基準値越えはソフトウェアアップデートが原因か?
欧州連合は単一市場だ。フランスが警告を出せば、域内の他の国も動く。ベルギー、オランダ、ドイツなども反応を見せているようだ。通常であれば、3ヵ月間域内の国から異議が出なければ、フランスが加える制限がEU全体に適用される可能性がある。
このような動きに対し、アップルは他の独立した調査では基準を満たしていることなどを主張していたようだが、ANFRの発表から数日後、フランスを対象にソフトウェアアップデートで対応するとした(ANFRも9月29日、アップデート後のiPhone 12が基準内に収まったことを公表。ただし、すべてのiPhone 12ユーザーに適用させる責任はアップルにあるとしている)。
フランスのデジタル担当大臣、Jean-Noerl Barrot氏は、発売後にデバイスメーカーのアップデートにより波動が変化することがあると語っている。そしてiPhone 12が基準値を上回ったのも、発売後のアップデートが原因だろうという見解を出している。なお、iPhone 12 Pro/Pro Max/miniと、同じiPhone 12シリーズでも他の機種は影響を受けていない。
欧州がアップルをはじめ、米国の大手テック企業に対して厳しい姿勢で接していることはしばしば報道されている。フランスではiOSよりもAndroidのシェアが多い(Statcounterでは、2023年8月時でAndroidが65%、iOSが34%)ものの、iPhoneファンも多い。中国市場も穏やかではない中、アップルとしても西欧圏でのトラブルは避けたいところだろう。
筆者紹介──末岡洋子
フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている
この連載の記事
-
第342回
スマホ
AR/VRの長すぎる黎明期 「Apple Vision Pro」登場から6ヵ月、2024年Q1は市場はマイナス成長 -
第341回
スマホ
世界で広がる学校でスマホを禁止する動き スマホを使わない時間を子供が持つことに意味がある? -
第340回
スマホ
対米関係悪化後も米国のトップ大学や研究機関に支援を続けるファーウェイの巧みな戦略 -
第339回
スマホ
ビールのハイネケンが“退屈”な折りたたみケータイを提供 Z世代のレトロブームでケータイが人気になる!? -
第338回
スマホ
ファーウェイはクラウドとスマホが好調で大幅利益増と中国国内で復活の状況 -
第337回
スマホ
米司法省、アップルを独禁法違反の疑いで提訴 その中身を整理する -
第336回
スマホ
Nokiaブランドのスマホは今後も出される! バービーとのコラボケータイ、モジュール型などに拡大するHMD -
第335回
スマホ
ファーウェイスマホが中国で好調、次期HarmonyOSではAndroid互換がなくなる!? -
第334回
スマホ
Nokiaのスマホはどうなる!? HMD Globalが自社ブランドのスマホを展開か -
第333回
スマホ
アップルがApp Storeで外部決済サービスを利用可能に ただし手数料は27% -
第332回
スマホ
米国で特許侵害クロ判定で一時は米国で販売停止のApple Watch、修正は認められるか? - この連載の一覧へ