◆椅子を外すと当連載史上最大の荷室空間が出現!
手動のスライドドアを開けて車内に乗り込む部長。「このドア、めっちゃ重たい……」というように、かなり力を必要とします。特に車内から閉めようとした時、か弱い人の力では片手で閉めることは困難で、両手で掛け声をかけて閉める感じに。こういうとき、外からサポートするのが優しさというものです。
2列目シートは3座独立タイプ。エアコンの風量調整機能が備わっています。ですがエアコンの出力は程々といったところで、夏の日中にキンキンに冷やそうとすると、ちょっとパワーが足りないかも。
助手席背面にはテーブルがついています。「なんか新幹線みたい」と喜ぶゆみちぃ部長ですが、「テーブルのドリンクホルダー、ただの穴なんですけれど……」と、再びドリンクホルダー問題が発生。どうやらフランスの方は紙コップで飲み物をいただく文化のよう。「この中に水を入れて、峠道をこぼさないように走るんだよ」と茶化す部員S。残念ながら、彼女にこのネタは通じません……。
快適性を求める部長的に、この商用車のノリは合わないと思ったようですが、座ってみるとシトロエンの常でシートは柔らかめ。「シートはいいかも」と思われたようです。驚きは2列目シートを倒すとフラットな床になるところ。「こんなことができるんですか!」と、大きな目を丸くして関心された様子。一方で「リクライニングとかあればいいんですけれど」とも。
驚きは3列目。入るのはちょっと大変ですし、普通に座ると体育座りのような体勢になってしまうのですが、足を投げ出す感じに座れば快適。2列目よりも3列目の方が快適かもしれません。そして前出の2列目シートをたためば、とんでもなく広大で快適な3列目シートとなります。これには、その場にいた誰もが驚き! ですが「なんかコレは落ち着かないですね。戻してください」ということで、普通の3列目に戻りました。
実は本稿の企画意図としては「2列目シートを倒した状態の3列目シートが快適で、ヴェルファイア越えを達成!」だったのですが……。「なんか2列目よりも3列目の方が座り心地がよい気がします。あとドリンクホルダーがありますね。ペットボトル入らないですけれど」とチクリ。「3列目からの眺めがいいですね。って、運転席の頭の上、物入になっているんですね」と、思わぬ発見も。見直してみるとバインダーに挟んだ書類や、ひざ掛けなどをおくのにちょうどよいスペースのようです。
荷室は3列目があるとそれなりという印象。国産ミニバンと変わりはありません。「3列目ってたためないんですか?」と、ゆみちぃ部長。たためますが、国産ミニバンと異なり、前に倒す方式です。「へー!」と感心する部長。
そして……なんと椅子(シート)を外すことができるのです! しかもメッチャ簡単に! その様子をみた部長は「え?」と驚いたまま思考停止。さらに2列目シートを収納したら、過去のASCII.jp自動車取材史上、最強の荷室空間が出現したのです! 自転車はもちろん、バイクだって載せられそうです。
「どうですか!」と、何故かドヤる部員K。「いや、これすごいんですけれど……。ところで取り外した椅子はどうするんですか?」。部長はいつも根本的なことを聞いてきます。「家でゲーミングチェアとか座椅子として使えばいいじゃないですか」という部員Kを、ジト目で見るゆみちぃ部長が印象的でした。
【まとめ】高速道路クルーザー、遠出にピッタリの1台
見た目はクセっぽいベルランゴ・ロング。ですが走らせてみると、実に普通のクルマ。商用車にありがちな「硬さ」というのはなく、シトロエンらしい乗り心地の良さが体験できます。ほかのシトロエンと比べれば、それはシートも足も硬めですが、突き上げ感は少なく、適度に腰から路面のインフォメーションを伝えてくれる走り。この塩梅、さすがシトロエンといったところ。
運転しながら「普通のクルマですね」とゆみちぃ部長。ミニバンサイズのクルマでありながら、小柄な女性が「普通のクルマ」と感じる、つまり運転していて不満を覚えないというのは、大きなメリットだと思いませんか? これはすごいことだと思います。
ですが、部員K的にイチバンすごいと思ったのは、高速道路の安定性。120km/h区間でもピタッとしており、車内は快適そのもの。さすが欧州車だと思わずにはいられません。それにパワーも十分で、追い越し車線で一気に加速。振動も少なく「これ、本当にディーゼルなのか?」と驚かされます。
クルマにBBQセットやキャンプ用品を詰め込んで、仲間や家族と一緒に長距離ドライブといった用途にピッタリ! 取材を忘れて車内はピクニック気分です。
取材日は好天でまさにピクニック日和。ですが、女性のお肌の天敵である日差しが強い日でもあります。そんな日焼けを気にされる部長にとって、プライバシーシェードはありがたい装備。こころなしか室温も下がったようです。
ガソリン車と変わらないエンジンフィール、と言いたいところですが、唯一気になったのは、10km/h以下の低速域において滑らかさに欠けるというところくらい。それはミッションとの兼ね合いもあるのでしょう。信号待ちからの発進や渋滞の時に気づいてしまいましたが、それとて重箱の隅をつつくような話です。
ちなみに気になる燃費は、試乗取材時においてはリッターあたり16km程度。悪い数字ではありません。ただ渋滞時はリッター10kmを下回る時があり、そこは車重などを考えると仕方ないかなとも。
国産ミニバンに比べると、荒削りの部分があるのは確か。ですがキャンプ用品や自転車など載せるといったレジャー目的に、ベルランゴ・ロングは適応範囲が広く、実に良いクルマだと思った次第。なるほど、遊びに長けたフランスらしい“乗用遊びグルマ”だと思いました。もちろん仕事グルマとしても最適なのはいうまでもありません。
個性的な見た目も、だんだん頼もしくみえてくるようになりました。「いいじゃんベルランゴ!」部員たちは納得です。ですが最後に、ゆみちぃ部長は「ドリンクホルダーがねぇ……」とチクリ。たしかに、ここは直してほしいですね。
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