとき、「運営に入れます」みたいなことをアンケートで書いていただけたんですよ。
藤田:「受付くらいならできます」と書いたら、木澤さんから連絡をいただいたんです。これが運営に入ったきっかけです。技術的なスキルがあるわけではないので、「多様性枠」だと思っています。
技術わからない人でもOK むしろ初心者ならではの立ち位置がある
大谷:SORACOM UGって技術系のコミュニティとしては、ずいぶん長いじゃないですか。今まで続いている理由ってなんなんでしょうか?
ソラコム松下:最初のSORACOM UGの運営メンバーって、アイレットの後藤さんとか、クラスメソッドの横田さんとか、今考えるとクラウドコミュニティの重鎮クラスに立ち上げをサポートいただいていたのですが、そこからうまく世代交代したのが長続きしていることだと思います。
藤田:運営が本当に仲がいいのと、みんながいい感じに得意なことを持っているんです。木澤さんは配信が得意だし、私は人とつなげるのが得意、和田さんはコラボ企画を作るのが得意みたいな。私のように技術がわからなくてもOKだし、それぞれ得意なところがあるので、「この人がいないとダメ」ということがないんですよね。
運営メンバーの多様性が高いので、誰か一人に負荷がかかったり、いろんな決定が誰かに集中したりといったことがない。他のコミュニティには運営まで入ったことがないのでわからないですが、SORACOM UGには懐の広さを感じています。
木澤:「もっと裾野を拡げましょう」という意見で初心者向けの「SORACOM UG ビギナーズ」が立ち上がったのは、まさに(藤田)なつみさんの功績です。いろんな意見やアイデアをそれぞれ出し合って、イベントのレベルが高まっている気がしています。
藤田:コミュニティって、よくも悪くも価値観の近い人が集まるじゃないですか。だから、私のように技術がわからない人ってわりとテック系のコミュニティには入りづらいと思うんです。私自身、他のコミュニティに参加する勇気が出ないのは、私にはハードル高いな……と感じてしまうことが大きいからです。
大谷:技術的なハードルが高いのは、わかります。JAWS-UGとか、最初に聞いたのがImmutable Infrastructureの話だったので、少し尻込みしたのを覚えています。
藤田:技術がわからないけど行ってみたら、話が合わない。では、リピートしませんよね。でも、SORACOM UGはそれがなくて、「なつみさんは、よくわからないんですね!ウェルカム!!いっしょにやりましょー」みたいなところがありました(笑)。
ソラコム松下:私は企業側として提供する側でもあるし、一方でJAWS-UGのIoT専門支部をはじめ、ほかのコミュニティに参加することもあり、いろいろ学ばせてもらっています。コミュニティって、サービスといっしょに成長していくものなんですよね。そうなると、一番最初の理念を共有する機会が減るという課題が出てきました。そこを巻き戻してくれたのが、ビギナーであるなつみさんの一番の功績だと思うんです。
しかしながら、ビギナー向けのコンテンツもカイゼンと共に成長してしまい、ビギナー向けとは異なる方向性になりがちなのですが、「毎回同じでいいんです」と言ってくれる。
藤田:「私がわかるように説明して」って言うと、「ごめん、わからないこと言っちゃいました」とちゃんと聞いてくれるんですよ。
プラットフォーマーのソラコムはフラットでフェア
藤田:もう1つお話していいですか? 私、ソラコムの従業員のみなさんやカルチャーも好きで、やっぱりプラットフォーマーだから、すごくフェアなんです。このカルチャーって、SORACOM UGの運営にもきちんと引き継がれていると思います。だから、運営メンバーもフラットだし、共催する別のコミュニティとも同じような関係を築けている。
プラットフォーマーのユーザーグループだからこそ、フェアで、フラットな部分を引き継いでいる。運営メンバーはSORACOMのサービスだけじゃなくて、ソラコム自体が好きだし、ソラコムの中の人も好き。それは共通していると思います。
大谷:こんなにあけすけに好きと言える関係はすごいと思います。
和田:たとえばJAWS-UGとの共催であれば、AWSのサービスとの組み合わせになるじゃないですか。でも、SORACOMからすると、クラウドはどこでもいいですし、通知先だって、いろいろ選べます。SORACOM自体がつなぐサービスなので、つなぐ先とのコラボはやりやすいと思います。
藤田:最終的にはSORACOM使ってなくてもいいよね、という話すら出ます。「IoTって楽しいよね」というポイントさえ共通していれば、コラボ企画をやって人材交流するだけでもいいのではという話になります。そういうスタンスがあるから、他のコミュニティとのコラボでも上下関係にならないのかもしれません。
大谷:そんなコラボ企画はどんな感じで進むのでしょうか?
