◆エレコムのトラックボール新シリーズ「IST」
エレコムは11月15日、トラックボールの新シリーズである「IST(イスト)」のBluetooth接続対応モデルなどを発表しました。11月下旬から順次販売されます。
本製品は、ラクな姿勢で操作できるエルゴノミクス形状を採用し、なめらかな操作性を実現した親指操作タイプで、手の大きさや握り方を問わず手になじむ形状が特徴です。同時に、好みに合わせて支持方式を変更できる交換式支持ユニットを採用したこと(後述)もアピールしました。
エレコムは、2014年からトラックボールマウスを手掛けます。それ以降、さまざまな操作方式や用途のトラックボールを展開しています。「EX-G」「HUGE」などがこれまで展開されてきたシリーズでしたが、4年ぶりに発表されたのは「IST」というまったく新しいシリーズです。エレコムでI/Oデバイスチームリーダーを務める古畑義矢氏によると、ISTは、Industry Standard of Trackballsの略で、トラックボールの業界標準的な存在を目指してこう名付けたそうです。
エレコムが、新シリーズの開発に際して、トラックボールユーザーを対象にアンケート調査を実施したところ、製品を選ぶ際「握り心地・フィット感」や「ボール操作のなめらかさ」が重視されていることが分かったといいます。アンケートを踏まえ、トラックボールに求められる本質である、フィット感や滑らかな操作感をしっかり追求し、新基準(スタンダード)を作るべく開発のプロジェクトがスタートしたとのこと。
「30年以上、マウスを手掛けてきた」エレコムとして、時代とともに変化しながらマウスと向き合い続けてきたからこそ、「モックを削りながらいかに手になじむような形になるかを追求する、泥臭い作業を積み重ねてきた」(同氏)そうです。3Dプリンターの普及によって形作るまでのスピード感は増したとのことですが、歴代のシリーズも新シリーズも形状へのこだわりは変わらないといいます。
◆エレコム人口ルビーに比べてミネベアミツミ社製ベアリングはメリットが大きい
ボールを支える支持部分には、ミネベアミツミ社製のベアリングを採用。摩擦による抵抗が減り、まるで球体が宙に浮いているかのような、なめらなかな操球を実現。ベアリング支持方式は、ボール表面を擦らないため、支持部分にゴミが集まりにくく、長期間メンテナンスをせずに使えるとのこと。支持部分は簡単に取り外し可能で、ベアリングはもちろん、人工ルビーにも交換できます。
なぜエレコムが「ミネベアミツミ社製のベアリングを採用」したのでしょうか。同氏は摩擦抵抗の少なさのほか、ゴミが溜まりにくい構造による、滑らかな操作感の持続性を挙げます。「人工ルビーだと、ボールを操作する度にボール表面に付着した汚れを支持球が削り取ることで、付着した汚れが溜まってしまう一方で、ボールの動きに合わせて回転するベアリングは、支持球にゴミが溜まりにくいです」(同氏)
実際の操作に欠かせないボールは、直径36mmと一般的なサイズよりも一回り大きいサイズを採用。なめらかに表面加工された大型ボールによって、一度の操作でポインターを広範囲かつ繊細に動かすことができます。
短時間ながら実際に使ってみると、ミネベアミツミ社製のベアリングを採用したモデルは軽くてサクサク動く一方で、人工ルビーは重くてサクサク感がなく、カーソルも一回転で動きすぎない印象を受けました。どちらがいいかは人によって異なるでしょうが、支持部分を後から交換できるのはうれしいポイントです。
ちなみに、ユーザーが好みに合わせて付け替えできる交換式の支持ユニットですが、同氏いわく特許出願中だそうです。加えて「ベアリング支持ユニットを一度使うと、人口ルビー支持ユニットには戻れない」という開発陣の声を紹介するとともに、「われわれとしてはぜひ人口ルビー支持ユニットではなく、ベアリング支持ユニットを使ってほしい」とアピールしました。