京都大学の研究チームは、「DNA折り紙」をより頑強にできる技術を開発した。DNA折り紙は、デオキシリボ核酸(DNA)の自己集合によって作成されるナノスケールの2次元や3次元のナノ構造体である。今回の技術によりさまざまな条件下でDNA折り紙の安定性が著しく向上し、革新的なナノバイオマテリアルの開発につながる可能性があるという。
京都大学の研究チームは、「DNA折り紙」をより頑強にできる技術を開発した。DNA折り紙は、デオキシリボ核酸(DNA)の自己集合によって作成されるナノスケールの2次元や3次元のナノ構造体である。今回の技術によりさまざまな条件下でDNA折り紙の安定性が著しく向上し、革新的なナノバイオマテリアルの開発につながる可能性があるという。 DNA折り紙は、薬物やワクチンの送達、ウイルスの抑制など、幅広い応用が期待されているが、安定性の低さによって、実際の応用は大きく妨げられている。これまでに化学修飾や別の材料で被覆して安定化させた例はあったが、薬物を送達する担持体としてDNA折り紙を用いる場合に被覆材も一緒に送達されてしまう問題点があった。 研究チームは、DNA折り紙中にある数百の切れ目が、DNA折り紙の安定性の低さの原因であると考察。ジメチルスルホキシドを含んだ溶媒中での酵素反応、あるいは臭化シアンを用いた化学反応によって、ほとんどの切れ目を天然のDNA結合でつなぐことに成功した。特に、3次元形状の折り紙には臭化シアン反応でつなぐ方法が有効で、高温、細胞破砕液など本来、DNA折り紙が苦手とする条件下でも安定性が著しく向上した。 研究論文は、国際学術誌「スモール・メソッズ(Small Methods)」に2023年9月21日付けでオンライン掲載された。(中條)