和田:今のところ、いっしょにやりませんか?というお声がけをいただくことの方が多いですね。最初のコラボ企画はLINE Developer Community(LINE DC)でしたが、LINE DCの方から声をかけていただきました。
藤田:kintone Caféとのコラボ企画は、私がきっかけですね(笑)。
木澤:なつみさんはSORACOM UGを起点に幅広いコミュニティで活躍しているという存在になっているので、そこで培ってきた人脈を活かした結果、共催のアイデアをいただくことが増えているので、ホントありがたいですね。
藤田:こうやってみんなが褒めてくれるんですよー。もう自己肯定感が爆上りです!
ソラコム社員だってSORACOM UGを楽しんでいる
大谷:こういうソラコムのカルチャーってどうコミュニティに移転するんですかね。
ソラコム松下:通常、コミュニティってベンダー側の方に誰かコミュニティマネージャーがいるのですが、ソラコムの場合は私をはじめ、複数の社員もやってくれているんです。そして、ソラコム側のメンバーも、どうやってコミュニティと接するかというスタンスは、一貫していると思っています。
大谷:どういうスタンスですか?
ソラコム松下:SORACOM UGから見ると、ソラコムの社員かどうかは基本関係ないというスタンスです。ほかの参加者と扱いはいっしょです。
ソラコム三國直樹(Mick)さん(以下、ソラコム三國):2019年11月のSORACOM UG Explorerは、1ヶ月前くらいに自由に参加していいよと言われたので、けっこう社員も参加しましたね。
藤田:オンラインの時も、ソラコム社員の参加者が多かった。SIMの日(4月6日)のイベントとか、たくさん来てくれましたね。
ソラコム松井基勝(Moto)さん(以下、ソラコム松井):それこそサービスローンチした直後のLT大会とか、社員の僕も登壇していますし、ほかの参加者と同じ、UGの一員として参加します。個人として「こんなのやってみた」と言いたいとか、「なんかの参考になれば」ということもあるし、サービスに対して「こうしてほしい」みたいなリクエストを受けて、それをサービスに反映するみたいなサイクルもグルグルやりたいんです。
これをやろうとすると、やはりユーザーに中に飛び込んでいく必要がある。テイクだけではなく、ギブ&テイクが重要だと思っています。
ソラコム松下:こういう部分をみんなで共有できているところが、先ほど話していたフェアさの根拠になっているのかもしれない。
ソラコム松井:ソラコムの中の人も楽しんでいるというのも、コミュニティの外に伝わっていると思います。
昔、Maxが在籍していたぷらっとホーム社がアキバに店舗を構えていたときに、店に寄ると本多のオヤジが初心者でも引け目を感じないように声をかけてくれて、仕事しているときには気づかないような新しい文化や技術について教えてくれるんです。全然堅苦しい感じじゃなくて、面白そうに語りかけてくれました。
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木澤:私も学生時代にLinuxのインストールで困ったときに、駆け込みましたね。
ソラコム松井:個人的には、あれがユーザーが滞留するコミュニティの原点なんですよね。だから、その場にいるとやたら詳しい人がいるとか、新しい話を聞けそうとか。僕は、あの語りかけがすごく重要だと思ってます。
大谷:SORACOMはプラットフォームですけど、アキバのぷらっとホームに習っているという話ですね(笑)。
とはいえ、昔はアキバに行けば気軽に聞けたのに、もう聞けるところがない。その意味で、ユーザーコミュニティはその受け皿なのかもしれないですねえ。
ソラコム松下:そういう意味では、SORACOM UG九州の木村さんは、2週間に1回の頻度でオンラインでのもくもく会(同じく時間を共有しつつも、黙々と作業を行う会)を主催してくれています。この前、50回超えたんですよね。気軽に聞ける内容で、新しい参加者も増えているんです。
和田:もうすぐ60回らしいです。
ソラコム松井:その意味では木村のオヤジさんかもしれません(笑)。
ソラコムにとってSORACOM UGは「ユーザーと話せる場」
大谷:三國さんはどんな感じでSORACOM UGに参加したのですか?
