我々はどう生きるか。これからも問い続ける|第3回「明日の危機」レポート
首都災害、意外な新事実 清水建設、データ分析で明らかに
提供: 清水建設株式会社
「明日の危機」を江東区とより連携した防災訓練に
── 今回見えてきた行政課題はなんでしょう。やっぱりマネジメントですか?
大村 そうですね、マネジメントはすべての根幹に共通しています。誰が何の目的で防災について施策を打っていくかということですから。防災について産官学民で議論したとしても、最後に決定するのは行政です。そこで行政と一口に言っても、国交省、江東区、東京都で、スケール感も考えるエリアの範囲も違ってきますので。
── すごく大事じゃないですか。
土田 まず国が日本全体を対象に考えた防災計画があり、そこから関東地方に計画を落として、そこで東京都の役割が決まって、各区に落として……という順番になるんですよね。そこに民間側から何を提供すれば自治体として受け入れやすいのかということを、今後さらに議論するべきなのかなと。
── そこが定まってないと実際に災害が起きたときどうしようもないですもんねえ。
大村 国は大方針こそ出すものの、エリアの細かいことは各自治体がやる。東京のことは最終的なマネジメントを東京都がするんですが、都としては区から「避難物資が足りてないよ」などの情報をあげて対応します。それぞれスケールの防災対応をいかにシームレスにするかが重要と考えます。そこで協議会が滑油的な調整をできたらいいんじゃないかと感じています。
── もっと行政側に食い込んでいってもいいんじゃないですか?
大村 今後は「明日の危機」を江東区の防災訓練と一緒にやれないか、大きな年間スケジュールのなかにプロジェクトを織り込めないか模索しています。これまでは民間主導で「発信、発信」ということでやっていましたが、これからは行政・住民と企画段階から一緒に考える場となればと望んでいます。
── おお〜、いいじゃないですか。せっかくならもっと内容も過激にしたらいいんじゃないですか。
佐多 今回の展示が終わった後で思いついたのですが、次回の産官学セッションを夜にやったらいいんじゃないかなと考えています。被災して2週間も浸水が続き、電気もガスも止まっていて、避難先もロウソクしかないという状況をイメージして皆さんと集まったとき、どんな議論が生まれるのかということに興味があります。
── いいですね。芝居やるといいんじゃないですか?「あなたはなぜ避難しないのだ!(バンバン)」とか言って。子どもがそれを見て、「ボクの夢は避難大臣になること!」という気分になってくれるくらいの方がいいんじゃないですか。
佐多 東日本大震災で被害を受けた三陸地域では「津波てんでんこ」といって、家族も関係なく各自てんでばらばらに、自分が自分の命を守るために逃げろという言い伝えがあって、それを日頃から教えられていた小中学校では、登校していた全員が助かった。それぐらい自分事として意識の中にしみ込んでいることが重要ですよね。今、大学や自治体が取り組もうとしている事前復興というものともリンクしていて、被災した時の避難や復興の拠点をいかに事前に都市の中に落とし込んで、自然と日常生活にしみ込ませるかというのが重要になると思うんです。
── 今後はそうしたことをどうすればいいか、住民たちと一緒に考えることも重要になってくると。
大村 今回の展示のメッセージである「我々はどう生きるか」。そうしたことを家族や地域でも議論しないといけない、問い続けないといけないというのが、まさに大きなメッセージになるかなと思います。
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