ブログ「超高層ビル・都市開発研究所」を運営し、9年間ほぼ毎日都市開発ネタを発信するマニア「きりぼうくん」。本連載では、丸の内に広がる地下空間の楽しみ方を、マニアならではの知見とともに解説してもらいます!
今までメインルートやビルの細道、歴史ある丸の内・地下の話題をお伝えしてきましたが、今回は「未来の丸の内ダンジョン」をお届けします!
丸の内の地下ダンジョンは、今でも総延長18km、北は大手町、南は日比谷まで南北1.8km×東西1.1kmのエリアに地下通路網が張り巡らされていますが、東京駅を中心に丸の内、有楽町、内幸町、八重洲、京橋、日本橋で進められている再開発事業や地下通路の新設整備に伴い、今後さらに拡大。少し離れたところにある既存の地下通路とも接続し、外へ外へと「丸の内ダンジョン」が拡大する見込みとなっています!
様々な再開発事業や整備が完了する2030年代には、丸の内エリアから地下通路のエスカレーターなどで接続している地上やデッキを含めた歩行者専用通路のみの移動で、なんと西は東京メトロ千代田線の霞ヶ関駅、南は新橋駅、汐留シオサイト、東は茅場町まで行けるようになります!
これらをカバーする範囲は、なんと南北3.0km×東西2.2kmほどになり、巨大な地底都市が生まれることになるのです!
新エリアのマップ解放! 丸の内ダンジョンが日本橋・茅場町エリアへ拡張! 地図①
常盤橋タワーの東側にある外堀通りと永代通りが交わる「呉服橋交差点」の地下は、現在は地下通路がなく、丸の内エリアの地下通路と日本橋エリアの地下通路は分断されている状態です。しかし八重洲一丁目北地区第一種市街地再開発事業に伴い、新たに呉服橋交差点の地下にも通路が新設。日本橋~茅場町にかけての既存の地下通路と将来的に繋がります。こちらの地下には、首都高速八重洲線の地下トンネルと東京メトロ東西線の地下トンネルがあり、これらを跨ぐように地上近くに整備されます。
現在、日本橋側の地下通路は東京メトロと都営日本橋駅、東京メトロ茅場町駅を結んでおり、コレド日本橋やKABUTO ONE、東京日本橋タワー、日本橋高島屋などの超高層ビルや複合商業施設、百貨店にも通じています。この地下通路が整備されることによって、大手町駅や東京駅からも雨にぬれずにこれらの施設へアクセスできるようになるのです。
東京駅南側にも丸の内エリアと八重洲エリアを結ぶ地下通路が誕生!! 地図②
行幸地下通路からKITTEの地下へ向かうと、KITTEに入る前に広大な地下広場があります。この地下広場の東側に2029年頃を目標として、「東京駅南部東西自由通路」の整備が進められています。八重洲側は「東京駅一番街」南側のトイレ付近に接続される見込み。この通路は、延長290m、幅員8mとかなり大きな通路になる予定で、丸の内と八重洲を結ぶ新たなメインルートになりそうです! 丸の内や八重洲の南側にも人通りが増えてにぎやかになりそうですね。
高さ日本一になる超高層ビルは地下も凄かった!! 地図③
建設が進む日本一高い超高層ビル「TOKYO TORCH Torch Tower」。大手町方面から接続する永代通り地下にある地下2階レベルの地下通路にエスカレーターや階段などで接続し、TOKYO TORCH内を地下1階レベルで東西に貫通する通路と地下結節空間が整備されます。
さらに地下通路での接続のみならず、Torch Towerと常盤橋タワーの間に整備される大規模広場「TOKYO TORCH Park(東京トーチパーク)」の地下には都市計画駐車場や変電所が設けられ、都心を支える広域的な重要インフラとしての機能も有します。
今まであった地下通路を閉鎖して木造超高層ビルに再開発!! 地図④
行幸通りに面した場所には1974年に建設された前川国男設計の地上25階、地下4階、高さ108.1mの「東京海上日動ビル本館」や、北側に隣接する「東京海上日動ビル新館」を解体し、木の使用量が世界最大規模となる地上20階、地下3階、高さ約100mの超高層ビルの計画が進められています。
東京海上日動ビル新館側で新丸の内ビルディングや日比谷通り地下のメインルートと接続、本館地下へも西側の接続通路で繋がっており、新館、本館ともに地下には商業施設の店舗が並んでいました。現在は再開発に伴って、閉鎖されてしまっています。
再開発後の地下の図面などが出回っていないため、どのような通路構成や店舗構成になるかは不明。しかし新たに建設される超高層ビルにも地下は3フロア設けられるため、地下接続がなされるものと思われます。
郵船ビルディングも再開発!!地下空間も大変化!? 地図⑤
東京海上日動ビルから行幸通りを挟んで南側に位置している郵船ビルディングも2030年代前半の竣工を目指して建て替えられることが発表されており、現在は地下通路のみの地下空間も建て替えで大きく変わるかもしれません。
消える昭和のビル・チカ!! 地図⑥
以前紹介した「帝劇ビル・国際ビル」も、2025年を目途に閉館し、建て替えが行われることが発表されています。こちらの地下接続も少し変わりそうです。現在は日比谷通り地下のメインルートから少し上がったところが地下フロアになっていますが、これらの段差もなくなるかもしれませんね。
また帝劇ビル・国際ビルは、現在ほかのビルへの接続はありませんが、周辺のビルにも地下フロアはあり。もしかしたら地下通路が整備されてダンジョンが拡大するかもしれません。楽しみですね!