ソラコム三國:僕は2019年にソラコム入社なんですけど、Microsoft Azureとの連携とか、ふとん管理アプリの話とかもしました。
大谷:ふとん管理アプリ? わあっと??(笑)
ソラコム三國:家族3人のふとん乾燥機をかけたかを管理するアプリです。これこそ、SORACOM UG向けですよね。
一同:爆笑
ソラコム三國:みんな楽しそうに登壇しているし、いいもの作ってるので、作ったら誰かに話したいなと。(ソラコム社員として)呼ばれてサービス解説をしても、ついでになんかLTしたいみたいな(笑)。
ソラコム松下:自分の登壇枠と別にLT登壇枠申し込んでますからね(笑)。
木澤:社員もAdvent Calenderでブログ書かないと、靴下ももらえない(笑)。
ソラコム三國:そこらへんめちゃフェアです。
ソラコム松下:Ken(CEOの玉川)がほしいって言ってたんですけど、担当者は「ちゃんとブログ書いてください」と、いち参加者としての扱いをしたそうです(笑)。
大谷:こういう話を聞くと、また藤田さんがキュンキュンしちゃうんですね(笑)
藤田:はい。私も技術ネタじゃなくてもいいというので、コミュニティネタで書かせてもらいました。
大谷:ソラコムにとって、SORACOM UGはどんな存在ですか?
ソラコム松井:SORACOMプラットフォームのサービスを開発しているときに、僕にはSORACOM UGの参加者の顔が浮かぶんですよ。「木村さん、気に入ってくれるよな」みたいな(笑)。そのペルソナを浮かべることで、僕らも確信を持ってサービスを開発することができるんです。だからSORACOM UGのメンバーは、サービスのファーストユーザーでもあるし、フィードバックをくれる存在でもある。頼りにしているし、われわれも頼ってもらいたいと思います。
ソラコム三國:やっぱりユーザーと話せる場所ですね。僕は普段はサポートをやっているので、メールでやりとりはするのですが、営業みたいにユーザーの顔を見ながら話す機会は少ないんです。でも、SORACOM UGに行くと、ユーザーの熱量の高い声を聞ける。実際に特定のお客さまの困りごとを解決できる新サービスに反映したこともあります。
ソラコム松下:僕はSORACOM UGからソラコムの中に入ったので、やはりSORACOM UGは仲間ですね。参加者になにを持って帰ってもらい、どう楽しんでもらうかは、運営メンバーといつも議論しています。私は単にソラコムのリソースを使える立場にあるだけだと思っています。
数を追わないと、ユーザー体験は高くなる
藤田:あと、これはソラコムさんに感謝していることなんですが、ビギナーズでは参加人数を目標にしないことを立ち上げた時に約束させてもらったんです。新しい人に来てもらうのが目的なので、参加者が1人でも来たらやらせてほしいって、Maxくんにお願いしたんです。結果的にソラコムは今もその約束を守ってくれています。結果としては過去に参加者1人ということはなかったのですが、「人数は追わない」ということを約束してくれたのは、運営にとってはありがたかったです。
ソラコム松下:SORACOM UG では、開催数を増やしていこうと運営の皆さんともお話しています。いつもどこかでやってるなら、参加いただける可能性が上がるだろうという背景です。SORACOM UGはソラコムやIoTを好きになってもらう活動。だから参加人数や規模よりも、まず回数を重視していることを社内でも言ってます。
大谷:とはいえ、ベンダーとしては協力する限りは人数を追ってしまいがちですよね。
藤田:そこはつながりの強さや知ってもらうことを重視してくれている。そういうところが、ソラコムってすごいなあと思っているし、感謝しています。たとえば「10人しか来なかったから、ソラコムさんに悪い」みたいにならないので、新しいアイディアにチャレンジができます。私たちも「二人集まれば、コミュニティだよねw」みたいなことが遠慮なく言える関係性はステキだなと。
あと、年内に1回の大型イベントよりも、イベント開催数が多い方が、誘いやすいというのもあります。
