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佐々木喜洋のポータブルオーディオトレンド 第236回

発売直後、finalの新完全ワイヤレス「ZE8000 MK2」ファーストインプレション

2023年11月19日 17時00分更新

文● 佐々木喜洋 編集●ASCII

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 冒頭のオーケストラ全体による合奏部をZE8000 MK2で聴いてみると、かなり迫力があり、オーケストラの力強さを感じる。遮音性が高くなったことで、低音の迫力が初代よりも大きくなったようだ。ティンパニーが埋もれないで存在感を出しているのも良い。

 ZE8000で同じパートを聴くと、独特の没入感はあるが音の分離がつかみにくく、全体の演奏がそれぞれの楽器の集合体であるということを感じ取りにくい。また、ZE3000は低音の迫力が足りず、音場の広がりも少ないのでスケール感に欠けてしまう。

 中間部にある弦楽部と打楽器が競演する箇所は、ZE8000では音が溶け合いすぎて楽器の特徴がわからなくなってしまうが、ZE8000 MK2ではそれぞれ明確に聞き取れる。ZE3000だと、それぞれの楽器音は明確にわかるが、ZE8000 MK2に比べると明瞭感が足りないと感じる。この3機種の中ではZE8000 MK2がもっとも弦楽器と打楽器の分離がいいと感じられる。ピッコロにリードされる木管楽器パートでは、ZE8000 MK2では木管楽器の音色再現もいい。この点から、実のところZE8000 MK2はZE3000よりも音質が向上した上位機種なのではないか、という感想も持った。

 また、ZE8000 MK2は低音がかなり豊かなので、打ち込み系にも意外と向いている。ただ、ヴォーカルなど分かりやすいパートで他の音と溶け合う感じがするので、この独特の8Kサウンド的な表現に共感できるかどうかで好みはやはりあると思う。
ZE8000は好き嫌いが分かれる機種だが、ZE8000 MK2はわりと聴きやすくなり、場合によっては単にZE3000の上位機種と考えても良くなった。ただし独特の8Kサウンド的な表現も有しているので、興味ある方は店頭などで音が自分の好みに合うかどうか試聴してみると良いかもしれない。

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