AGV(自動搬送車)にPCをのせて行き来
「搬送/物流」においては、AGV(自動搬送車)の活用を積極化しており、現在、28台のAGVが工場内を走行。複数の環状線ルートを構築しており、部品や資材、完成品などを降ろしたり、回収したりする。2021年からは、デスクトップPCの生産が加わり、オールインワン(AIO)型PCや、小型PCをモニター背面に搭載したモニターインワン(MIO)型PCといった本体重量が重たい完成品や部品の搬送が求められており、これに対応するためにも、AGVの活用は効果があった。
島根富士通の神門社長は、「AGVの活用により、人による運搬レスを目指している」と語り、今後も、AGVの活用を加速するとともに、次のステップとしては、ガイドレスで自動走行したり、データ収集やリモート管理にも適したりするAMR(自律走行搬送ロボット)の導入を検討しているという。
このように、島根富士通は、国内最大のPC生産拠点として、引き続き進化を遂げている。
国内の設計部門と緊密に連携したモノづくりを進めることで、日本の顧客に最適なモノづくりや、製品品質の維持、迅速な生産と供給を実現していることがわかる。さらに、修理に関しても、修理したものが戻らないように修理品質を重視した対応を行っており、そこにも、累計4800万台以上のPCを生産したモノづくりで培ったノウハウが活用されている。
国内PC市場は、2025年に向けて盛り上がりが期待されている。Windows 10の延長サポート終了に向けた買い替え需要や、教育現場の1人1台のデバイスの更新を行うNext GIGAによる特需が期待されているからだ。それにあわせて、生産体制の強化が求められている。進化した島根富士通が、PCの需要拡大において、重要な役割を果たすことになるのは確かだ。
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