ソラコム松下:日時と場所さえ決まれば、あとはソラコムに相談してもらえば、ネタはいろいろあります。新しいデバイス、サービスなどをオンデマンドで提供できるから、プラットフォーマーだと思っています。
われわれとしては、UGがやりたいことにすぐに応える必要があります。とはいえ、僕ももともとUGだったこともあるので、欲しいものはだいたい把握しているつもりです。これはIoTの困りごとに対して、ソラコムがサービスを作るのと基本的にあまり変わらないですね。
藤田:ハンズオンなり、ブログなり、イベントのネタは毎回かなりお世話になっております。
大谷:まあ、実は参加する生徒が少ない方が先生を独占できるから、イベントの体験価値ってむしろ上がるんですよね。
藤田:そうなんですよ! 体験は濃くなる。参加者さんと仲良くなった結果、次のイベントで別コミュニティとの共催の話になったりしました。kintone Caféさんとの共催イベント開催後のツイートで、「IoT、超楽しい!」「kintone、初めてさわったけどすごい!」「ブログ書きました!」といったお声をいただき、驚きとうれしさがこみ上げました。
イベントの参加者数自体は20人もいなかったと思うんですが、これって参加人数が少なかったからこそのエンゲージメントの高さだったと思うんですよ。共催だから普段と違う刺激を受けられるし、濃く話せて、IoT楽しいと言ってもらい、ソラコムも好きになってもらった。こんな楽しいこと、やめられないですよ(笑)。
コロナ禍はオンラインで1本化 コロナ明けに支部のリブートへ
大谷:コロナ禍はSORACOM UGはどんなだったんですか?
木澤:コロナ禍の影響で、全国の運営メンバーが協力しイベントをオンラインに一本化しました。全国の運営メンバーが協力できる体制ができたことが、コロナ禍でもイベントを継続できた大きな理由だと思っています。
藤田:木澤さんは配信を担当いただいている「配信番長」なんですけど、毎回どんどんレベルが上がってびっくりします。先ほど話したそれぞれが得意なところを、うまくオンラインでも活かせたんだと思います。
ソラコム松下:一方で、IoTってやっぱりモノの世界、リアルの世界なので、ハンズオンができなくなったのは課題でした。それをオンラインで擬似的にハンズオンできるコンテンツをMICK(三國)が作ってくれたんです。そのおかげでデバイスが手元になくても、オンラインでIoT体験できるようになった。ユーザーグループとしてもやりやすくなったし、これをきっかけにIoTに飛び込んでくれる人もいます。改めて、ありがとう。
ソラコム三國:作ってみたものの、社内的には「これ、どこで使う?」という感じだったんですよ。でも、SORACOM UGがビギナーズで使おうと言ってくれて、日の目を見たんです。
藤田:お披露目会はビギナーズでしたね。
ソラコム三國:そうなんです。だから、ビギナーズを立ち上げたなつみさんには感謝しています。
大谷:お互いの需要と供給が一致したんですね。さて、コロナ禍がそろそろ開けていますが、最新の動向を教えてください。
藤田:去年くらいから各支部のリブート(再始動)をかけています。そのタイミングでイベントの共催も進めて、うまくいってるとは思います。
SORACOM UG自体がコロナ禍でオンラインに一本化したことで、どこからでも参加できるようになった一方で悩みもあって、各支部の色が薄くなってしまったんです。コロナ前には各支部を熱い想いで運営してくれていた人がいるのに、その人たちを置き去りにしているのではないかという懸念は、コアメンバー内でも気になっていたんです。
木澤:コロナ禍では、やはり運営と参加者の間に距離感もできていた。
藤田:だから、共催のような “エンジン” をうまく使って、リブートさせています。オンラインも続いているけど、各支部のリブートも勢いよくできています。
木澤:デバイスを使って、現地で参加者体験を高めるのであれば、やはり各支部のオフラインイベントがいいですし、SORACOMの新しいサービスを知るのであれば、オンラインで幅広くやったほうがいい。イベントの種類を、うまく使い分けてる感じですね。
大谷:支部のイベントはどんな立て付けなんですか?
