ソフトバンクは9月21日、メディア向けに将来の実用化に向けて研究開発を進めている「量子技術」についての説明会を開催した。題して「ギジュツノチカラ 量子編」。「ギジュツノチカラ」は、ソフトバンクが年に1回開催している先端技術を紹介するイベントで、その特別編といった位置付けだ。
説明会にはソフトバンクおよび協力関係にある機関・企業から5名が登壇し、量子技術の研究の現在と未来について説明した。「わかりにくいと指摘されることもある量子技術についてわかりやすく」といった狙いがあったようだが、量子に関しては素人である筆者には難しく感じる内容だった。
◆慶應義塾大学や東京大学との共同研究も開始
最初に登壇したのはソフトバンク 先端技術研究所の小宮山陽夫氏。まず「ソフトバンクが考える量子未来ビジョン」について説明された。
通信されるデータ量が飛躍的に増えていく中で、量子コンピューターの研究開発は不可欠。量子コンピューターには「ゲート方式」と「量子アニーリング方式」があり、「ゲート方式」は誤り訂正なしの「NISQ」と、誤り訂正ありで、すべての計算ができる「FTQC」がある。なお、ゲート方式で現在導入されているのは「NISQ」のみだ。
小宮山氏は、ソフトバンクが自ら量子コンピューターを開発するのではなく、課題の解決のために量子技術を必要とする企業に、量子コンピューターを使える環境を提供する役割を担うことを考えているという。
ソフトバンクは、6月20日に慶應義塾大学との共同研究を開始。KQCC(慶應技術大学量子コンピューティングセンター)に研究員を派遣し、NISQを用いた量子技術の共同研究や、社会実装に向けたユースケースの検討などが行なわれている。
また、9月1日からは東京大学を中心に発足したQII(量子イノベーションイニシアティブ)協議会にも加盟し、国内最大規模の127量子ビットの量子コンピューターを活用して、社会実装に向けた研究を進めていく予定だ。