Noble AudioもMEMSスピーカー採用に動いた。
11月11日と12日に開催された「CanJam Dallas 2023」」において、Noble AudioがMEMSスピーカーを搭載したイヤホン「XM-1」を公開した。価格は699ドルだ。XM-1はMEMSスピーカー(xMEMSのCowellユニット)と8.3mmのダイナミックドライバーのハイブリッド構成を採用している。Cowellは、クリエイティブメディアの「Aurvana Ace」シリーズも搭載しているが、同様にツィーターとして使用するようだ。Cowellは設定によって、ツイーターとしてもフルレンジドライバーとしても使用できるユニットである。
Aurvana Aceシリーズの記事でも書いたが、MEMSスピーカーの音響的な優位性は高域の歪みを減らせる点にある。XM-1はMEMSスピーカーの採用によって、クリアな中高域が実現できたとしている。
USB-Cデジタル接続の有線イヤホンである点もユニークだ。MEMSスピーカーは発音体としてはピエゾ形式であり、MEMSチップ内の稼働部を動作させるために高い電圧が必要となる。XM-1はそのバイアス電圧を供給するために特別なアンプをイヤホンに組み込んでいる。その電力を供給するためにUSBを採用しているようだ。このようにMEMSスピーカーの制限事項をどのように処理してメリットを活かしていくかは、メーカーが今後試行錯誤していくポイントの一つになるだろう。
XM-1は、USB-CまたはLightning端子搭載のスマートフォンで使用可能となっている。ただしAstell&KernのDAPとは互換性がないので注意が必要だという。また、イヤホン側の端子に、JH Audioのような独自4ピン端子が採用されているのも注目だ。シェルはアルミ製で、ノズルはステンレススチールが採用されている。
CanJamでXM-1(このショウの時点では製品名を「K-XM 1」と呼んでいる)を試聴した人のコメントによると、「XM-1」のサウンドは中高域が美しく、ピークはマイルドに調整されているようだ。特に解像力の高さに感銘を受けたそうで、いままでのNoble製品の中でも気に入ったイヤホンの一つになるとコメントしている。一方で、低音は少し誇張されているそうなので、いわゆるハイブリッド構成のイヤホンらしい味付けになっていると思われる。
この連載の記事
-
第276回
AV
Amazon Musicも生成AIを使ったプレイリスト作成機能提供、あいまいな指示に応える -
第275回
AV
ソリッドなステンレス筐体とK2HDサウンド、iFi audioの「Go bar 剣聖」 -
第274回
AV
いよいよSpotifyもロスレス配信か、Redditに解析情報 -
第273回
AV
ソニーが米国で展開し始めた、重低音新シリーズ「ULT POWER SOUND」とは? -
第272回
AV
自然な文章でプレイスリスト作成をうながせる、Spotifyの新機能 -
第271回
AV
音楽生成AIの進化速度に舌をまく、無料でも試せるStable Audio 2.0を使う -
第270回
AV
耳をふさがないイヤホンで高音質を追究したい人に、Cleer Audioがいいぞ!! -
第269回
AV
期待が高まる「Fokus Triumph」の音、NobleのMEMSスピーカー搭載イヤホン第3弾 -
第268回
AV
XPAN技術やWi-Fi 7、UWBなどをAIで統合した、クアルコムのFastConnect 7900 -
第267回
AV
K2HDに対応、個性的な機能備えたiFi audioのスティック型USB DAC「GO bar剣聖」 -
第266回
AV
日本とは異なる趣を持つ、ドイツのヘッドホンイベント“The World of Headphones” - この連載の一覧へ