木澤:基本は各支部がイベントオーナーとして企画しています。われわれも行けたら行っちゃいますが。
ソラコム松下:昨年の年次ユーザーグループイベント「SORACOM UG Explorer」では、札幌・東京・広島・四国・九州のサテライト5会場とオンラインで開催したのですが、各地のサテライト会場にソラコムの社員を送り込みました。僕が東京を担当しましたが、北海道、四国、広島、九州にはソラコムメンバーが行きました。
和田:いろんなところに社員を送りこんでくれるのはうれしいです。
藤田:参加者としても、中の人と仲良くなれるのは、けっこううれしいと思うんです。直接いろいろ聞けるし。
ソラコム松下:喜んでもらったという話は別の地域の勉強会でも聞いたので、やってよかったなあと。
藤田:Maxくんって有名人なんだって思います(笑)
ソラコム松下:えっ? そういうこと?
藤田:言うて、普通の人じゃないですか(笑)。でも、イベントで登壇すると「キャー!Maxさんだ!」ってなるんです。
ソラコム松下:皆さんのおかげで、有名人にならせていただいています!
人見知りこそ運営 コミュニティの運営は全員やるべき
大谷:今後の予定や抱負も教えてください。
木澤:運営メンバーで同じことを考えているわけではないという前提で話すと、私も和田さんもそうですが、SORACOM UGってIoTをホビーでやっている人が多くて、モノづくり工作の延長で参加している。そういう人たちの裾野を拡げ、ソラコムのファンを増やすという活動が主になると私は思います。
和田:コロナ禍明けて、久しぶりにオフラインでイベントやった楽しさもありますし、仮想ではなく、モノを使って何かをやるという楽しさを、今後とも伝えていきたい。私も運営に入ったのはコロナ禍中だったので、オフラインイベントでデバイスを使った経験がまだ浅いので、今後はもっとどんどんやっていきたいです。
大谷:なるほど。これはJAWS-UGとの違いかもしれません。SORACOM UGのIoTって基本は電子工作やメイカーズムーブメントの延長にあたるホビーですが、JAWS-UGはお仕事にもつながるコミュニティですよね。
今後の予定や抱負、藤田さんはどうですか?
藤田:SORACOM UGの運営は、今アクティブなメンバーは10人くらいです。私は運営メンバーがもっと増えたらいいなあと思っています。
SORACOM UGに限らずですが、コミュニティの運営って、みんなやるべきと思っています。運営って難しいイメージがありますが、私のようにIoTがわからなくても、技術者でなくても運営できるんです。その結果、私は会社ではないサードプレイスで、藤田なつみとして認識してもらえるようになっている。これってビジネスパーソンとして、けっこう重要なキャリアや生き方だと思っています。
SORACOM UGを運営しているとか、コミュニティに強いとか、会社名ではない自分自身の名前で覚えてもらうというのは、いいことだらけです。私、こう見えてけっこう人見知りなので、コミュニティに参加するのはハードルが高いんですが、運営だと堂々と参加できる。しかも、運営だとすでに自己紹介ができている状態で、いろんな人とつながれる。そうすると他のコミュニティに登壇の機会をもらえるとか、業界の有名人、たとえば武闘派CIOとして名をはせる某企業のCIOと仲良くできるとか、運営をやっていなければありえないことが起こる。人見知りこそ、運営に入るべきだと思います。
仕事じゃないからこそできるチャレンジ、ボランティアだからこそのポジティブな気軽さがSORACOM UGにはある。だからSORACOM UGの運営は全国民におススメしたいです(笑)。
大谷:運営になるにはどうすればいいんですか?
藤田:うずうずすればいいんです。やりたそうな顔すればいいんです。
ソラコム松下:それっぽいオーラ出してくれれば、私や運営の面々が一本釣りします(笑)。
大谷:なるほど。では、最後はイベントの告知、おねがいします。
藤田:10月21日(土)に全国イベントの「SORACOM UG Explorer 2023」が開催されるので、セーブ・ザ・デートでお願いします! 今年もオンラインと各地の会場をつないで開催します。会場でお会いしましょう。
■関連サイト
(提供:ソラコム)
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