有楽町の再開発も本格化!地下の袋小路も解消なるか!? 地図⑦
1966年竣工の「有楽町ビル」と1967年「新有楽町ビル」も2023年目途に閉館して再開発する計画が発表されており、有楽町エリアにおける三菱地所の新たな旗艦ビルとして計画されています。地下のフロア構成などはまだ未発表のため不明ですが、南側の有楽町電気ビルとは行き来ができない袋小路のような状態になっているため、もし再開発によって地下で接続されれば有楽町エリアの回遊性も高まるかもしれません。
丸の内ダンジョンが新橋・汐留や霞ヶ関へ拡大!!地図⑧
日比谷公園東側の帝国ホテル東京跡地やみずほ銀行内幸町本部ビル、NTT霞ヶ関ビルなどの建っていた場所を再開発し、4棟の超高層ビルを建設する「(仮称)内幸町一丁目街区 開発計画」が進められています。
この再開発は、北地区、中地区まで地下で丸の内側の通路と接続、南地区は都営三田線内幸町駅や新幸橋ビルディングと地下で接続する計画。中地区と南地区の間でデッキレベルまで中地区と南地区に配置される「アクセスコア」と呼ばれる空間で接続されます。このアクセスコアには階段のみならずエスカレーターも設置されるため、一旦デッキレベルに上がるとはいえ、フラットアプローチとなります。
南地区から西側へは、都営三田線の内幸町駅に直結、内幸町駅からは既に富国生命ビルや日比谷国際ビル、日比谷パークフロント、飯野ビルなどを経由して東京メトロ千代田線霞ヶ関駅へ通路がつながっているため、霞ヶ関エリアまで西側は行けるようになります。
更に東側は、新幸橋ビルディングが既に新橋駅、汐留シオサイトの地下と繋がっているので、将来的に丸の内エリアから汐留シオサイトまで雨に濡れずに移動が可能。東京は巨大な地下都市へと変貌します!
丸の内の外側で無限に広がる夢の丸の内ダンジョン!!
丸の内側のみならず接続している日本橋エリアや八重洲エリアなどでも再開発が数多く進められており、「丸の内ダンジョン」がさらに拡大していく予定です! エリア外になってしまうので詳しくは記載しませんが、八重洲二丁目南特定街区の資料には地下接続通路連絡受口という記載も見られ、まだまだ公表されていない計画があることを匂わせます(笑)
10年後には丸の内ダンジョンが信じられないくらい巨大化した迷宮に変貌しているかもしれませんね! 楽しみです。
今回は「未来の丸の内ダンジョン」と題して、丸の内の地下の丸の内の今後についてお伝えしました。いががだったでしょうか? これからますます変貌を遂げる丸の内の地下から目が離せませんね!
文/きりぼうくん
超高層ビル、タワーマンション、駅ビル、地下街、再開発ネタを発信する「超高層ビル・都市開発研究所」の運営をしているブロガー。デベロッパー、ゼネコンのニュースリリース、さらには内閣府や都道府県など行政機関が出す情報を得て、現地を実際に巡るスタイルで取材。記事は9年間ほぼ毎日更新。Twitterでもアツく情報を投稿し、フォロワーは約3.6万人に及ぶ筋金入りの都市開発マニア。
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