ソニーは10月11日、同社のゲーミングギアブランド「INZONE」の新製品を発表した。今回発表したのは、ヘッドセッド「INZONE H5」と、完全ワイヤレスイヤフォン「INZONE Buds」の2機種となる。
INZONEブランドのヘッドセットでは、価格帯別に「INZONE H3」、「INZONE H7」、「INZONE H9」という3つの製品を展開してきた。今回のINZONE H5は、INZONE H7の後継としてミドルクラスのラインを担う製品になる。
INZONE H5の市場想定価格は2万5000円前後。INZONE H7の発売時価格が2万9000円前後だったため、やや安価になっている。なお、INZONE H7は生産を完了する予定どのこと。
FPSやTPSなど音で戦況を判断するゲームにおいて、オーディオデバイスの品質は勝敗に関わる要素となる。INZONEブランドではそうしたコアなゲーマー向けのチューニングを施しており、製品開発に当たってはプロeスポーツチーム「Fnatic」との協業のもと行っている。
Fnaticは『VALORANT』などのFPSタイトルにおいて、国際大会でもタイトルを獲得している強豪チーム。今回の製品開発では、『VALORANT』や『Apex Legends』のチームに監修を受けているという。
INZONE H5は装着時の快適さを重視し、軽量化と安定性の向上を図っている。INZONE H7と比べると、重量は約325gから約260gと65gほど軽量化。さらに、両耳への押し付け(側圧)を20%軽減し、長時間着けても負担が少ないように設計されている。
軽量化に伴い、ハウジングは小型化しているが、イヤーパッドの内径はINZONE H7とほぼ同等の大きさを保っており、耳を包み込むだけのスペースをしっかりと確保している。イヤーパッドの表皮はファブリック生地を採用しているため、汗などでのべたつきも感じにくいデザインだ。ヘッドバンドはINZONE H7に比べて8mmスリムになり、クッションは反発力の低いものを採用したとのこと。
また、INZONE H7の接続方式はUSB Type-AドングルかBluetoothでの無線接続のみだったが、今回のINZONE H5はドングルの無線接続に加え、3.5mmジャックでの有線接続が可能になっている。接続の安定性を求めるなら、有線で接続するのもアリだ。
その他、マイクにAIによるノイズキャンセリングが搭載されたことで、通話でよりクリアな音声を届けられるようになっている。最大バッテリー持続時間は28時間とINZONE H7より短くなっているが、丸2日持つと考えればその間に充電するタイミングは取れるだろう。
実際に試してみたところ、最も印象深かったのはその装着感。ゲーミングヘッドセットで260gはかなり軽いほうなので、重さという面ももちろんだが、ヘッドバンドが細めなことや締め付け感の少ない設計により、違和感なくゲームに集中できる。汗かきな筆者としては、イヤーパッドの素材が合皮でないところも嬉しい。
音質については、足音のような低い音から銃声・爆発音までしっかりと定位が聞き取れた。ただ、銃声のような高い音はやや耳に刺さるような感じがあり、デフォルトでは長時間聞いているのが少しつらそうな印象。
ユーティリティーソフトの「INZONE Hub」に対応しているので、気になる人はイコライザーなどを調整してもいいかもしれない。
INZONE H5の主なスペック | |
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型式 | 密閉、ダイナミック |
ドライバーユニット | 40mm |
感度 | 89dB |
再生周波数帯域 | 5~20000Hz |
インピーダンス | 21Ω |
バッテリー持続時間 | 最大28時間 |
充電時間 | 約3.5時間 |
重量 | 約260g |
市場想定価格 | 2万5000円前後 |
イヤフォンタイプが登場
もう一方のINZONE Budsは、インイヤータイプの完全ワイヤレスイヤフォン。INZONEシリーズにはこれまでイヤフォンタイプの製品はなかったため、新しいラインの製品となる。市場想定価格は3万円前後となる。
同社のハイレゾ対応完全ワイヤレスイヤフォン「WF-1000XM5」で採用されている、独自開発の8.4mmドライバーユニット「ダイナミックドライバーX」を採用。ハイエンドワイヤレスイヤフォンの技術をゲーミング向けに生かし、足音などもしっかりと聞き取れるようデザインしている。
また、低消費電力な「L1」プロセッサーの採用により、バッテリー持続時間を大きく引き伸ばしているのも特徴となる。
INZONE BudsはUSB Type-Cのレシーバーを用いた接続と、「Bluetooth LE Audio」(LE Audio)での接続が可能で、バッテリー持続時間はレシーバー接続時で最大12時間、LE Audio接続時で最大24時間となる。ケースは1回ぶん満充電が可能。
また、INZONE Budsはアクティブノイズキャンセリングに対応している。ノイズキャンセリング使用時は、レシーバー接続時で最大11時間、LE Audio接続時で最大18時間のバッテリー持続時間となる。
また、INZONE Budsは同社が「エルゴノミック・サーフェス・デザイン」と呼ぶ耳に負担をかけないデザインを採用している。耳甲介という、耳の穴のすぐ上あたりの部分をふさがないことで圧迫感を軽減。さらに、耳珠という耳の内側の凹凸を避けるようにくぼみを作ることで、装着時の痛みなどが発生しづらいようになっている。
実際に試したところ、見た目は完全ワイヤレスイヤフォンとしてはやや大きめに見えるが、大部分が耳の外側にはみ出す形状のため、圧迫感は感じない。ただ、形状的に横向きに寝転んでゲームをするといったプレイスタイルには向かないかもしれない。
音については、上下の定位はヘッドフォンに比べるとやや聞き分けにくい印象だが、低音もしっかりと聞き取れるので小さな足音も聞き逃さずに済む。今回はUSBドングル接続で試したが、ワイヤレスイヤフォンにありがちな遅延も感じなかった。
INZONE Budsの主なスペック | |
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型式 | 密閉、ダイナミック |
ドライバーユニット | 8.4mm |
バッテリー持続時間 | 最大12時間(USBレシーバー、NC OFF) 最大11時間(USBレシーバー、NC ON) 最大24時間(LE Audio、NC OFF) 最大18時間(LE Audio、NC ON) |
充電時間(イヤフォン) | 約2時間 |
充電時間(ケース) | 約3時間 |
重量 | 片耳あたり6.5g |
市場想定価格 | 3万円前後 |
なお、今回はPCと接続した状況で試したが、INZONE H5もINZONE Budsも「Perfect for PlayStation 5」に対応しており、 PlayStation 5に接続することで専用の機能も使用できる。
今回発売した2製品は、eスポーツのプロ選手による監修もあってか、特に装着感においてかなりのこだわりが見られる。普段から長時間ゲームを遊ぶプレイヤーなら、装着性の重要さは感じているはず。今使っているデバイスで耳や首への負担を感じている人は、一考の価値アリな製品だ。
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