中国に画像生成AIを広めた「オンライン生き仏」
この一件でもうひとつ注目なのが、資料に示されていた画像の作成手順です。資料によれば、「秋葉aaaki」さんというユーザーがアップロードしたデータからStable Diffusionなどをダウンロードして、環境を構築したとしています。この秋葉aaakiさんという方は、中国でStable Diffusionの普及に大きく関わったとされているんですね。
秋葉aaakiさんは、動画投稿サイト「Bilibili(ビリビリ)」での人気ストリーマーの一人。登録ユーザー数は100万人を超えています。可愛い感じの人工音声がついた、Stable Diffusionなどの画像生成AI解説動画を270本以上も投稿しています。
さらに秋葉aaakiさんは、「Stable Diffusionインテグレーションパック」という形でパッケージデータをZIPでアップロードしてもいます。これをダウンロードすれば、画像生成AIを動かすために必要な、「Python」「CUDA」「Git」などの開発環境を自分でインストールする必要がなく、自動でインストールして設定してくれるというものです。
CUDAは、NVIDIAのビデオカード用に3D処理をしてくれる専用ライブラリ。本来、NVIDIAのサイトにユーザー登録後にダウンロードする手順が必要なことを考えると、レギュレーションで直接の再配布が禁止されているものも含まれていそうですが、そこは恐らく無断でやっているものと推測されます。
どうも、中国はグレートファイヤーウォールが敷かれている関係もあり、アメリカのサイトにアクセスするのが個人では難しい場合があるようなんですね。そもそもStable Diffusionの環境構築が手間で、初心者にとってハードルが高いことは日本でも知られています。それもあり、パッケージをダウンロードすれば使えるという簡単さが人気を呼んでいるようです。
パッケージは毎月のようにアップデートもかけられ、熱心にもメンテナンスが続けられています。
中国のユーザーには、秋葉aaakiさんの動画と環境を通じてStable Diffusionを学んだという人も少なくないようです。こうしたことをほぼ非収益目的でやっていることから、中国では「オンライン生き仏」と言われ、神扱いならぬ“仏扱い”をされています。権利的にはいろいろと怪しいんですが、爆発的に人気を広げている要因になっていることは間違いないようです。
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

この連載の記事
-
第167回
AI
“Fable級が無料”は本当か AI市場を震撼させた「Kimi K3」を試した結果 -
第166回
AI
社内WebサービスをAIで開発 完成後に直面した運用の壁 -
第165回
AI
AIがBlenderを勝手に操作 3D制作のハードルが一気に下がった -
第164回
AI
AIはすでに、私たちの心を内部で再現しているのかもしれない -
第163回
AI
無料の画像生成AI「Krea 2」が話題 実写もアニメもこなす新勢力 -
第162回
AI
ローカルAIで“しゃべる推理ゲーム”を作ったら、思ったよりちゃんとゲームになってきた -
第161回
AI
わずか3日で停止された新AI「Claude Fable 5」は何がすごかったのか -
第160回
AI
寝不足になるほど面白い ローカルAIと音声合成をつないだら、キャラが普通にしゃべり始めた -
第159回
AI
AIを使える人と使えない人で、とんでもない差が出ると実感した理由 -
第158回
AI
SDXLの次はこれ? アニメ特化のローカル画像生成AI、驚きの実力 -
第157回
AI
AIだけでゲームは作れるのか? Codexに7本作らせて見えた実力と限界 - この連載の一覧へ







