ロスレスオーディオ再生の追加は何のため?
デジタルコネクターがUSB-Cになること以外にもうひとつ、Lightningモデルから大きく変わったポイントがあります。ロスレスオーディオ再生への対応です。
ただ、AirPods Proでロスレスオーディオ再生を楽しむために欠かせないコンテンツプレーヤー機器が、2024年に発売を予定するヘッドセット型空間コンピュータ「Apple Vision Pro」に限定されています。USB-CモデルのAirPods ProとApple Vision Proをペアリングすると、両方の機器が内蔵する「Apple H2」チップが連携して、ワイヤレスで最大48kHz/20bitまで非圧縮(ビットレートは約1.9Mbps)で送り届けることができるようになります。
筆者は先日Apple Parkで開催された新製品発表会の機会に、本件の詳細を取材しました。ロスレスの無線伝送は「アップル独自」の技術であることまでは判明しました。ただ、Bluetoothオーディオのコーデックにアップルが独自の手を加えて実現したものであることを、明快に否定できる情報までは集め切れませんでした。Apple Vision Proの発売を待って、または他にもAirPodsシリーズによるロスレス体験に対応するデバイスが登場することがあれば情報を深掘りしてみたいと思います。
AirPods Proのロスレスオーディオ再生は、Apple Musicにロスレス音質のコンテンツが登場してから、多くの音楽ファンが「AirPodsで聴きたい!」と待ちわびている体験です。なのになぜ、今回iPhone 15ファミリーとの組み合わせではなく、空間オーディオにも対応するサウンドシステムを既にビルトインしているApple Vision Proとの組み合わせで実現することになったのでしょうか? 筆者はその技術が「どうやって」実現するのかよりも「何のため」なのかが気になっています。もちろんApple Vision Proで、Apple Musicのロスレスコンテンツがいい音で再生できればうれしいと思いますが。
Apple Vision Proの内蔵カメラに続き、iPhone 15 Proシリーズも対応することが明らかになった「空間ビデオ(Spatial Video)」を撮る時に、「音声はバイノーラルで記録して、ノイズキャンセリングもかけられるAirPods Proにロスレスで送り出して聴けば満点の没入感」といった方向の使い方が予定されているのかもしれません。
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